小西洋之の発言 (憲法審査会)

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○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して、国会におけるオンライン出席と憲法第五十六条との関係について見解を述べます。
 憲法五十六条の出席の考え方については、従来、現に議場に存在していることを当然の前提として国会法や議院規則の規定が定められてきたところです。
 まず、国会の議会としての意義、すなわち、全国民を代表する議員が一定の場所に集合し、国政の重要事項などについて国民に見える形で討議を行い、熟議に基づき最終的には多数決により意思決定を行う合議制の機関であるということや、憲法五十六条一項が定足数の原則を定めている趣旨を踏まえると、同条の出席については現に議場に存在していることを基本とすべきと考えます。
 しかし、憲法前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と定める国民主権原理及び間接民主制原理の下において国政の中心的地位を占めるのは国民の代表機関である国会であり、国会の定める法に基づいて国政が行われることによりその民主的正統性が確保されるものであること、そして、憲法四十一条において「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と定め、憲法五十四条二項において参議院の緊急集会が定められていることを踏まえると、緊急事態においても、できる限り国民の代表機関である国会の機能が維持及び確保され、国政における民主的統制を図ることが求められていると考えます。
 また、憲法四十三条の全国民の代表として位置付けられる国会議員は、議会に出席し、発言し、表決権を行使する義務と権利を有しており、これらを行使する機会が確保されるようにすることが必要とも考えるところです。
 このように、国民主権原理及び間接民主制原理の下において、国政の民主的正統性を確保する観点及び国会議員が全国民の代表としての権能を行使する機会を確保する観点から、必要最小限度のやむを得ない事情があると認め得る場合には、物理的な出席と同等の議会への関与と評価し得る状況にあることを条件として、例外的に、憲法改正によることなくオンラインによる出席を憲法五十六条一項の出席として解することも許容され得ると考えます。
 このやむを得ない事情としては、感染症の蔓延や大規模災害による交通途絶などにより、議会の機能の維持そのものが困難となっている場合に限られるものと考えます。
 このような憲法五十六条の出席の解釈の範囲内において、すなわち、五十六条の規範の範囲内において対象とし得る具体的な要件や方法については、憲法の範囲内で各議院に認められている議院自律権に基づく議院運営に関する事項に関する判断として、各議院の議院規則によって、あるいは、両議院にまたがるものなどについては国会法において具体化し得るものと考えます。
 また、委員会におけるオンライン出席についても、我が国の議会制が委員会中心主義を採用していることを踏まえると、本会議に準じて考えていくべきものと考えるところです。
 もっとも、このような憲法解釈を取り得る前提としては、これまでの本審査会における議論においても指摘されたとおり、主権者である国民の立場、全国民を代表する国会議員としての立場、合議体である本会議又は委員会における他の国会議員の立場の各々の観点から物理的な出席と等価値と言えるものであることが必要であり、そのためには、一、物理的な出席と同程度の双方向性などが確保される仕組みやセキュリティーの確保、二、オンライン出席議員の本人性や権限行使の真正性の確保、三、憲法五十七条に定める会議の公開性原則を充足し得るオンラインによる出席や権限行使の状況の公開の在り方など、様々な課題をクリアすることが必要であると考えます。特に、本人性、真正性の確保については、AI技術などによる成り済ましなどの懸念が指摘されているところであり、十分な検討が必要であると考えます。
 また、オンライン出席議員の権限行使の範囲や方法、特に表決権の行使を具体的にどのような方法で行い得るのか、現在場所の限定や範囲をどのように考えるのかなど、オンライン出席の実施に当たり検討すべき課題は数多く、具体的な制度設計に際しては慎重かつ丁寧な議論が必要と考えられます。
 なお、妊娠、出産、病気、障害などの真にやむを得ない事情を抱える議員について、議員本人に過剰な負担を生じさせないことを前提としてオンライン出席を認めるべきであるかについては、上述の一から三などの条件を満たす場合であれば認められる余地があり得るものと考えられます。
 以上、オンライン出席に関する現時点での会派としての見解を申し上げました。
 最後に、これに付言して一言申し上げます。
 我が会派は、衆議院憲法審のように見解の取りまとめを多数決で行うことに慎重な意見を表明しました。憲法解釈は論理によって定まるものであり、特に本件においては具体的な制度設計において更なる解釈の論究が求められるものであるからであります。
 他方、衆議院憲法審においては、憲法五十六条出席の具体的解釈を何ら示すことなく、憲法五十八条の議院自律権のみを根拠にオンライン出席を容認する文書を多数決で議決し、議長、副議長に報告しています。
 前回の私の発言で申し上げましたように、我が審査会の参考人の赤坂幸一先生は、議院自律権によるルール形成は、憲法典の定めるルールの枠内でしか認められませんとの見解を示され、衆院憲法審の高橋和之先生は、議院自律権は運用の柔軟性を認める根拠とはなるとしても、憲法条文の解釈の柔軟性を認める根拠とはなりませんとの見解を陳述され、結果として、衆参の憲法審査会に招かれた四名の憲法学者の全員が衆議院憲法審の報告文書の議院自律権の扱いは憲法上の問題があると述べられています。すなわち、議院自律権の濫用であるとの旨を述べているのであります。
 まさに、最高法規憲法にこのような扱いを行うことは国を誤る行為であり、その元凶たる衆議院憲法審の改憲ありきの毎週開催は、憲法を軽んじる行為であると言わざるを得ません。
 また、最高法規憲法の議論は、文字どおり政治家が政治生命を背負って行うべきであるにもかかわらず、我が憲法審からの当該文書の説明の出席要求を拒否するなどした衆議院憲法審の自民党は、立憲民主や一部野党会派による毎週開催への慎重、反対の見解を重く受け止めるべきであります。
 また、衆院憲法審の緊急事態条項の議論も、二院制における参議院の存在意義の一つである参議院緊急集会の権能などの在り方を勝手に議論しているものであり、到底容認できません。
 良識の府の立場から、衆院憲法審の在り方に警鐘を鳴らし、深い憂慮の念を表明して、今後とも立憲主義に基づく憲法論議を全うする決意を申し上げ、私の代表意見といたします。
 一言、先ほど西田幹事の見解表明を伺いまして、衆議院の自民党とは違う議院自律権の考え方を表明されていることは、良識府の在り方として、もう本当に心から敬意を表する次第でございます。

発言情報

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発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2022-04-27

院: 参議院

会議名: 憲法審査会