平木大作の発言 (憲法審査会)
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○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
会派を代表して、憲法第五十六条一項に定める出席を中心に意見を述べさせていただきます。
新型コロナ感染症のパンデミックは、国会機能の維持と審議、表決の在り方について再考を迫るものとなりました。
繰り返す変異のたびにまるで全く新しい新種の感染症であるかのように我々の前に立ち現れる新型コロナウイルスを前にして、国会においては、座席の配置から氏名点呼の速度に至るまで、検討を重ね、試行錯誤を続けてまいりました。幸いにもこれまでのところ、憲法第五十六条一項の定める総議員の三分の一以上の出席という本会議開催の要件成立が懸念される事態には至っていないものの、次なるパンデミックの脅威、首都直下地震、周辺国の紛争など、今後起こり得る危機によっては国会が機能不全に陥る状況も想定しなくてはならない現実を突き付けられております。
一方、社会に目を転じますれば、オンラインでつながることで、働く時間、場所を問わない働き方革命が静かに進行しております。毎日通勤電車に体を押し込み、顔を突き合わせて働くことをやめ、地方に移住する流れは、戦後初の東京からの転出超過として、既に数字にも表れてきております。オンラインの活用は市民権を得、新たなスタンダード、常識となりつつあるのであります。
本日の議題である憲法第五十六条一項に定める出席の概念について議論を尽くし、一定の結論を得ておくことは、危機に際して国会が取るべき迅速、適切な手段を準備しておくことにほかならず、まさに国の唯一の立法機関であり、全国民を代表する国権の最高機関である国会に課された責務であると考えます。
会派としての見解を述べさせていただきたいと思います。
私たちは、一定の要件の下で例外的にオンラインを活用して本会議を開催し、表決を行うことは憲法上も許容されると考えております。その最大の論拠は、前述したような国家の危機と言えるような事態にこそ国会は必要な予算と法律を速やかに成立させ、政府に対し適時適切な対応を求めなければならないということであります。
国会機能の維持という点に重きを置く中で、情報通信技術の進歩がそれを可能にし、同時に、その活用について社会における理解と受容が進んできたことが挙げられます。その上で、衆参両院における参考人質疑で御指摘のあった憲法第五十六条の準則としての性格、つまり、文言によって結論を明確に方向付けようとする性格については重く受け止めなくてはいけません。
具体的には、出席という概念は、憲法第四十三条に規定される全国民を代表するという国会議員の職責と切り離して議論することはできないとするものであります。すなわち、個々の議員が現に議場において会議に出席することによって初めて議会として全国民を代表することができるという近代議会政治の原則を踏まえれば、今後も議場への物理的な参加が原則であること、そして、例外的にオンラインでの審議が認められるのは、大規模災害やパンデミックの発生など、議場への参集自体が困難であることが誰の目にも明らかであり、オンラインでの出席を認めない限り国会としての最低限の機能も果たすことができない場合に限られるべきというものであります。
ここからは、オンライン国会実施に向けて詰めておくべき論点について、幾つか言及をさせていただきたいと思います。
まず初めに、議員の多くが議場への参集が著しく困難な状況であることの認定についてであります。
可能な限りの客観性を担保しようとすれば、両院の議院規則等でオンライン国会の実施の要件と手続を具体的に定めておくことが理想であります。しかしながら、非常事態の全てについてあらかじめ予見しておくことは難しく、要件や手続を具体的かつ厳格にすればするほど、いざというときに実施の妨げとなる懸念も残ります。参考人質疑の中でも示されたように、議院運営委員会のような各会派の代表者が集う場において開催の是非や運営の仕方を決めることができるとして、言わば余白をつくっておくことも検討に値すると考えます。
次に、当然の要請として、憲法第五十七条一項の公開原則に反することがないよう、会議の公開性、可視性が確保される方途が検討されなくてはなりません。加えれば、システムのセキュリティーや投票の真正性の確保についても同様であります。
ただし、ここで、オンラインで出席する議員が会議にアクセスするための場所をあらかじめ限定すべきとの見解については、慎重な検討を求めたいと思います。
例えば、議員会館や宿舎などにアクセスを限ることで議員の本人確認や議決権行使の際の一身専属性、さらにはシステムセキュリティーを担保する有力な手段となることは間違いありません。しかし一方で、これまでに示した懸念同様、非常事態発生時に指定された場所がどのような状況となるかを予見することは難しく、仮に指定場所の損壊が原因で国会機能の維持が妨げられることがあれば本末転倒であります。真正性やシステムセキュリティーの課題については、他の技術的なアプローチによって解決すべきと考えます。
なお、憲法第五十六条一項はあくまで本会議の定足数を定めたものであり、委員会での審議、表決にオンラインでの参加が認められるかどうかは国会法と議院規則に委ねられていると考えます。委員会審議のオンライン化を先行して進めることで、まずは公開性や本人確認、セキュリティー等、技術にひも付く課題をクリアしていくことも今後の憲法論議を深めるための一案ではないでしょうか。
併せて検討すべき論点として、例えば出産や妊娠、障害、疾病のような議員個人の心身の状態を理由とするオンラインでの出席を認めるべきか否かという問題があります。
大規模災害やパンデミックを想定したここまでの議論からいえば、個人的な事情に基づくオンラインでの出席は認められないことになります。実際に、議場に参集できない個人的で内面に係る理由まで認めてしまえば、一堂に会して闊達な議論を行うという原則がなし崩し的に損なわれ、歯止めが掛からなくなる懸念を拭い去ることができません。
一方で、個人的な事情であっても、妊娠、出産を理由とする場合についてはオンラインでの参加を認めるべきとの意見も党内では一定の支持を集めております。背景として、世界経済フォーラム、ジェンダーギャップ指数に表れるとおり、女性の活躍、なかんずく百五十六か国中百四十四位に沈む政治分野における女性の社会進出の障害を取り除くことが喫緊の課題であることも挙げられます。
まだ議論として詰め切れていない部分はありますが、我が国最大の課題とされる少子化関連問題は大規模災害やパンデミックと同等の危機と位置付け、例外的な対応を取ることについては世間の理解も得られるのではないかと期待をするところであります。
この点も含め、各会派と今後前向きな検討を進めていきたいということを申し上げて、会派としての意見表明を終わらせていただきます。