金子原二郎の発言 (農林水産委員会)
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○国務大臣(金子原二郎君) 皆さん、おはようございます。
農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べます。
我が国の農林水産業、食品産業の現場では、多くの方々が新型コロナによる影響を受けておられます。また、鳥インフルエンザや豚熱など、家畜伝染病も発生し、その対応が続いているほか、軽石漂着や潮位変化などの火山噴火による被害も発生しております。
このような困難な状況の下、現場の最前線で御尽力されている方々、そして、新型コロナや家畜伝染病との長期にわたる闘いに御協力をいただいている全ての関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。この困難を乗り越え、影響や被害を受けられた皆様が一日でも早く日常を取り戻せるよう、農林水産大臣として誠心誠意努めてまいります。
以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方について申し述べます。
我が国の農林水産業は、関連産業である食品産業などとともに、国民の皆様に食料や木材を安定供給し、地域の経済やコミュニティーを支えております。そして、その営みを通じて、国土の保全、景観の維持等の多面的機能を発揮しております。
農林水産業、食品産業の現場では、人口減少に伴うマーケットの縮小や農林漁業者の減少、高齢化などの課題に直面しているほか、国内外で重要性が高まっている気候変動等の問題にも適切に対応していくことが求められています。
他方、世界に目を向ければ、世界の飲食料のマーケットは年々拡大しています。現に、我が国の農林水産物・食品の輸出額は、新型コロナの影響を受ける中でも拡大が続いており、昨年は長年の目標であった年間一兆円を突破いたしました。
農林水産省としては、まず、新型コロナにより影響を受けている方々への対策をしっかり行うとともに、世界の食市場を獲得するための農林水産物・食品の輸出促進、みどりの食料システム戦略を踏まえた環境負荷低減の取組推進、さらには、これらを進めるための土台となるスマート農林水産業の推進など、施策を着実に進めてまいります。
これらを通じて、農林水産業の生産基盤を強化し、農林水産業の成長産業化を推進するとともに、家族経営や中山間地域を含め、農林水産業や農山漁村の持つ多面的な機能を維持し、新しい資本主義の実現に貢献してまいります。
以下、具体的な施策を申し述べます。
まず、新型コロナ対策です。新型コロナの感染拡大の影響を受けた農林漁業者の皆様や、食品産業を始めとする関連産業に従事される皆様の生産基盤を守るため、需要喚起や販売促進の支援など、しっかり取り組んでまいります。燃油や配合飼料の価格高騰の影響緩和を図るセーフティーネット措置についても着実に実施してまいります。
農林水産物・食品の輸出促進については、二〇二五年の輸出額二兆円、さらには二〇三〇年の輸出額五兆円の目標達成に向けて、輸出拡大実行戦略を踏まえた対策の強化を図ります。品目団体の組織化や必要な設備投資等への支援などを推進するため、輸出促進法などの見直しを行うとともに、輸出先国での支援強化など、官民一体となった取組を更に進めてまいります。あわせて、政府一体となって、日本産食品の放射性物質規制の撤廃に向け、より一層働きかけてまいります。
みどりの食料システム戦略に基づく政策を推進してまいります。農薬だけに頼らない病害虫防除への転換、化学農薬、化学肥料の低減や有機農業の拡大など環境負荷低減につながる取組について、生産者や地域ぐるみの活動、技術開発等を促進する法制度の整備を行うとともに、予算、税制、金融上の支援措置を講じてまいります。
デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組を進めてまいります。農林漁業者の減少、高齢化が進む農林水産分野においては、デジタル技術を活用したスマート農林水産業を推進することが不可欠です。このため、センサーで把握した栽培管理データを産地で共有することなどによる経営の高速化、シェアリング等を行う農業支援サービスの育成、スマート農業に適した農業農村整備、林業機械の自動化、漁獲情報等の電子的収集体制の構築などを進めてまいります。農林水産省共通申請サービスにより三千件を超える行政手続をオンライン化し、申請者の利便性を向上させます。
また、活力ある農山漁村を次の世代に継承していくため、日本型直接支払により地域を下支えしつつ、デジタル技術も活用して、農山漁村が持つ価値や魅力を組み合わせ、多様なアイデアにより、所得と雇用を生み出す農山漁村発イノベーションを推進するとともに、農泊、ジビエの利活用、農福連携などの取組を進めてまいります。あわせて、農用地の保全と農山漁村の活性化の取組を円滑に進めるための法制度の整備を行います。
農業者の減少や高齢化が進む中で、農業の成長産業化や所得の増大を更に進めていくためには、担い手の育成、確保と生産基盤の強化が何よりも重要です。
生産基盤である農地については、地域の話合いにより、目指すべき将来の農地利用の姿を明確にし、それを実現すべく、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくこととし、そのための法制度の整備を行います。また、新規就農者の育成、確保に向けて、新たに経営発展のための機械、施設等の導入を地方と連携して支援します。
米政策については、新型コロナによる需要減少の影響を踏まえ、当面の需給安定に向けては、十五万トンの特別枠を設け、中食、外食等への販売促進などを支援してまいります。また、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を一層推進するため、麦、大豆や野菜、子実用のトウモロコシ、新市場開拓用米などへの転換を進め、産地として定着させる取組への支援を行ってまいります。
持続的な畜産物生産に向け、良質な堆肥の生産、流通や国産飼料の増産を進めるとともに、国内外の需要に応じた生産基盤の強化を推進してまいります。
農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水など農業、農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・地震対策を推進してまいります。
食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と、正確な情報伝達による消費者の信頼確保に取り組みます。
豚熱、アフリカ豚熱などの家畜疾病に対しては、飼養衛生管理の徹底を基本としつつ、検疫探知犬や家畜防疫官の検査体制強化による水際での侵入防止、経口ワクチン散布などの野生イノシシ対策にしっかり取り組んでまいります。
森林・林業政策については、間伐、再造林の推進や、治山対策等による国土強靱化など、森林資源の適正な管理、利用を図るほか、エリートツリー等を活用した新しい林業の展開、国産材の供給力の強化などに取り組んでまいります。あわせて、森林環境譲与税も活用しつつ、森林経営管理制度等により、意欲と能力のある者に森林の経営管理の集積、集約を進めます。さらに、関係省庁が一体となり、CLTの活用や都市の木造化等を通じ、民間建築物を含めた一層の木材利用の取組を促進してまいります。
水産政策については、海洋環境の変化や、新型コロナ、燃油価格高騰などの影響に対応するため、漁業経営安定対策の着実な実施を図りつつ、関係者の理解と協力も得ながら、新たな資源管理システムを着実に実施いたします。
人材の確保、育成や浜プランを推進するとともに、海洋環境の変化に対応した操業・生産体制への転換や、居住性、安全性、作業性の高い漁船の代船建造などによる漁船漁業の構造改革を着実に実施するほか、マーケットイン型養殖の推進等による養殖業の振興や、拠点漁港の整備などを進め、水産業の成長産業化を推進してまいります。
中西部太平洋まぐろ類委員会における太平洋クロマグロの我が国漁獲枠の確保や、北太平洋漁業委員会におけるサンマの資源管理など、地域漁業管理機関などによる資源管理の取組に適切に対処するとともに、違法漁獲の撲滅に向け、外国漁船による違法操業の万全な取締りを行います。水産バリューチェーンの構築など官民一体となった水産物消費拡大や、海業の振興など漁港の有効活用による漁村の活性化も推進してまいります。
東日本大震災から間もなく十一年がたちます。復旧事業により、津波被災農地や水産関係施設などのインフラ復旧は相当程度進展しております。しかし、原子力災害被災地域では、営農再開や水産業、林業の再生、風評払拭等、まだまだ取り組むべき課題があります。引き続き、被災された農林漁業者の方々が再び立ち直るための万全の支援を行ってまいります。
また、ALPS処理水の対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策を行うこととし、風評影響対策等も含めて政府全体で取り組んでまいります。
あわせて、近年頻発する豪雨や台風などの自然災害への備えを強化してまいります。
以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。
昨年末に成立した補正予算や、来年度予算の適切な執行はもとより、制度改正等を通じて、施策の効果を農林漁業者や食品産業の皆様に実感していただけるようしっかりと取り組んでまいります。
長谷川委員長を始め理事、委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻賜りますようにお願い申し上げます。
以上です。