西田昌司の発言 (憲法審査会)
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○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。
まず、今国会において、憲法に対する各会派による意見表明、続いて、憲法第五十六条第一項の出席の概念とオンライン出席について、さらに、二名の参考人からの意見聴取と質疑応答、事務局側からの論点整理に関する説明など、参議院憲法審査会が円満に開催されてきたことを大変うれしく思っております。全ての与野党幹事の皆様の御尽力、御協力のたまものと深く感謝申し上げたいと思います。
さて、新型コロナウイルス感染症以上に感染力、病毒性の強いウイルスの感染拡大により、参議院議員が本会議場に集まることができず、また、最悪の場合には、定足数である三分の一を切ってしまい本会議が開催できないことも想定しなければなりません。
東日本大震災の際には国会を開催できました。しかし、南海トラフ地震や首都直下型地震が発生すれば、これまでの自然災害を上回る巨大災害の発生が高い確率で想定されます。これにより、交通の大動脈が分断され、多くの参議院議員が本会議場に集まることができないということも想定されます。
また、ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更が現実に起こり得ることを我々に示しました。ウクライナ国会は、緊急事態の中、審議を続けており、戒厳令の承認や不動産の補償などの立法や議会承認を行っています。ウクライナは憲法により緊急事態時の国会議員の任期延長が規定されていますが、有事の際にも立法機能を維持することの重要性が改めて示されたものと考えています。
こうした状況を直視すれば、感染症の感染拡大や未曽有の自然災害、有事の際にどのように立法機能を維持確保していくかという観点は極めて重要であります。
そして、このことを踏まえれば、参議院憲法審査会において憲法五十六条一項の出席とオンライン出席、特に緊急事態時の、ついては議論を深めることができたということは非常に極めて画期的であったと認識をしております。
さらに、妊娠、出産や重い障害など個人の個別的事情による場合のオンライン出席についても議論が深められたことは、多様な声を国政に反映させるという参議院らしい意見交換であったと考えています。
そこで、ここまでの議論を踏まえれば、憲法五十六条一項の定足数の規定にある出席概念は、当然に議場に物理的に存在することを意味すると解されてきたものの、近年の情報通信技術等の著しい発達に伴い可能となってきたオンライン出席についても、確実な本人確認、成り済ましの防止などにおいて物理的出席同様になれば出席と解釈し得るし、また、緊急事態時の立法機能維持のためのオンライン出席、あるいは議員個人の個別的事情による場合のオンライン出席でも、憲法五十八条によって各議院に付与されている議院自律権に基づけば、必ずしも憲法を改正しなくともよいのではないかと考えています。
ただし、議院自律権の行使が基本となることから、現行憲法下で認め得る条件の範囲の制約があります。そして、何よりも国民の理解を得ることが極めて重要となります。
緊急事態が発生した場合の機能維持のためのオンライン出席については、具体的に、権限の行使、これは表決や指名、質疑、動議の全てに認めるのか、一部のみなのかということや、様態の範囲、これは場所や、この参議院規則には「議長は、衛視及び警察官を指揮して、議院内部の警察権を行う。」という規定がありますけれども、こうした警察権の権限の限定はあるのかということや、位置付け、これは例えば例外的か一時的なものなのかということや、限界、つまり全員がオンライン出席でも可能なのか、一部についてなのかなどについて、国民的議論を広げて理解を得なければなりません。
議員個人の個別的事情による場合についても、緊急事態時と同様、権限行使や様態の範囲、位置付けや限界に加えて、オンライン出席を認める個別的事情の範囲、これは例えば妊娠、出産、育児、障害、疾病等、さらにはスケジュール調整上の理由まで、どのようなものが認められるかということについても国民の理解が必要だと思います。
同時に、オンライン出席の実現に向けては、物理的出席同様、確実な本人確認、成り済ましの防止、さらに憲法五十七条の公開原則の確保の関係等から、技術的、実務的課題を解決することが求められます。
そこで、国民からの理解や、技術的、実務的な整備に関連する課題については、官民問わずオンライン方式がここまで世間に広がってきている中、前向きに対処すべきであります。ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説や参議院改革協議会での参考人からの意見聴取がオンラインで行われておりましたように、まずは調査会や委員会における参考人の意見聴取、さらに質疑での活用などに進めていき、そのための環境整備を行ってはどうかと考えます。
なお、緊急事態対応については、世界の多くの国は憲法に緊急事態条項が記されています。緊急事態時のオンラインでの出席や投票については、先ほど申し上げたとおり、議院運営規則の改正での対応は可能と考えますが、緊急事態対応はこれのみではありません。大災害や感染症のパンデミック、戦争状態、大規模テロ発生時などの緊急事態に直面した場合、どのように立法機能を維持して国民を守り、社会を維持していくかという視点を持って、統治機構の運用を憲法上に規定する緊急事態条項について議論することが是非とも必要であります。したがって、オンラインでの出席や投票についても、国民の理解を得るためには、本来憲法改正で明確にしていくことがより望ましいのではないかと考えます。
以上、我が会派の総括的な意見を述べさせていただきました。
引き続き、合区解消・地方公共団体や緊急事態対応などの議論すべき課題についてしっかりと議論を前に進めていき、国民の皆様の理解を深めていっていただくことこそ、国会、参議院憲法審査会の責務であるということを申し上げて、私の発言を終わります。