奈良林直の発言 (資源エネルギーに関する調査会)
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○参考人(奈良林直君) 福島の事故は、本当に原子力に携わる者として痛恨の極みでございます。
一つは、先ほど申し上げたように、規制が、危ないところをあぶり出す、そしてそれを抑え込む規制をやっていなかったと、書類検査をやっていたということ。そしてあと、今、私の資料の三十二ページから三十三ページ、なぜ放射性物質が外へ漏れちゃったか、そして、なぜそれを、ヨーロッパで設置されていたフィルターベントを設置していなかったか。これは原子力安全委員会が、平成十七年かな、フィルターベントの設置を強く望むという声明を出しているんです。それを今度は、規制側の原子力安全・保安院、それから電力会社がそれに従わなかった。なぜかというと、反対派の方々は、そのフィルターベントを付けろと言うと、じゃ、事故を起こすんだなと、で、この電力会社の人は、いや、事故は起こしませんから付けませんと、こうなってしまった。これが安全神話なんです。
私も講演会で同じ質問を、原子力に対して慎重な立場を取る方々からそういう質問を受けております。ですから、私は、不幸の原因というのは、原子力を進めるか止めるかを二項対立にしてしまって、本来、原子力発電所の安全性をいかに高めるかという議論がなされていなかったということに私は根本的な問題があると思います。
福島の事故の後は、今、フィルターベントは全国の発電所に設置されています。ですから、万一の事故、万々が一の事故に遭っても、防潮堤だとか注水ポンプとかたくさん付けています。それも前段否定といいまして、深層防護の観点では、それが作動しなかったことも考えてくださいということになるとフィルターベントを設置すると、そして、フィルターベントによって放射性物質をこし取って、地元の汚染が生じないようにするという対策が既に日本の発電所で取られているということがほとんどの国民に伝わっていないんですね。
ですから、そういう安全対策が取られた上での再稼働が今実施されていますし、それから、加圧水型原子炉では特定事故重大対処施設の中にそういったフィルターベントを組み込まれていると。一応、原子力規制委員会のホームページには特定重大事故対処施設はどういうものを備えなさいというポンチ絵が書いてありますが、その中にフィルターベントも入っています。
ですから、これ機微事項で、テロ対策は機微事項で詳しいことがお話しできないということで、余りマスコミに話題になっていないんだと思うんですが、既に日本の原子力発電所は、事故を万一起こしたとしても放射性物質をまき散らさない、もう二度とそんなことはしないという固い決意の下にフィルターベントが設置されているということでございますし、これは先ほど御指摘がありました日本機械学会のフィルターベントワーキンググループというのを組織しまして、何十人もの委員の方とディスカッションをして、そういったスペックを決めて、日本の発電所に世界で初めて小児甲状腺がんの原因物質である有機ヨウ素も取れるフィルターを追加したというのが我が国の原子力発電所でございます。
それだけの対策を取っているということを是非御理解いただくとともに、先ほど委員の先生から御意見がございましたが、これを国民の皆様にしっかりお話しできる、説明できる場を何とか設けていただきたいというふうに思います。私一人だけではとても足りませんので、何百人、何千人、いろんなところで、先ほどの東海村の例も非常に参考になりました。原子力発電所を反対、推進とそういう立場ではなくて、いかに我が国の産業を強化する、そして国民の命を守るか、経済を守るか、そういう観点でのディスカッションは非常に大事だというふうに思います。
以上でございます。