柴田巧の発言 (本会議)
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○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案について、岸田総理にお尋ねをいたします。
まず、冒頭に申し上げます。
ロシアのウクライナへの侵攻が始まって、一か月半余りがたちました。この間、全く罪のない子供たちを始め多くの尊い命が犠牲になりました。改めて、ロシアによる侵略と無差別殺人を非難するとともに、亡くなられたウクライナの方々に心より哀悼の意を表します。
ロシア政府に対しては、即刻武器を置き、完全撤退するよう強く求めると同時に、日本と世界の平和を断固守り抜く我が党の決意を表明し、質問に入ります。
ロシアの蛮行によって、冷戦後均衡を保ってきた国際秩序が大きく揺るがされ、日本を取り巻く安全保障環境も劇的に変わりました。
ロシアと同じく覇権主義を妄信する中国は、軍事、経済両面で存在感を拡大させ、米中による覇権争いが激しさを増しています。加えて、台湾有事は現実味を帯び、北朝鮮からは弾道ミサイルの発射が繰り返されています。
今後、この変化のテンポは更に加速するものと予想されます。ゆえに、今こそ、従来の枠組みにとらわれない安全保障の抜本的な強化が必要不可欠です。そういう意味でも、我が党は、今国会での経済安全保障法制への取組はその重要な第一歩になると確信をしています。
経済安全保障について国民がより理解を深めるためにも、その範囲や対象、方向性を明確にするとともに、実効性が担保されることが肝要です。
衆議院での審議において、我が党は、現実に即した、客観的に合理性の高い修正案を提示しましたが、政府側が説得力のある反論ができないまま無視を決め込んだことは甚だ遺憾です。実効性を脇に置いたままの欠陥法案だと言われても仕方ありません。
その上でお尋ねをします。
第一条などに、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為の規定がありますが、具体的には何を指すのですか。範囲を曖昧にしたり、経済界へのそんたくで狭めたりすれば実効性が著しく低下しかねないと考えます。法案成立後に定める基本方針にしっかり明記すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
政府は経済安全保障の定義を明確にしていませんが、中国の新疆ウイグル自治区等での人権弾圧問題や気候変動問題を含めて経済安全保障の対象と見る向きもあります。エネルギー安全保障や食料安全保障との政策の関係性を含めて、経済安全保障の対象や方向性をもっと明確にすべきではありませんか。総理の御認識をお伺いをします。
総理は、今国会の施政方針演説で、おおむね一年を掛けて、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を策定することを表明をしました。これを受け、政府では、国家安全保障戦略の改定に向けて、本年一月から有識者との意見交換会が始まりました。
国家安全保障戦略が平成二十五年に初めて策定されてからこの八年間で、さきに述べたように、情勢は様変わりしました。それを背景として、経済安全保障を戦略の中に位置付けることは当然の流れです。そこで、年末までに改定される国家安全保障戦略においては、経済安全保障の重要性をどのように明記すべきと考えますか。総理の御認識をお伺いをします。
次に、経済安全保障推進の体制などについてお尋ねをします。
本法律案は、まず法制上の措置をとるべきものとして四本柱から構成されますが、セキュリティークリアランスなど早急に整備すべき制度が残っています。
また、既存の制度についても、外為法による対内直接投資審査制度、安全保障貿易管理、重要土地等調査法の施行など、一体的な経済安全保障政策を推進する上で整理すべき課題は無数にあります。
現在、政府において、経済安全保障に関する施策は、経済安全保障担当大臣の統括の下、国家安全保障局経済班による各府省の政策の総合調整を通じて行われていると考えていますが、本法律案の成立後は、内閣府に新設されるという新組織と併せ、どのような体制、役割分担で経済安全保障政策を推進をしていくのか、総理にお伺いをいたします。
地方公共団体における経済安全保障についてお尋ねをします。
地方自治体においては、安全保障の担い手であるという意識が弱いところがあることは否定できません。しかし、基幹インフラである上下水道や港湾、医療、鉄道などを多く保有しています。また、地方には、大企業の研究所や、重要な先端技術を有し、大企業を下支えしている中小企業も多数あります。
このように、地方自治体は安全保障上、経済安全保障上極めて重要です。そこで、これまで余り日が当たらなかった地方自治体における経済安全保障上の対策について、国においても必要な支援と調整を行っていくべきと考えますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
さて、今回の法案は、経済安全保障を推進するためのまさにファーストステップにすぎません。
衆議院本会議で総理は、我が党の青柳仁士議員の質問に対し、変化のスピードが速い国内外の情勢によって、講じるべき経済安全保障上の措置も変わり得ることから、今後も、幅広く、不断に点検、見直しを検討し、必要な取組を進めてまいりますと答弁しました。情勢変化に的確に対応していくのは当然のことです。
そこで、法案成立後、経済安全保障施策を具体的にどのように点検、見直し、拡充を図っていくのか総理にお伺いをいたします。
罰則に関して、我が党は再三にわたりその必要性を訴えてきました。政府案への対案として衆議院に提出した法案では、半導体や医薬品といった重要物資の安定供給に向けて国が企業の調達先などを調査する権限を強化するため、協力しなかった企業に対する罰則を規定することとしていました。
我が党の提出法案は残念ながら否決をされましたが、与党の事前審査の段階で削除されたサプライチェーン調査に係る罰則をめぐる衆議院内閣委員会での議論を踏まえ、附帯決議十六において、同調査の実効性を確保するための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることという項目が入りました。
本来、この附帯決議の内容については、このように執行を猶予すべき性格のものではありません。日本の法制が整わない間に悪意の事業者が暗躍する事態は十分想定されますが、総理はどのように受け止めていますか。少なくとも、課題が現実に露呈すれば、実効性を担保するための措置を速やかに講じると約束していただけませんか。併せて総理にお伺いをいたします。
続いて、インテリジェンス機能の強化についてお聞きをします。
経済安全保障上の脅威を見極めるためには、インテリジェンス機能が重要です。情報を活用し、我が国に迫る現在の脅威や未来予測などを分析する能力を備えた人材育成を行っていく必要があります。また、各省庁において短期間でポストを異動させるのではなく、長期にわたって一つのテーマに専従できる情報分析の専門官を多く育成することも重要です。
経済インテリジェンスに係る人員について約百三十人の定員を増やすとのことですが、どのような業務に従事させるのか、また、インテリジェンスに係る人員の育成、専門性の向上にどのように取り組むのか、併せて総理にお伺いをいたします。
最後に、原子力発電所の警護についてお尋ねをします。
全国知事会が先月三十日、原発に対する武力攻撃に備えるよう政府に求めました。ロシアがウクライナで原発を砲撃したことを受けての緊急要請であり、脅威が現実になったことを考えると当然の要望です。
国内の原発は、災害による重大事故やテロに対策する備えは求められていますが、軍事攻撃を想定した施設にはなっていません。このため、全国知事会は、原発に向けてミサイルなどによる攻撃が行われる事態を想定し、自衛隊による迎撃体制の整備と部隊の配置に万全を期すよう政府に求めました。
日本は専制主義国家に海を隔てて接しているからといって、原発に対する武力攻撃を想定外として放置しておくわけにはいきません。ましてや、北朝鮮がミサイル発射を繰り返している現状を考えても、自衛隊による警護が必要な段階に来ています。政府においては、その体制や法整備の検討を進めるべきです。
そこで、平時からの自衛隊による原発警護に道を開く自衛隊法改正について総理の御見解をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕