奈良林直の発言 (資源エネルギーに関する調査会)

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○参考人(奈良林直君) 東京工業大学の奈良林でございます。(資料映写)
 私は北海道大学にもおりまして、十三年間北海道で、エネルギー環境システム部門というところで原子力の研究、そして再生エネに関しても学生たちに教えておりました。
 今日は、再エネの限界と原子力活用に向けた諸課題とその解決法ということで意見陳述させていただきます。
 まず、国家基本問題研究所、私が理事で、委員長としてエネルギー問題研究会のこの政策提言をまとめました。工学だけではなくて、経済、防衛、いろんな分野の、あとCOPにずっと出席されている東京大学の有馬先生も加わっていただきまして、非常な大所高所からの観点で審議をして、今四ポツに書いてございます政策提言、(一)から(七)をまとめました。
 今日は、既にこの政策提言の中身については委員の先生方に事前配付されておりますので、この内容は後で、もう既にお目通しいただいていると思いますので、後で質疑の中で答弁して詳しく御説明したいと思います。
 今日は、この政策提言のベースになっておりますデータを使って、なぜこういう政策提言をしているかということについて御説明したいというふうに思います。
 まず、再生エネルギーは不安定で結果的に高コストになるということを御説明したいというふうに思います。
 今、石川参考人が、日本は既に太陽光パネルで世界第三位だということを説明されました。このランキングは世界の太陽光発電のランキングでございます。一位が中国、二百五十四ギガワット。一ギガワットは百万キロワットですので、中国は原発二百五十四基分の、百万キロワット相当ですけれども、既に太陽光パネルを敷き詰めていると、もう太陽光発電大国でございます。二位が米国の七十四ギガワット。三位が日本、六十七ギガワット。かつて日本には五十四基の原発が動いておりましたけれども、今や太陽光はそれを上回る六十七ギガワット、原発六十七基分、百万キロワットに換算ですが、それだけの巨大な電源になっております。そして、ドイツが五十四ギガワット。こういったランキングでございます。
 そして、これを国土面積で割りますと、日本は何と世界一位です。一平方キロメーター当たり太陽光の出力百七十七キロワット、断トツに世界一位でございます。このような形で、我が国において太陽光は非常に目覚ましい発展を遂げ、世界でも有数の太陽光発電大国になったわけでございます。
 ところが、今これを、二酸化炭素の排出係数という、そういう指標で整理してみました。
 今の二酸化炭素、各国の排出量が全部データにございます。そして、各国の発電、何テラワットですね、発電したかと、年間に発電したかというデータもございます。これを割り算しますと、一キロワットアワー、一キロワット時当たりの電気を発電したときに何グラムの二酸化炭素を排出したかということが分かります。
 それで、今、先ほどの太陽光発電大国の米国、ドイツ、日本、中国、実はこの排出係数でいきますと、どちらかというと世界の後進国になっています。これが私は大きな問題だというふうに思っていまして、これが私は再エネの限界というふうに考えております。これを解決する必要がございます。特にドイツでは再エネが四〇%をもう超えております。日本は再エネが今二〇%。ところが、排出係数で見ると隣同士、ドイツが四百七十二グラム、日本が五百三十四グラムでございます。
 一方、世界でトップの排出係数、一番少ないのがノルウェー、十三グラム。たった十三グラムです。ノルウェーは、実は水力発電がほぼ一〇〇%の国です。再エネの国です。二位がスイスです。四十二グラム。スイスは水力発電と原子力がほぼ半々、火力は二%ぐらいしかありません。そして、スウェーデン、四十六グラム。環境活動家のグレタ・トゥンブルさんが、中国はバッドガイだと、二酸化炭素をいっぱい排出していると、この間、COP26のときにベルリンで演説をされていました。そして、次がフランスですね。フランスは七十グラム。これは原子力が七十数%の比率を持っています。そして、カナダ。ナイアガラの滝で膨大な水力発電、そして原子力もしっかりやっているという国です。
 これらの国々が共通するところは、水力とあるいは原子力、それを組み合わせて、二酸化炭素がほとんど出ない、既に実績をつくり上げているということでございます。二〇三〇年の目標値、一キロワットアワー当たり五十グラムをほぼもう達成した国、達成しようとしている国がございます。
 その次のベルギーからイギリス、フィンランド、スペイン、デンマーク、これは風力の非常に盛んな国々です。ですから、この排出係数、一キロワットアワー当たり何グラムの二酸化炭素を出すかというこの排出係数の指標から見ると、水力、原子力、それから風力、そして太陽光、何もしない国という形になってきます。
 なぜそういうふうになってしまうかということを更に分析しますと、これが我が国の電源構成、二〇二〇年のものです。ここで水力を除く再エネが一二・九%で、ここに太陽光が八・五%まで高まっております。バイオマスが三・二。それで水力を入れますと、再エネが二〇・八%です。実はこれ、飯田参考人のホームページから調べさせていただきまして、さっき許諾をいただきました。この火力でございますが、石炭が二七・六%、天然ガスが三五・四%です。石炭は非常に多い、安いものですから、最近、電力需要家の中でどんどん増えてきておりました。それに対して、再エネが二〇%あります。原子力は四・三%ですが、二〇二〇年は特定事故対処施設の工事が遅れているということで数プラント発電を止めさせられていた年です。そのために二%減って、二〇二〇年度は四・三%でございました。
 そして、同様のドイツですが、再エネが三九・七%。これ二〇一九年です。さらに、二〇二〇年、二一年では四〇%か四十数%まで行ったという報道がございます。この中で、風力が二〇・七%、太陽光が七・六、バイオマスが八・三、水力となっています。反対側は、原子力と火力の合計が五六%です。火力に至っては四三・七%の比率。
 つまり、変動する風力、太陽光のこの変動を抑え込むには、火力とか原子力、こういった電源で安定化させてやらなきゃいけないと。こういうことが、気候によって不安定な、気象によって不安定な再生エネルギー、変動電源と呼ばれていますが、これを安定化するためにしっかりした電源が必要だということになります。
 さらに、簡単な計算をしてみます。この太陽光の出力を正弦波、サインで近似しまして積分しますと、〇・三二、つまり一日の中で三二%しか電気を出していないと。日本は温暖な気候ですので、晴天になる確率が五〇%です。〇・五を掛けますと一六%。そして、いろいろなインバーター等の回路損失、送電損失、それからあと、水平に太陽が照っているときは太陽光はほとんど電気を出しませんので、実質、設備利用率は一三%しかございません。一五%にするには、ちょっとこのピークの、ピークカットして横側の幅を広げるということで一五%になりますけれども、実力的には一三%です。この太陽光の設備利用率が低いということが、再エネを主力電源にするに困難を来しているということになります。
 さらに、もし太陽光で一〇〇%の電気を供給するにはと。これは極端な例でございます。全電源自然エネにできる、原発ゼロはやる、やればできるとおっしゃっている元首相がおられます。ところが、これ非常に困難です。
 今、太陽光だけでもし電気を供給しようとしますと、日本の電気の電力需要の一〇〇%の更に七・七倍、一三%ですから、七七〇%まで太陽光で発電をして、一〇〇%から七七〇%まではみ出した部分を闇夜の世界に蓄電あるいは水素製造、こういった形で蓄電をして、この闇夜の部分に電気を流し込まなきゃいけません。電気は保存できませんので、バッテリーとか蓄電、それから水素製造、こういった形で水素にするんですけど、これをまた火力にしますと、元の電気の半分ぐらいしか出ない。深夜は電力需要が下がりますのでまあ何とかいくんじゃないかと思いますが、こういうことになると、このシステムコストといいますけれども、約一千兆円のお金が掛かります。太陽光パネルが値段が下がったとしても、それ以外の部分で物すごい投資が必要になってきます。
 これを裏付けているのがOECD、経済協力機構のこのデータでございまして、陸上それから洋上風力、太陽光、これは家庭用と事業用、これでシステムコスト、接続コストとか活用コストが非常に掛かっているということが分かってきております。
 これをイメージしますと、今ここに描いた図のようにメガソーラーでたくさんの電気を集めて、そして、できればそこにバッテリーを置いて負荷を平準化して、安定化した電源にして送電線に乗せて、そして需要地に、大都市に送らなきゃいけないと。このシステムコストは大変です。送電線を七・七倍にするというのはもう膨大なコストが掛かります。何十兆円というお金になります。ですから、メガソーラーの出力を抑え込んで蓄電したりあるいは水素製造をするということが必要になります。
 今私が非常にいいなと思っていますのが、これは福島県浪江町にございます水素工場でございます。再エネの電気で電気分解をして水素を作ると。この水素を蓄えて燃料にするというものでございます。電気分解の効率が現在八〇%ございますので、火力でもう一回燃やすと六〇%の効率ですので、あるいは燃料電池ですと七〇%ですので、五〇%を超える効率になることもございます。ですから、こういったところが再エネの弱点をうまく活用してエネルギーを供給するということができるようになると。
 今現在、日本、我が国のエネルギー利用は、電力は二五%、残りの七五%は熱エネルギーです。二〇五〇年カーボンニュートラルというのは、その熱エネルギーの部分も脱炭素化しなきゃいけないわけです。ですから、こういった取組が非常に重要になるというふうに思います。
 そして、再生エネルギーでございますけれども、これは鉱物資源がこれから膨大に必要になってきます。これは国際エネルギー機関が調べたもの、コンベンショナルな自動車、これは非常に少ないんですが、これを電気自動車にしますと、いろいろな鉱物資源が、数倍の鉱物資源が必要となってきます。発電においても、天然ガス、それから石炭、原子力に比べて、太陽光とか風力については鉱物資源を大量に必要とします。
 それから、グリーンだと言われていますバイオマスでございますが、実はマイケル・ムーア監督のザ・プラネット・オブ・ザ・ヒューマンという映画がございます。克明に描かれておりますけれども、実は熱帯雨林の伐採で得た木材チップがヨーロッパに運ばれて発電に使われているという事実がございます。日本の環境団体の方々もこれは気付かれています。今、バイオマスの反対運動も日本でも起きています。ですから、こういうことを許してはいけない。環境を破壊する、これに加担しては私はグリーンではないと思います。
 そしてさらに、いろいろな困ったことがたくさん出ておりまして、我が国は現在電気代が非常に高い。それによって産業が凋落をしているということです。
 これは世界の産業用の電力料金の二〇一六年度の比率です。今最も世界の主要国の中で一番高いのは日本でございます。断トツに高い。
 それによって何が起きたか。これは我が国の太陽光パネルの生産です。二〇一〇年度で八七%が日本のメーカーによって太陽光パネルが作られていました。ところが、高い電気代でシリコンウエハーを使って太陽光パネル作ったら、とんでもなく高くなってしまいます。そして、二〇一九年にはこれが今一七%までシェアを落としました。太陽光で国がもうかるかと、そうじゃなかったんです。中国に圧倒的にシェアを握られてしまって、太陽光パネルを敷き詰めると日本のお金が中国に行ってしまうと、こういう図式になってしまったわけです。
 そして、電気自動車、今もてはやされていまして、非常にいいと、すばらしいと、環境に優しいということで、世界中で今しのぎを削って普及が始まっています。今、ここの右側にございますが、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、一位がテスラ、二位がフォルクスワーゲン、三位がBYD、中国でございます。世界で初めて電気自動車を販売して、商用の販売をした日産は今十四位、トヨタは今十七位まで順位を落としております。
 もしこのまま電気自動車を普及させていきますと、我が国は中国から安い電気自動車を輸入する国になってしまいます。我が国の基幹産業である自動車産業が危機に瀕している、この厳しい現実を是非認識していただきたいというふうに思います。
 二〇二〇年度を一としますと、この「ザ・ロール・オブ・クリティカル・ミネラルス・イン・クリーン・エナジー・トランジションズ」、これエネルギー遷移といいますが、むしろエネルギー革新と呼ぶべきことだと思います。これを制約するのは、ここに書いてあります、リチウム、それから黒鉛、コバルト、ニッケル、レアアース、こういったものが何十倍も必要になります。
 実は、中国は既にこういった資源をしっかり押さえています。非常に緻密な将来計画の下に中国はエネルギー政策あるいは電気自動車の政策を取っていまして、ほとんど何もしていなかったような日本はもう敗退の一途をたどると、こんな運命付けがされているんではないかと非常に危機感を持っています。
 そして、鉄は国家なり、かつて日本は世界一の鉄鋼、粗鋼の生産国でございました。現在、世界の約五〇%は中国が鉄を生産しております。一位が宝武鋼鉄、二位がアルセロール・ミタル、そして、それ以下、赤い部分が全部中国の鉄鋼メーカーでございます。日本製鉄は現在第五位に落ちました。JFEスチールは現在十四位まで順位を落としてしまっています。
 そして、日本製鉄は米国に電炉の工場を建設します。アルセロール・ミタルと合弁で、日本ではなくて米国に電炉の工場を建設します。これは、自動車用の鋼板に使われて、非常に品質が要求されて、利益率も高い自動車用の鋼板、これを日本ではなくて電気代の安い米国に建設するわけです。こんなことが今起きているわけです。高い電気代というのは、日本にとっては命懸けの、もうそういう状況に入っています。
 そして、一人当たりのGDPを調べてみました。これは二〇二〇年のものです。日本の今GDP、一人当たりですが、二十三位、そして韓国は二十七位。そして、実質労働賃金で調べますと、既に一人当たりで韓国に日本は抜かれてしまっています。
 なぜかということをよく見てみました。一位のこのルクセンブルクです。なぜこのルクセンブルクが世界一のGDPになっているか。実は、先ほどの世界第二位の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミタルの本社があります。そして、スイス、これはABBが欧州の配送電の世界的な普及を図っている。つまり、ヨーロッパの送電網があれだけしっかりしているのは、このABBが頑張っていると。そして、アイルランドでは多国籍企業が急成長を遂げて、そこに世界の投資が集まっています。そして、ノルウェーは、水力一〇〇%、安い電気を使ってアルミ精錬、それから半導体のシリコンウエハーを生産、電力多消費産業が成立しています。
 このように、エネルギーがその国のGDP、成長を決めます。成長している国々には世界から投資が集まります。今、日本は成長していなくてどんどん順位を落としていますので、日本のいろんな金融資産は全部アメリカのウォール街に行って、アメリカのウォール街は成長している企業に投資しますから、結局中国やヨーロッパの成長している国々に日本の資金が行ってしまっているんです。
 このGDPから読み取れることは、岸田首相が我が国の成長戦略を取る上で何をすべきか、我が国で強い成長力を持つ産業をちゃんと育成しないと負けてしまいます。これがこのデータから分かります。
 そして、洋上風力は非常にこれから有望で、我が国でも再エネの重点的な投資対象になっております。
 ところが、陸上及び近海では強い風が吹いているところはありません。北海道の西岸と東北の一部に、この赤い、強いところがございます。ところが、日本は遠浅の海は少なくて、すぐに深い海になります。そうすると、浮体式の船のように浮かんでいる水力発電を頼らなきゃいけない。そうすると、浮かんでいるものをアンカーで固定しますから、送電線もゆらゆらと揺れていると。これ、ダイナミックケーブルといいますが、浮力で浮かしている。このダイナミックケーブルがこの洋上風力の非常に重要な技術になりますが、このダイナミックケーブルのまだ技術的な見通しがしっかり得られていないわけです。ですから、そこの技術的なまだ未解決のものがあるものに国の大きな投資をしていいのかということが大きな私は問題だというふうに思います。
 そして、再エネの普及と、それからいろいろな気候変動が起きて、世界中で大停電が起きています。
 これは、スウェーデン、二〇一九年の一月ですけれども、暴風雪、ブリザードでスウェーデンで大停電が発生しました。ウプサラ大学、スウェーデンの大学と東工大はいろいろな交流をしていますのでスウェーデンの先生が教えていただいたんですけれども、命懸けだったと。寒い、もう死ぬようなマイナス二十度とか三十度のところから電気があるところまで逃げ出すのが、国民が命からがらだったと。それで、世界で初めて国民投票で脱原発を決めたスウェーデンは、この脱原発政策を破棄して原子力を使い続けるということになりました。
 我が国においても、昨年、それから今年もそうですが、電力の需給逼迫が続いておりまして、大停電の直前まで行っております。なぜかというと、今、これ、二〇二一年、去年の一月ですが、七%の電気を供給していた我が国の太陽光が、大雪が降って最低で二%まで、五%も下がったわけです。寒波によって電力需要も急増しまして、三四%から四四%まで一〇%も天然ガスの火力が増えたわけです。
 そうすると、LNGが二週間しか蓄えられませんのでどんどん減っていったということで、高いLNGをスポットで買うことになりました。二〇二〇年の五月に比べて、二〇二一年の一月は何と十八倍に高騰します。そしてさらに、昨年の十月の段階で更に高騰して三十一倍になっております。今、世界中で天然ガスを使うようになりましたので、高い天然ガスを買わざるを得なくなってきた。これは我が国にとって非常にまたダメージとなってくる。世界一高い電気代がまた高くなっちゃうと、こういう悪循環に陥る可能性がございます。
 そして、同じようなことが、カリフォルニア、これ熱波によって電力需要が伸びて計画停電に入ったり、テキサス州で寒波によって、風車、二三%電気を供給していた風車の半数が凍結で止まって大停電が起きて、死者が四十名と書いてございますが、その後の報道によりますと八十名ぐらい、そして原発もセンサーが凍結して、原発が一時停止しております。こんなことで、世界中で停電が発生しております。
 そして、今、次が原子力発電所の新規制基準等でございますが……

発言情報

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発言者: 奈良林直

speaker_id: 18196

日付: 2022-02-16

院: 参議院

会議名: 資源エネルギーに関する調査会