清原慶子の発言 (内閣委員会)
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○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授、前三鷹市長の清原慶子でございます。
徳茂委員長を始め内閣委員会の皆様、参考人として意見陳述の機会をいただきましたことに深く感謝いたします。
私は、子供、若者のメディア教育等の研究者であり、四期十六年の市長経験、国の子ども・子育て施策検討の場に参画した経験、全国市長会子ども・子育て施策担当副会長として幼児教育、保育の無償化等に関する国との対話に参画した経験を踏まえて発言をいたします。
また、昨年十一月十日、内閣官房こども政策の推進に係る有識者会議において、子供政策に係る国と自治体の連携の必要性と在り方についてヒアリングを受け、十二月閣議決定のこども政策の新たな推進体制に関する基本方針にその意見を反映していただいたことを光栄に思います。本日は、基本方針に基づく重要法案に係る御審議に当たり、誰一人取り残さない、こどもまんなかの理念の具体化に向けて発言させていただきます。
二ページの一つ目の項目、こども基本法の制定とともにこども家庭庁が設置されることの意義について申し上げます。
こども基本法案第一総則の目的、定義に続いて、基本理念の一、全ての子供の基本的人権が保障され、差別的取扱いを受けることがないようにすることを始めとする六点の重要不可欠な理念に対応しているこども家庭庁設置法案第三条任務規定に私は注目します。
そこで、第一に、児童の権利条約の四原則を反映した子供施策に係る包括的な基本法の制定は大変に有意義と考えます。従来、子供に関する施策や取組の共通の基盤となる包括的な基本法はなかったところ、こども基本法案とこども家庭庁設置法案等が同時に提案され審議されていることは誠に有意義です。
第二に、こども基本法が議員立法で提案されていることは有意義です。全ての子供の基本的人権の保障などの理念が明記されているこども基本法が国権の最高機関である国会の議員立法によって提案されていること、政府から子供の人権の保障を任務の中核として位置付けるこども家庭庁の設置が提案されていることは、まさに日本が国家として子供の最善の利益を追求するという意味のこどもまんなかと、国の政策の真ん中に子供を置くという二つの意味でのこどもまんなかを国内外に表明していると受け止めます。
四ページの二つ目の項目、基本方針に示されているこどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の基本姿勢の三つの項目について考察し、今後の方向性を提案いたします。
一、子供の視点、子育て当事者の視点について、三鷹市長として子供の声、若者の声を聞き反映するために取り組んだ事例には、一、こどもサミットの開催、二、校舎、体育館等の建て替え時、公園の整備時の際の意見聴取、三、最年少五歳児を含む、市長と語り合う会の実施、四、十八歳以上の市民を無作為抽出で選出し、テーマを設定した討議会への参加や、審議会委員を依頼し、十八歳、十九歳の市政への参加があった事例などがあります。
また、日本精神保健福祉士協会によるメール相談の事例は、リアルな窓口では相談できない子供、若者、保護者の姿が見えます。
考察と提案として、一点目に、子供たちや父母、保護者、子育ての当事者は声を上げられる人ばかりではない、本当に苦しいときには声を上げられないかもしれない、安心して語ることができる場づくりが必要、言葉や文字にできない本音の声を傾聴し、言葉や文字に正確に変えていくことが必要であることを指摘します。
そこで、二点目に、意見聴取の手法の多様化が必要です。
三点目に、声なき声を把握するためには、無作為抽出で選定した子供、若者、子育て当事者の意見を聞く機会をつくることは有効です。
四点目に、意見を引き出すコーディネーターが必要です。
五点目に、SNSやメール、オンライン会議等による意見表明、意見交換の場づくりが必要です。
六点目、個人情報保護やセキュリティーへの共通認識の醸成を図りつつ、SNSやメール等による相談事業の分析と反映は有意義です。
七点目に、子供、若者が自ら運営する意見交換機会も大切です。
八点目に、学校教育におけるアクティブラーニング、探求型学習、こども熟議、大人と子供の熟議における子供、若者の意見の把握が有用です。
九点目、学校以外の社会教育や生涯学習における多世代交流の学習機会の整備も有用です。
七ページに入ります。
こども家庭庁の基本姿勢の二点目、地方自治体との連携強化について申し上げます。
こども家庭庁設置法案第四条所掌事務二十七項目の多くの現場は、基礎自治体である市区町村であり、広域的な調整は広域自治体である都道府県です。子供政策の推進には、国と自治体の連携は必須です。
また、三鷹市で平成二十二年、二〇一〇年に子ども政策部を創設したように、子供政策を担当する部署を新設する自治体が増えており、さらに東京都では、今年度から、子供政策についての全庁の横連携を推進するための局級の組織として子供政策連携室を発足し、庁内連携を促進しています。
ここで提案します。
一点目、国と地方の協議の場の実効性ある設置が必要です。
私は、幼児教育、保育の無償化に係る国と地方の協議の場の事例から、国が自治体の現状及び課題認識を共有し、改善のための協議を行い、相互に率直な意見交換ができる組織体制の必要性を痛感してきました。今後も、オンライン会議の活用を含め、国、都道府県、市区町村による実務的な協議の場が効果的です。
二点目、自治体間格差の防止、解消の必要性を提起します。
三点目、地域の実情に応じて、自治体の境界を越えた広域連携、自治体間連携への国の支援策も必要です。
四点目、新しい政策については、特に子供や子育て当事者の効果を検証し、横展開を図る試行と検証の仕組みが必要です。
五点目、子供政策については、当事者の視点からの各政策の品質向上に向けて、国と自治体との対話の深化が必要です。
六点目、子供施策をデジタルガバメント、電子政府の取組の主要な分野に位置付け、自治体と連携しつつ、子供の意見を聞く仕組み、情報提供、各種手当や施設利用申込み等の手続のオンライン化等の拡充が有用です。
七点目、国と自治体の職員交流も有意義です。
続いて、基本姿勢の三点目のNPOを始めとする市民社会との積極的な対話、連携、協働について申し上げます。
特に子供の命に関わる虐待やいじめの防止等に関する相談体制などの活動は、地域活動団体等との連携、協働が不可欠です。
一点目に、幼稚園にも保育園にも通っていない乳幼児、引きこもり、虐待対応、いじめ、不登校等支援を必要とする子供や家族、家庭の中で十分な育ちが保障されないまま社会に出ることになっている子供、若者、ギフテッド、すなわち同世代の子供と比較して突出した知性と精神性を兼ね備えた子供など、民間や関係機関との連携の強化による今まで支援が十分に届いていない子供に届く施策の発見と適切な対応が必要です。
五月開催のにっぽん子ども・子育て応援団結成十三周年記念フォーラム第一部パネリストからは、今後充実すべき取組として、若年妊婦を支援する体制、子供の生育環境の格差への適切な対応、不登校やいじめ等の状況にある子供に寄り添う取組、社会的養護施設退所以降の適切な伴走などが提起されています。
また、図一を御覧ください。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査によれば、子供食堂は急速に増加しています。三鷹市内の子供食堂、NPO法人居場所づくりプロジェクトだんだん・ばぁの事例などからは、家庭、そして保育園、幼稚園、こども園、学校以外の第三の居場所として注目される子供食堂の実践を通して、子供食堂は全ての子供を中心にした地域における多世代交流の居場所の機能を果たしていることが分かります。
二点目に、こども家庭庁で障害児を所管することの意義について申し上げます。障害児の状況については保護者からの報告が一般的ですが、こども家庭庁においては、こどもまんなかの視点から、障害児当事者、障害者支援を行っている民間団体の実情や生の声を聞き、子供たちの多様性と個性を把握し、しっかりと反映する政策が期待されます。
三点目に、こども家庭庁は、自治体や民間活動団体と協働して、こどもまんなかの切れ目のない包括的な施策や活動のプラットフォームを形成し、好事例の横展開とリアルな対話、オフライン及びオンラインでの活動ネットワークの在り方の検討と実現が期待されます。
最後に、十一ページの大きな三点目、こども家庭庁の司令塔機能の発揮と独自の適切な財源と人財の確保の必要性について申し上げます。
一点目、まさに提示されている司令塔機能の発揮に大いに期待します。
二点目は、子供政策についての各府省庁間の連携の従来以上の推進が求められます。
例えば、幼稚園、保育園、こども園の教育と保育内容の基準の整合性の制度的な担保、また、どこにも通園していない未就園児の実態把握と適切な支援については、こども家庭庁設置法案の規定とともに、関係法の整備法案の着実な進捗を期待します。
また、市長としての教育委員会と市長部局の連携支援の経験から、児童生徒のいじめ、虐待対応、そして不登校等の支援については、家庭、学校、地域の適切な取組が必要です。
子供、父母や子育て当事者に必要な施策が届くアウトリーチあるいはプッシュ型のサービスの推進のためにも、個人情報保護、セキュリティーが確保された上での適切なデジタル化が必要です。
三点目は、勧告機能を持っていることの重要性です。
各省大臣に対して必要な資料提出や説明を求め、必要なときには勧告する権限の適切な運用、そして、設置される予定のこども家庭審議会による定量的のみならず定性的な調査に基づく的確な提言に期待しています。
四点目、こども家庭庁の政策の実現を担保する十分な独自財源の確保を求めます。
こども家庭庁独自の政策については、従来子供に関係する事業を行ってきた府省の予算枠から移す対応のみでなく、独自予算確保を期待します。
基本方針には、次のように明示されています。政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくという検討の加速化を期待します。
このほか、議員立法による休眠預金等活用法に基づく休眠預金等の活用の場合には、表一に示されていますように、優先的に解決すべき社会課題の最初に子供及び若者の支援に係る活動を置き、経済的困難など、家庭内に課題を抱える子供の支援、日常生活や成長に困難を抱える子供と若者の育成支援、社会的課題の解決を担う若者の能力開発支援に取り組む民間公益活動に対して助成を行っています。この制度がコロナ禍や原油高、物価高の中での子供、若者支援を含む民間公益活動の持続可能性への支援は有益であり、この制度の継続、発展を期待します。
五点目に、こどもまんなかの理念の国民全体の共有とその実現を目指すために、行政、関係団体のみならず、幅広い地域人財の確保が必要です。
こどもまんなかの理念を国民全体が共有し具体化していくためには、まずは国及び自治体職員の確保と育成が必要です。市民や市民活動団体との協働の経験からも、子供、子育てに係る専門職の拡充が求められるとともに、地域において子供、若者支援や子育て支援の活動を行う地域活動団体の活動が広がり、円滑に行われるためには、多様で適切な人財育成と確保に努める必要があります。
最後に申し上げます六点目は、附則の検討規定の意義です。
こども家庭庁設置法案の附則では「政府は」を主語とし、こども基本法案附則では「国は」を主語として、法律施行後五年を目途として検討することについての規定があります。これは、法律の施行状況の評価、検証を前提として必要な措置を講ずるというPDCAサイクルとEBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングを担保する規定として極めて重要です。
以上、子供を産みたい人々が安心して子供を産み育てることができる、誰一人取り残さない、こどもまんなかを実現するこども家庭庁の取組となりますことを心から期待して発表といたします。
どうもありがとうございます。