熊谷裕人の発言 (本会議)

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○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 初めに、ロシアの侵略で犠牲になられたウクライナの人々に心から哀悼の意を表しますとともに、たった今も戦禍の苦しみの中におられる多くの罪なき人々に心よりお見舞い申し上げます。そして、一刻も早い戦争の終結を望みます。
 去る三月二十三日、私たちは、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説をオンライン形式で聞きました。大統領は、日本はこうした役割を果たすアジアのリーダーです、日本は、ロシアが始めたこの残酷な戦争を止めるために、ウクライナの平和のため、すぐに動き出してくれましたと感謝の言葉を述べられました。
 岸田総理、ゼレンスキー大統領からの感謝の意に応えるために、ウクライナを訪問し、大統領とお会いして直接支援のメッセージを伝えてはいかがでしょうか。
 そして、ロシアに対しては、プーチン大統領と安倍晋三元総理は、ウラジミール、シンゾーと呼び合う親密な関係であり、安倍政権下で十一回訪ロし、プーチン大統領とは計二十七回の首脳会談を行っていますので、安倍元総理の豊富な外交経験を我が国のために是非生かしてもらうべく、安倍元総理を外交特使としてロシアに派遣し、プーチン大統領の真意を確かめ、これ以上の軍事行動をすぐさまやめるように働きかけてはどうでしょうか。岸田総理、いかがですか。
 中国は、国連総会の三月二日のロシア軍の即時撤退を求めた決議、同月二十四日のウクライナでの人道状況の改善を求めた決議では棄権し、今月七日の国連人権理事会でのロシアの理事国資格を停止する決議では反対しています。
 林外務大臣は、中国に対して責任ある活動を呼びかけていると発言されていますが、責任ある活動を呼びかけるだけでなく、首脳会談や外相会談を開催して、国際社会と協調してロシアへ厳しい対応を取るように直接働きかける必要があるのではないでしょうか。総理と外務大臣のお考えをお聞かせください。
 ロシア軍は、ウクライナ各地で公共施設や学校、病院、住宅等へ無差別に近い攻撃をし、多数の民間人に死傷者が発生していること、そして、キーウ近郊の地域では無辜の民間人が多数虐殺されたと報じられています。民間人や民間施設への攻撃及び虐殺は重大な国際法違反と国際人道法違反であり、到底正当化できず、断じて許すことはできません。
 我が国も、ロシアのウクライナでのこの残虐な事態を国際刑事裁判所、ICCに付託し、責任追及を後押しする姿勢を示しています。ウクライナにおける捜査体制を強化するためのICCに対する人材面、財政面からの支援が必要ではないでしょうか。
 また、今月八日、岸田総理はICCへの分担金の支払を前倒しすると表明しましたが、どれほどの支援を上乗せするのでしょうか。総理と外務大臣、それぞれどうお考えですか。
 ウクライナ侵略を契機に、SWIFTからの排除やロシア中央銀行を対象に含む資産凍結措置など、ロシアに対する各種の経済制裁措置が実施されたことで、直後には通貨ルーブルの相場下落やロシア国内金融機関における取付け騒ぎなどが見られました。その後も、格付会社によるロシア国債の一部デフォルトが認定されたほか、主要格付会社がロシア関連の格付そのものを撤回したことにより、国際金融市場から資金調達の途も閉ざされたことで、ロシア国内の金融システムは引き続き大きく動揺することが想定されています。
 政府には、経済制裁自体の実効性を確保するためには、こうした状況がロシア国内のみならず世界経済、金融全般に及ぼす影響にも十分注意を払う必要があり、国際的な金融システムの安定を確保すべく、各国の金融監督当局や中央銀行は、状況の変化を監視しながら協調して対応することが求められているのではないでしょうか。総理と財務大臣はどう取り組まれますか。
 今月十一日、政府は、ウクライナからの避難民への住居や生活費、医療費などの支援の具体的な内容を発表しましたが、その対象は日本に親族や知人がいない避難者でした。日本に親族や知人がいる避難者に対しても、その親族や知人を含め、生活費などの支援が必要ではないかと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 そして、そもそもウクライナからの避難民は、難民条約上の難民として認定するべきと考えます。
 政府は、これまで、同条約が定める人種、国籍、宗教、特定の社会集団の構成員であること、政治的意見の五つの理由に当てはまらないということで、難民認定申請をほとんど認めてきていません。
 国連難民高等弁務官事務所が二〇一六年に公表した国際的保護に関するガイドライン12にある武力紛争及び暴力の発生する状況を背景とした難民認定申請に従えば、ウクライナからの避難民は難民条約上の難民として認定、保護される人がほとんどであると考えています。総理は準難民制度の創設を目指すと表明しておりますが、この際、我が国の難民政策を抜本的に転換するべきだと考えます。総理と法務大臣、それぞれお答えください。
 ウクライナ危機の影響などで、円相場は一ドル百二十六円という二十年ぶりの急速な円安水準に達し、原油高、そして鉱物資源、食料価格の高騰によって、国民生活を損なう物価高が到来しています。我が国の国民生活を守るためにも、有効な物価抑制策を取る必要があります。
 立憲民主党は、四月八日に総額二十一兆円規模の緊急経済対策を発表し、時限的な税率五%への消費減税や、エネルギー購入費補助、さらにはワーキングプアの方々や低年金者、低所得子育て世帯に五万円を給付する生活支援策などと同時に、債務減免や事業復活支援金の上限額二百五十万円の倍増などの事業者支援策を公表しています。
 巷間、二〇二〇年度に百三十二万人が利用した小中学生への就学援助制度ですが、昨年夏の概算要求を基に決定された国の基準額では、今般の急激な物価上昇で、保護者の支出が支給額を上回るだろうとも言われています。
 物価高対策は迅速に行わなければなりません。我が党の提案を、是非、岸田総理の聞く力をもって取り入れ、このような想定されていなかった事態において、早急に補正予算を組み、大胆な政策を打ち出すべきと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 今回の二法案は、いずれも国際社会からも厳しく糾弾されているロシアに対する経済制裁を強化する手続整備であり、速やかに進めていくべきものですが、不十分な点もあります。
 関税暫定措置法改正案は、WTO協定上の最恵国待遇原則に基づくWTO協定税率をロシアに適用しないようにするための措置を講ずるもので、国際社会と緊密に連携して実施するロシアへの制裁措置の一環であり、その意義は認めます。
 ただし、今回のロシアによるウクライナ侵略を受けた対応ということであれば、ロシアに特化した特別措置法という形式を取ることも考えられたはずで、その方が国際社会への明確なメッセージになります。関税暫定措置法を改正し一般的な制度を創設することとしたのはどういう理由によるものでしょうか。総理、お答えください。
 また、WTO協定税率の適用を撤回して国定税率を適用するに当たり、具体的な対象国や対象物品、適用期間については政令で定めることとしています。そのため、国会はあらかじめ決定手続に関与することができません。また、国際関係の緊急時においてとの要件もありますが、何をもって国際関係の緊急時とするのか、判断基準も明確でありません。
 対象国や対象物品、適用期間が野方図に拡大するなど、不適当な政令が決定されないようにしなければなりません。政府としては、どのような立法府への対応を考えているのでしょうか。財務大臣、お答えください。
 外為法改正案は、暗号資産交換業者が行う顧客の暗号資産の移転について、制裁対象者に対する移転に該当しないこと等を確認する義務を新たに課すこととしています。
 暗号資産交換業者については、平成二十八年の法改正により、登録制度が導入されるとともに、マネーロンダリングやテロ資金供与規制の対象とされてきました。一方、外為法に基づく資産凍結措置については、銀行等には制裁対象者への送金でないことなどを確認する義務が課せられているものの、暗号資産交換業者に対しては義務が課せられていませんでした。
 マネロン、テロ資金供与対策を強化する観点から、こうした外為法に基づく確認義務等についてももっと早く課すべきだったのではないでしょうか。今日に至るまで措置されなかった理由は、財務大臣、何だったんでしょうか。
 暗号資産交換業者の規模は様々であり、比較的新しい事業者も多いものです。今次改正によって新たに課せられる適法性確認義務や本人確認義務などについて、全ての暗号資産交換業者が速やかに対応することができるのでしょうか。
 制裁の実効性を高めるためには、事業者が確認義務等を適切に履行できているか等について政府が十分にモニタリングを行い、必要な対応を取ることが重要ですが、政府はどのように取り組んでいく方針でしょうか。金融担当大臣、お答えください。
 また、制裁対象者から第三者への暗号資産の移転が外為法上の規制対象に追加されることとなりますが、現状、暗号資産を活用した制裁回避が実際にどの程度行われているのでしょうか。そもそも、暗号資産交換業者を介さない個人間のやり取りを全て把握することは困難との指摘もあります。
 政府は、暗号資産をめぐる取引実態の把握をどのようにして行うのでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
 また、今次改正は、G7で足並みをそろえ、暗号資産が制裁の抜け穴とならないように規制を強化するものであり、国際協調としても意義のある対応です。しかし、主要国だけでこうした措置を実施したとしても、大きな効果は期待できないのではないでしょうか。制裁に参加していない国、地域が抜け穴となり、そこに制裁対象者の暗号資産が逃避できる状態では、制裁が意味を成さなくなってしまいます。暗号資産の規制も含め、より多くの国がロシアに対する制裁に参加するよう働きかけることが不可欠です。我が国としてどのように取り組んでいくのでしょうか。総理、外務大臣、お答えください。
 最後に、岸田総理、ゼレンスキー大統領は、国会に向けての演説の中で、遠く離れた両国ですが、私たちは似たような価値観を持っています、同じように温かい心を持っているので、実際には両国間の距離は感じられません、両国の協力、そしてロシアに対する更なる圧力によって平和がもたらされるでしょう、そして、私たちの国を復興し、国際機関の改革も実現できるでしょう、そして、そのときも、今と同じように日本が私たちと反戦の連帯を組んでくれていると確信していますと締めくくっています。
 ゼレンスキー大統領を始めウクライナ国民の期待に沿い、両国の距離を感じさせない私たち国会議員の真摯な取組、そして岸田総理の反戦と来るべき復興支援の決意を示すべきではないでしょうか。
 日本国憲法前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とあります。この前文を念頭にした岸田総理の強い決意を改めて問い、私の質問を終わりたいと思います。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 熊谷裕人

speaker_id: 3116

日付: 2022-04-15

院: 参議院

会議名: 本会議