大門実紀史の発言 (本会議)

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○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 会派を代表し、所得税法等改正案に関連して、総理に質問をいたします。
 まず、先ほどNHKが報道したロシアのウクライナ・ザポリージャ原発への攻撃に厳重に抗議をいたします。現在、火災が発生しており、もし爆発したらチェルノブイリの十倍の被害が及ぶと言われております。即時攻撃を中止させるべきです。政府としても早急に厳重な対応をされるように申し入れておきたいと思います。
 こういうロシアの無法で野蛮なウクライナ侵略をやめさせるには、即時撤退を求める大きな国際世論で包囲するとともに、各国と連携した強力な経済制裁が必要です。政府は、昨日、SWIFTからロシアを排除する措置、また一定の資産凍結について発表されましたが、今後の取組について、抜け道を防ぐことも含めて、総理の考えをお聞きします。
 同時に、現在、多くの中小企業は、コロナ禍に加え、ウクライナ情勢による原油、原材料などの高騰で更に苦境に追い込まれています。ガソリン補助金の引上げや無利子融資の延長などにとどまらず、事業者への直接支援、給付金の思い切った拡大など、従来の枠を超えた大規模な中小企業支援策が必要だと考えますが、総理の認識を伺います。
 次に、日本経済の現状と税制の在り方について質問します。
 この二十年、日本は成長できない国になってしまいました。
 二〇〇一年から二〇二〇年の年平均GDP成長率は、アメリカは三・六五%、EUは二・五九%、それに対し日本は僅か〇・〇六%です。なぜ日本の成長率だけがこんなに落ち込んだのか、総理の見解を伺います。
 日本が成長できない国になってしまったのは、二十年以上にわたる新自由主義政策の結果です。
 二〇〇一年に開始された小泉・竹中構造改革は、非正規雇用を拡大し、低賃金構造を固定化しました。アベノミクスは、株価をつり上げて大企業や大株主、富裕層を大もうけさせた上に、法人税減税まで行いました。一方で、国民には消費税増税が押し付けられました。
 企業がもうかれば個人の所得も増え、経済が良くなるというトリクルダウンは起こらず、大企業の内部留保は巨額に膨らみ、富裕層の資産は二倍、三倍に急増しました。富が一部の大企業や富裕層に集中し、世の中全体にお金が回らなくなった。だから、内需が低迷し、経済は長期停滞に陥り、日本は成長できない国になってしまったのです。総理にそういう認識はありますか。
 さらに、日本は競争力の弱い国になってしまいました。
 スイスのシンクタンク、IMDが発表している各国の競争力ランキングで、日本は一九九〇年代初めの世界第一位から、直近では三十四位に落ち込んでいます。また、日本の半導体は、一九八〇年代には世界一の市場シェアを有していましたが、今や韓国や中国に圧倒され、電気自動車の生産、販売台数も中国に追い付けない状況です。なぜ日本はこんなに競争力の弱い国になってしまったのか。総理の見解を伺います。
 日本の競争力が落ちていった最大の理由は、人を大事にせず使い捨てにしてきたからです。
 二〇〇〇年以降、大手の半導体や電機メーカーは、目先の利益ばかりを追求し、リストラを繰り返して、優秀な人材を海外に追いやりました。日経新聞によれば、二〇〇〇年代半ばには、既に数千人の日本人技術者が中国や韓国のIT企業に採用され、新しい技術開発に取り組んでいたとのことです。その後、中国の通信大手ファーウェイや韓国のサムスン電子など中韓のメーカーが急成長したことは周知のとおりです。一方、日本の大企業は賃金を抑え込んで利益を確保し、巨額の内部留保をため込んだものの、競争力は地に落ちてしまいました。
 目先の利益、株主の利益ばかりを追いかける、人間をコストとしか考えないような新自由主義的な経営が日本の競争力を低下させた元凶ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 こういう新自由主義の結果、大企業の内部留保は四百六十六兆円にも膨らみました。一般に、内部留保は企業にとって大事な貯蓄です。設備投資や、いざというときに備えて蓄積するのは当然です。財務省の法人企業統計によれば、九〇年代までは、大企業は売上げを伸ばし、利益を伸ばし、その結果として内部留保も増加させています。この頃は賃金も設備投資も一定伸びていたので、言わば健全な内部留保の蓄積と言えます。
 ところが、二〇〇〇年以降は、売上げは伸びないのに内部留保がどんどん膨らんでいきます。なぜそうなったのか。政府の新しい資本主義実現会議の資料によれば、この点について、大企業が人件費と設備投資を抑えて利益を拡大し、株主への配当と内部留保を増やした。同時に、余剰資金である現預金も倍増させたと指摘しております。
 総理は、分配を重視すると言いながら、結局、分配の原資をつくるためにはまず成長だと、従来のトリクルダウン論を答弁で繰り返しておられます。しかし、分配の原資は既にたっぷりため込まれています。今重要なことは、成長から分配ではなく、大企業に偏在する富を国民に還元する、分配から成長への好循環をつくり出すことです。総理の認識を伺います。
 また、安倍政権以降の法人税減税も大企業の内部留保の拡大に大きく貢献したのは間違いありません。減税額を試算すると三十兆円を超えます。政府の説明では、賃上げや設備投資の促進が減税の目的でしたが、そのようにはならず、結果的にその多くが内部留保の積み上げに回ったのです。
 二月の二十四日、我が党は、大企業の内部留保に課税する新しい案を発表いたしました。安倍政権以降、内部留保の積み増しに回された減税分は、言わば減税する必要のなかった減税です。その一部を返してもらおうというのが基本的な考え方です。過去に課税しなかった分を追徴するという意味であり、いわゆる二重課税には当たりません。
 具体的には、二〇一二年度から二〇年度までに増えた内部留保の額から、その間の設備投資の増加額、人件費の増加額、環境対策、いわゆるグリーン投資額を控除した残りの額に税率二%を掛けます。期間は、ストックとしての内部留保への課税ですので、五年間に限定をします。五年で約十兆円の財源が生まれますが、これは最低賃金を大幅に一気に引き上げるための中小企業等への支援に使います。この課税は、賃上げ効果だけでなく、不公平な税制を正し、同時にグリーン投資を促進する効果もあります。
 岸田総理は、二月二十五日の参議院予算委員会で、この提案に対し、一つの手法と否定はされませんでした。総理は、賃金抑制と減税のおかげで増え続ける大企業の巨額の内部留保をこのまま放置していいとお考えでしょうか。総理の見解を求めます。
 我が党は、分配だけでなく、成長も、成長戦略も重要だと考えております。
 賃金を引き上げ、社会保障を立て直す。応能負担の税制を取り戻し、消費税を減税し、内需を活性化していい投資を呼び込む。気候危機打開の取組、ジェンダー平等社会の実現も経済成長につながります。そういう、人を大事にする、人を優しい経済こそ、本当の意味で強い経済であり、国民本位の成長戦略だということを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X00620220304_020

発言者: 大門実紀史

speaker_id: 16551

日付: 2022-03-04

院: 参議院

会議名: 本会議