青山繁晴の発言 (本会議)
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○青山繁晴君 自由民主党の青山繁晴です。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について、自由民主党・国民の声を代表して、萩生田経済産業大臣に質問いたします。
最初に、原稿にはありませんが、知床の凍えた海に犠牲になられた方々に魂からお悔やみを申し上げます。
ロシアによるウクライナ侵略という惨劇は、赤ちゃんや妊婦の方、戦うことがあり得ない庶民の健康や幸福、命までも奪い続けています。プーチン大統領に対し、満腔の憤怒と悲痛の思いを持って抗議します。
そのウクライナ侵略が白日の下にさらしたものの一つが、エネルギー危機の重さです。
資源を自前で持たず、他国に依存するままにしておけば、国と国民をどれほどのリスクにさらすか、それが明らかになりました。自前資源を含めたエネルギーのベストミックスをつくっていかねばなりません。それが激しい気候変動を抑えることも直結していきます。これは後でお話しします。
現在、日本のエネルギー自給率は一一%にすぎません。化石燃料を海外からの輸入に深く依存しているからです。これを見て、日本は資源のない国だと子供の頃から思い込まされてきた方が多いのが日本社会です。
しかし、それは地上産出の資源の話です。資源には地上産出と海洋産出があり、地上産出の時代は終わりに向かっていて、世界の趨勢は海洋資源の実用化です。日本の海の広さは、国連加盟国百九十三か国の中で第六位という高い次元にあります。人類は、水圧がのしかかり、呼吸もできない海中の資源には手を出せず、取り出しやすい陸上の資源から実用化してきました。しかし、海底や海中の資源を海中ロボットによって取り出せる時代が既に始まっています。広大な日本の海には、燃える氷と呼ばれるメタンハイドレートやマンガン団塊、コバルトリッチクラスト、金、銀、銅を含む熱水鉱床、レアアース泥といった自前資源が多様かつ豊富に存在しています。例えば、日本の海洋進出の、海洋産出のレアアース泥でいえば、陸上で取る中国産の実に二十倍の純度があることが確認されています。
そこで、我が国は実は隠れた資源大国であるということを具体的に認識し、日本の海が抱擁する豊かな自前資源の実用化に取り組むべきです。大臣の御見解をお伺いします。
温室効果ガスの排出を抑えるための鍵の一つは、水素とアンモニアにあります。水素、アンモニアは、温室効果ガスを排出しない火力発電への転換や幅広い産業分野の脱炭素化の実現を可能にします。特に水素については、世界的に国家戦略に基づいた取組が本格化しています。
本法案により、水素、アンモニアといったエネルギーとして使うときにCO2を出さない燃料の利用促進が進められます。では、具体的にどのように水素やアンモニアの利用促進を進めていくお考えでしょうか。お伺いします。
現在、政府には、水素基本戦略、そして水素・燃料電池戦略ロードマップ、さらに水素・燃料電池技術開発戦略という三戦略があります。しかし、相も変わらず輸入頼みの発想です。オーストラリア産出の石炭の中でも質の低い安価な褐炭をガス化して水素を取り出し、液化して日本へ運ぶことに国が取り組んでいます。しかし、輸入のための輸送エネルギーの消費やコストの問題があります。そもそも、エネルギー自給率の向上には全くつながりません。
我が国の海に眠るメタンハイドレートは、分かりやすく言えば、天然ガスの主成分のメタンが海底で高圧と低温によって凍っているものです。この自前資源から水素を取り出すことは技術的に複雑ではありません。製造コストも褐炭からのものと比較して圧倒的に優位です。メタンハイドレートは、新潟県の佐渡島の北ではなく南から、すなわち日本の領海で採取できるので、他国との摩擦も生じません。しかも、新潟県の上越沖のメタンハイドレートから得られるメタンは、私自身も民間の専門家時代に加わった研究航海によれば、純度が九〇・八%に達します。天然ガスのメタンが八八・二%のブルネイ産から六五・八%のアメリカ産まで、各国産の全てを上回る高純度です。
萩生田大臣は、三月の予算委員会での私の質問に、メタンハイドレートは、我が国へのエネルギー安定供給の観点、また将来的な水素の原料として極めて重要な国産資源と捉えているとの答弁をいただきました。では、本法案を進めるに当たって、メタンハイドレートをどのように戦略的に位置付けて水素の自前資源化を進めていくお考えでしょうか。
メタンハイドレートから製造した水素の商用化について伺います。
メタンハイドレートには二種類あり、太平洋側に多い砂層型、すなわち海底の更に下の地層で砂と混じり合っているタイプと、日本海側に多い表層型があります。表層型の中には、海底から比重の軽いメタンハイドレートの粒が大量に海中へ浮上してきてスカイツリーのように柱状になって立ち上がっているメタンプルームと呼ばれるものがあります。高さも、大まかな平均では、ちょうどスカイツリーくらいの六百五十メートルあります。このメタンプルームは、砂などと混じり合っていないために、前述のとおりに純度が極めて高いことも特徴ですし、そのメタンは、メタンプルームが立ち上がってくるのを人工膜でつかまえて回収できます。すなわち、海底を掘削する必要がないので、漁業や環境に悪影響を与える心配が少なくなります。
そもそも、メタンプルームの周辺は微生物が多いため、それを餌にするカニなどが集まって、良い漁場ともなっています。私自身、カニ籠漁の漁家を訪ね、また研究者がその漁船にも乗り、連携が始まっています。そして、上越沖でメタンプルームの研究調査船に乗ってみると、新潟の街の明かりや佐渡の明かりが海域によっては見えるほど近い環境にあります。八千数百キロかなたのカタールから天然ガスを液化して輸入している現状と比べると、コストは桁違いに有利です。
更に重大な点は、メタンプルームを活用していない現在では、そのメタンが海面からやがて蒸発して温暖化につながっている懸念のあることです。メタンの温暖化効果は、CO2のおよそ二十五倍です。これを海中に設置した人工膜でつかまえて火力発電で活用すると、むしろ温暖化効果を下げることが期待できます。使った方が環境を改善する化石燃料があるというのは、私が国際学会で関連の口頭発表を行ったときも、世界から集まった学者の中からどよめきが起きました。
自前の良質なエネルギー源を入手でき、環境を改善し、漁業とも調和し、しかも、実用化できれば、人口減に苦しむ日本海側に資源産業という日本にはできないはずの新たな産業群をつくり出すこともできます。
メタンプルームから水素を作るには、水蒸気改質法、直接分解法、光触媒法があります。このうち水蒸気改質法は既に工業的に確立されており、商用化への技術的課題は少ないのです。データの積み重ねなどの課題が残るのみです。
そこで、メタンハイドレートからの水素製造や、その商用化に向けて、関連する大学や研究機関、民間企業を政府の支援で束ねていく官民連携を実現すべきですが、お考えをお聞かせください。
メタンから水素を製造する際には、CO2が発生しない方法もありますが、方法によっては発生します。このCO2については、本法案に事業支援スキームが盛り込まれているCCS、カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージという二酸化炭素を地下に閉じ込めてためる技術があります。このCCSについて、CO2回収方策としての実現可能性はどれくらい優位とお考えか、お聞かせください。
レアアース、レアメタルは、先端産業に欠かせない資源ですが、現状では、供給国が限定されています。本法案では、レアアース、レアメタルの権益確保の諸策が盛り込まれていますが、海洋に存在するレアアース、レアメタルの実用化のためには、深海部でも活躍できる自律型海中ロボット、AUVといった最新技術を国産技術として開発することが重要です。見解をお聞かせください。
最後に、日本の海を守り、活用することは、自前資源の確保に加えて技術開発、そして過疎に苦しむ日本海側の産業勃興という真の国益を生み出すことを強く訴えまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕