柴田巧の発言 (憲法審査会)
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○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
出席に関する議論を中心として、憲法に対する考え方、並びに今後の憲法審査会の進め方について意見を表明をいたします。
今国会で、この審査会はこれまで三回開かれてきました。前国会まで長らく開かずの扉で固く閉ざされてきた当審査会において、憲法第五十六条第一項を中心に条文についての具体的な議論が深まったことは一定の評価をいたします。そして、本日、このように具体的なテーマで総括的な意見表明が行われることは大きな意味があると考えます。
しかしながら、一つのテーマについて議論が終えようとしているのに、意見の取りまとめが行われないのは極めて遺憾です。議論を重ねた後、一つの結果を導き、それを新たな制度改正などにつなげていくべきです。ただ意見を述べ合っているだけでは意味がありません。意見集約をせず、言いっ放しで終わるなら、高い税金を掛けた大いなる井戸端会議だとやゆされても仕方ありません。
この審査会に参加している多くの会派の間に、参議院選挙を前に、できれば憲法を争点化したくないという思惑があるのなら、大変ゆゆしきことです。選挙前だからこそ、国民の前であるべき憲法を論じ合い、それに向けてどうすべきか真摯な議論を重ね、結論を見出していくことが重要です。
そのためにも、憲法上の論点について一定の考え方を示すという機能をこの審査会が積極的に果たしていくべきです。そして、何らかの形でこれまでの議論を重ねた結果を取りまとめ、この審査会としての考え方を明らかにすべきです。必要ならば、民主主義の原則である多数決によって結論を出すという作業をいとうべきではないと考えます。
今、コロナ禍にロシアによるウクライナ侵略も加わり、国民の生命、財産、我が国の平和と安定を脅かす重大な国家的課題は山積をしています。いずれも憲法論議と切り離すことはできません。予算成立までは審査会を開かないというあしき国会の前例に盲従した挙げ句、また開くにしても隔週というのはもはや許されないのではないでしょうか。このままでは、参議院は要らないと指摘されても胸を張って抗弁できないのではないかと思います。
このことをまず強く申し上げ、出席を中心に憲法に対する意見を以下申し上げます。
今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延は、国会議員が議場に参集できず、そのため定数に達しなければ開会も議決もできないという深刻なリスクを包含しています。また、南海トラフ地震や首都直下型地震、そして富士山の大噴火など、これまでの自然災害をはるかに上回る巨大災害の発生が高い確率で想定されています。さらに、今般のウクライナの例を挙げるまでもなく、我が国もいつ何どき他国から軍事的な攻撃を受けるかもしれません。
しかし、現行憲法には、こうした国家有事となる緊急事態に対応するための規定が存在をしていません。特に、緊急時に国会をいかに機能させるか、立法府が平時から議論、検討し、必要な素地を準備をしておくことは当然です。そういう意味でも、定足数が不足することの課題を解決するためにオンライン審議を認めることは不可欠と考えます。
この審査会での参考人質疑でも、九州大学大学院の赤坂幸一教授は、本会議へのオンライン出席は緊急事態時などごく限定的にのみ認められると指摘をされました。また、早稲田大学大学院の長谷部恭男教授は、国会機能の維持ができない極めて例外的な事情がある限り、必要最小限の範囲内で認められるべきと主張されました。
多くの議員からも、憲法第五十六条一項の出席は、原則的に物理的な出席と解すべきではあるものの、緊急事態の発生時において本会議開催が必要にもかかわらず定足数に達していない場合は、国会機能を維持するため例外的にオンライン出席もあり得ると解釈し、オンライン審議を議院自律権によって可能にすることができるという意見が表明をされました。このような多くの意見も踏まえ、国会は本会議でのオンライン審議実現に向けて歩みを進めていく必要があります。
さらに、常任委員会のオンライン出席についても議論を深めていくべきと考えます。確かに、審議の公開の在り方、議員本人の確認方法、表決の公正性の確保、セキュリティー対策など乗り越えなければならない事項は尽きません。具体的な方策については議院運営委員会等での十分な検討が求められることは言うまでもないと思います。
また、個々の議員の事情、例えば女性議員の妊娠、出産時、また病気の場合なども、議員の表決権を確保する意味でオンライン審議を認めるべきという論点も今後の課題とすることが望ましいと考えます。
一方、国会のオンライン審議が実現すれば、地方議会の本会議のオンライン開催にもつながるものと考えます。地方において感染爆発や大規模自然災害などが発生した場合、議員定数の少ない地方議会が本会議の定足数、定数の半数以上を割り込む可能性が出てきます。そうなれば、予算や条例を議決する本会議が開会できず、行政の停滞が起きてしまいます。
地方議会では、委員会でのオンライン審議を導入した例はあるものの、本会議では実現していません。地方自治法が定める出席は、現に議員が議場にいることだと国が通知しているからです。国会がオンライン審議の実現に向けてかじを切れば、この通知が見直され、地方議会の動きを加速させるものと思います。
とにかく、いかなる事態においても国会の機能を止めてはなりません。緊急時にこそ議論すべき事柄は多くなります。ゆえに、この審査会での議論を踏まえ、有事の際にも国家機能を麻痺させない手だてを準備すべく、作業を本格化すべきであると強調しておきます。
さて、出席の概念、国会のオンライン審議といったテーマが終われば、直ちに緊急事態条項を集中的に協議すべきです。繰り返しになりますが、コロナ禍において様々な課題が浮き彫りになりました。さらに、ロシアのウクライナへの侵攻によって、国家の有事が起きた際に国民の生命、財産を守り社会を維持するための緊急事態条項を議論することは、まさに喫緊の課題となったと思います。
国会の機能維持の観点から、議員任期延長の問題をテーマに憲法改正の議論を進めていくことはもちろん重要ですが、特に優先すべきは公共の福祉の制限の仕方とか私権を制限した場合の補償の問題です。なぜならば、国民の暮らしに直結するからです。
ほかにも、緊急事態をめぐる課題は多岐にわたります。だからこそ、毎週定例日にはきちんとこの審査会を開催し、緊急事態条項について活発な議論を行い、意見を集約していくべきです。
我が党は、憲法改正の是非を問う国民投票を一日も早く実施すべきだと一貫して訴えてきました。現行憲法は国民投票を経ていません。真に憲法を国民の手に取り戻すため、憲法改正草案を取りまとめ、国民の判断を仰ぐべきです。国民投票は日本の民主主義を成長させる大きなエンジンになると確信をしています。
以上申し上げて、私の意見表明といたします。
ありがとうございました。