山本敬三の発言 (消費者問題に関する特別委員会)
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○参考人(山本敬三君) ありがとうございます。
御指摘いただいた部分は、民法の括弧付きの伝統的な枠組みから離れた救済の可能性というのを消費者契約法で定めるということを認めていくべきではないかということの中の一つとして御指摘をいただきました。
実は、この私が消費者契約法の改正課題の例として挙げたものというのは、検討会に先立って、消費者契約改正に向けた専門技術的側面の研究会というのがございまして、そこで既に検討され提案されていたものを取り込んでいるというものです。とりわけ、無効、取消しとは違う契約からの解放を認める制度というのは特にそうでした。
ただ、取消しに関しては、もう御質問の前提にありますように、オール・オア・ナッシングになってしまうんですね、取り消すか取り消さないか、どちらかで。そして、実際に事業者に払ったものを全部返せ、返さないと、そのいずれかになってしまい、それがやはり取消しが非常に大きなラディカルな制度というふうに事業者からも受け止められ、かつ、裁判所に行った場合でも、やっぱり裁判所がそこをちゅうちょしてしまうということが多々あるというふうに伺っています。
ですので、取消しであっても、原状回復なんですけど、そこで消費者側の事情も考慮して、あるいは事業者側の考慮もして、割合的に、払ったものの全額ではなくて何割かを返すというような制度が設けられないかと。ただやっぱり、取消し制度そして原状回復制度にそういった要素を持ち込むということに関しては、民法の伝統的な考え方で余りなかったものですので、それがどうしても支障になるというのであれば、損害賠償という形で考えることはできると。
ただ、損害賠償も、ここで考えるべきなのは、取消しと同じ効果を実質的にもたらすもの、つまり、ここで原状回復と申し上げていますが、実際に払ったものあるいは支出したもの、それを返してもらうと、そこにターゲットを絞って、実質的には取消しに代わる損害賠償として創設すると。しかし、損害賠償ですと過失相殺という制度が現在でもありますので、そこで必要に応じて割合的な解決を実現していくことはできる。こういうような可能性は民法とそう矛盾するものではないと思いますが、この原状回復に限った形での創設というのが一つのポイントになるかなというふうに考えております。
実際、裁判例を見ましても、多くは不法行為を理由に損害賠償を認める、救済しているケースはあるんですが、そこでも、実質見ますと、この私の言う原状回復的な損害賠償を認めている例が少なくありません。これはやはり、取消しでは難しいけれども損害賠償であれば割合的な解決ができる、それがやはり裁判所としても使いやすいと、弁護士さんたちも主張していくときには認めてもらいやすいと、そういうものではないかなというので、試みにここに挙げている次第です。