岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 杉尾秀哉議員の御質問にお答えをいたします。
まず、新しい資本主義についてお尋ねがありました。
新しい資本主義は、市場競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、市場の失敗、外部不経済を是正する観点から、デジタルや気候変動等の社会課題を解決することを成長のエンジンとすることで成長を実現するとともに、持続可能な経済社会を目指すというものであります。
こうした新しい資本主義の実現に向けて、昨年度補正予算や今年度予算に必要な措置を盛り込むとともに、例えば、人への投資という課題については人への投資の抜本強化に向けた三年間で四千億円の施策パッケージの創設、賃上げという課題については賃上げ税制の拡充などの環境整備、デジタル化という課題については5Gや光ファイバーといったデジタルインフラの整備計画の策定、気候変動という課題についてはクリーンエネルギー戦略の策定といった施策の具体化を進めているところです。
新しい資本主義の実現に向けた課題を含めた全体像をお示しすべく、六月までに新しい資本主義の基本的な考え方をまとめたビジョンとその具体策と工程表を含む実行計画、取りまとめてまいります。
サハリン1、2からの資源の輸入停止や、難民認定の拡大についてお尋ねがありました。
サハリン1、2は、単なる資源の売買を通じたビジネスとしてではなく、自国で権益を有し、原油やLNGの長期かつ安価な安定供給に貢献しており、国民生活や事業活動にとって重要であります。今後も権益を保有するという考えに変更はありません。
今後、我が国として、エネルギー安定供給を確保しつつ、G7首脳声明に従い、ロシアへのエネルギー依存の低減に取り組んでまいります。
難民認定については、難民条約の定義に従い、難民と認定すべき者を適切に認定しているところです。また、難民と認められない方であっても、今回のウクライナ避難民のように、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる方については我が国への在留を認めるなど、適切に対応してまいります。
なお、例えば内戦や戦争に巻き込まれて命を落とすおそれがある方など、難民条約上の五つの理由以外の理由により迫害を受けるおそれのある方を適切に保護するため、法務省において、難民に準じて保護する仕組みの検討を進めております。
新型コロナの感染状況やまん延防止等重点措置、そしてイベント需要の喚起策についてお尋ねがありました。
私は、まん延防止等重点措置解除の際、今後しばらくは平時への移行期間であり、最大限の警戒をしつつ、安全、安心を確保しながら、可能な限り日常生活を取り戻す期間としていくと申し上げました。こうした方針の下、引き続き、全体像で用意した医療体制や予防、検査、早期治療の流れを維持し、オミクロン株の特徴に合わせて更に強化しながら、社会経済活動を回復させていきます。
足下で、新規感染者数は、地域による違いがあるものの、全体としては増加傾向にあります。他方で、病床使用率、重症病床使用率は低い水準にあります。また、既に重症化リスクの高い高齢者の八五%のワクチンの三回目接種を完了しております。こうしたことから、現時点で都道府県からまん延防止等重点措置の要請はなく、直ちに重点措置が必要な状況とは考えておりません。
お尋ねのイベント需要喚起に関する事業の開始については、感染状況等を踏まえて慎重に検討していくこととしており、現時点で直ちに始めることは考えてはおりません。
なお、旅行、大人数の会合などの場面における安全、安心を高める取組として、都道府県の判断でワクチン接種歴又は抗原検査キットを活用することを推奨しているところであります。
また、衆議院の審議における答弁、そして規制の限度及び立憲民主党修正案についてお尋ねがありました。
政府としては、衆議院の審議において、例えば、本法案の施行に当たって、基本方針及び基本指針において考え方を明らかにしつつ、具体的な政省令の制定に際しても幅広く関係者の意見を聞くことや、それを通じて恣意性を排除していくことなどを具体的に答弁しております。参議院の審議においても、しっかりと御説明を尽くしてまいります。
お尋ねの本法案の第五条の趣旨は、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図るということです。規制を必要最小限のものとするよう努めることは当然であり、それが合理的に必要と認められる限度ということであると考えております。
御党の修正案については、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図るということを旨とするとの意味において、本法案と大きな違いはないと考えております。こうした基本的な考え方を具体的に分かりやすく示すことは重要であると考えており、基本方針を策定するに当たって配慮してまいります。
また、官民技術協力についてお尋ねがありました。
本法案の枠組みは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保していく観点から、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるためのものです。このため、防衛分野だけを殊更に取り上げることは適切ではありません。
官民パートナーシップの具体的役割については、本法案の協議会では、例えば、政府側の参加者から、研究者からの要望を踏まえ、研究開発の促進に資する情報提供等を行うことが想定されます。このほか、情報管理の基準を含めた協議会の具体的な運営方法は、研究開発の内容や進捗、研究者の希望を踏まえ、個々の協議会ごとに、全ての協議会構成員が納得する形で決めることとなります。
経済安全保障、経済安全保障法制に係る情報保護の重要性等についてお尋ねがありました。
企業が保有する情報の流出防止は、我が国企業の競争力の維持強化とともに、経済安全保障の観点から極めて重要であると認識をしています。本法案においても、特に秘匿の必要性が高い情報を取り扱う手続に従事する者は通常よりも重い罰則を科すこととするなど、情報保護の徹底を図ることとしております。
政府としては、藤井氏の非違行為に関する徹底した調査を行い、結果、法案に関する情報の流出は確認はされませんでしたが、対外不公表文書の外部流出事案を二件確認し、これを信用失墜行為と認定し、他の非違行為と合わせて停職十二か月という極めて厳しい処分を行いました。私から監督責任者であった国家安全保障局長に対して、また、派遣元であった経済産業省においては経済産業大臣から事務次官に対して、それぞれ職務上の厳重注意を行ったところです。
経済安全保障政策に関わる政府の高官がこのような情報の流出に関与したことは誠に遺憾であり、二度とあってはならないことです。私としても、情報保全について更に徹底するよう指導してまいります。
情報保護の重要性等についてお尋ねがありました。
いわゆるセキュリティークリアランスについては、本法案に関する有識者会議の議論や提言を踏まえ、本法案に盛り込んではいません。その上で、本法案の衆議院内閣委員会における附帯決議で示されたとおり、今後検討していくべき課題の一つであると認識をしており、実際にクリアランスが求められる具体的事例の検証などをまずは行ってまいります。
退職者やヘッドハンティングを通じた情報や技術の流出については、これまでも不正競争防止法や外為法などに基づき対策を実施してきたところですが、各企業や研究機関等において情報管理体制を一層強化していただいた上で、研究者の待遇改善や研究環境の整備などに取り組んでいただくことが人材流出防止に資すると理解しており、政府としてもこうした取組を支援してまいります。
また、戦略的不可欠性や産業競争力の獲得に関しては、近年重要性が増している宇宙、海洋、量子、AIなどの研究開発等について、本法案の官民技術協力の枠組みを通じて推進し、民間投資を呼び込んでまいります。これにより、国民生活の向上や経済成長にとどまらず、世界が直面する様々な課題への積極的な貢献につなげてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕