古川禎久の発言 (本会議)
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○国務大臣(古川禎久君) 山添拓議員にお答え申し上げます。
まず、紛争地域から逃れてきた避難民の方々の医療費等の支援についてお尋ねがありました。
身元引受先のないウクライナ避難民の方々については、その境遇に鑑み、一時滞在施設利用中、生活費や医療費を支給し、施設退所後も、原則として当面の間生活費を支給するほか、必要な医療費についても支援することとしています。
また、身元引受先の有無やウクライナ避難民であるか否かにかかわらず、本国情勢等を踏まえた人道的配慮により、特定活動の在留資格を付与した外国人の方々については、国民健康保険への加入が可能となります。
海外から我が国に避難してきた方々に対しては、本国情勢等を踏まえ、個々の置かれた状況等にも配慮しながら、政府全体として人道的な対応に努めてまいります。
次に、インターネット上の誹謗中傷に対する認識についてお尋ねがありました。
一般的に、誹謗中傷は、その内容によっては相手の自尊感情を傷つけ、精神的に追い詰め、私生活の平穏を脅かし得るものです。
加えて、インターネットを利用した誹謗中傷は、インターネットという性質上、公然と行われることが多く、その場合には、過激な書き込みが次々に誘発され、多数の者からの誹謗中傷の内容がエスカレートして非常に先鋭化することがあるという特徴を有しており、被害に遭われた方の社会的評価を大きく低下させる事態を招来します。
このような事態を見過ごすことなく、インターネット上で公然と行われる侮辱行為を抑止するとともに厳正に対処するためには、今回の法改正によって侮辱罪の法定刑を引き上げることが必要であると考えております。
次に、公然性の要件を満たさない誹謗中傷への対応についてお尋ねがありました。
今回の法改正は、公然と人を侮辱する侮辱罪について、厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示し、侮辱行為を抑止するとともに、当罰性の高い悪質な侮辱行為に対して、これまでよりも厳正な対処を可能とするものであり、インターネット上の誹謗中傷対策になると考えております。
公然性の要件を満たさない場合には侮辱罪の処罰対象にはなりませんが、処罰対象とはならない事案であっても、被害に遭われた方を救済するために、行政的な諸施策を推進していくことが重要です。
法務省においては、例えば人権相談への対応や、プロバイダー等に対する投稿の削除要請などを行っていますが、引き続き、関係省庁、関係機関とも連携し、必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
次に、侮辱罪の法定刑の引上げに関する法制審議会の部会の構成員及び議論の状況等についてお尋ねがありました。
法制審議会の部会に属すべき委員は、法制審議会の承認を経て法制審議会の会長が指名することとされており、お尋ねの部会の委員については、法制審議会から一任を受けた会長により指名されたものです。
この部会においては、この分野に精通した刑事法研究者も交えて、侮辱罪と表現の自由との関係を中心に集中的な議論が行われ、正当な表現行為が処罰されない根拠や特例規定の要否、当否などについて、充実した議論が行われたものと承知しています。
この部会でも確認されたとおり、正当な表現行為については、刑法第三十五条の正当行為として違法性が阻却され、処罰されないと考えられる上、侮辱罪は、名誉毀損罪と異なり、事実の摘示を前提としておらず、御指摘の特則を適用する前提を欠くことから、侮辱罪について、これと同様の規定を設けることはしておりません。
次に、拘禁刑の創設と人の内心の関係についてお尋ねがありました。
今回の法改正で懲役、禁錮に代えて創設する拘禁刑については、刑罰としての目的、機能に変わりはなく、作業と指導を、いずれも罪を犯した者の改善更生という特別予防のために課すものと位置付けることとし、刑法において、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができると規定することとしています。
ここにいう改善更生とは、罪を犯すに至った要因となっている悪い点を改めるとともに再び犯罪に及ぶことなく社会生活を送ることができるようになることを意味するものですが、憲法上保障される思想及び良心の自由を侵害することが許されないのは当然であると考えています。
次に、拘禁刑に処せられた者に対する処遇についてお尋ねがありました。
お尋ねの、刑の内容という概念については、講学上様々な理解があり得るところですが、いずれにしても、拘禁刑においては、作業と指導について、いずれも罪を犯した者の改善更生という特別予防のために課すものとして位置付けることとし、刑法において、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができると規定することとしたものです。
刑事収容施設法では、受刑者の遵守事項として、正当な理由なく作業又は指導を拒否してはならない旨を定めており、これに違反した場合には、懲罰を科すことができることとしています。他方、受刑者に対する矯正処遇の内容や方法などを定める処遇要領は、必要に応じて受刑者の希望についてもしんしゃくして定めることとされており、引き続き、適正な運用に努めてまいります。
最後に、マンデラ・ルールと拘禁刑の関係についてお尋ねがありました。
作業又は指導については、いずれも受刑者の改善更生及び再犯防止を図る観点から重要な処遇方法であり、個々の受刑者の問題性等に応じて必要と認められる場合には実施すべきものであって、実施するか否かを専ら受刑者の意思に委ねることは適当ではないと考えています。
その上で、御指摘の国連被拘禁者処遇最低基準規則は、法的構想力、失礼、法的拘束力のある国際約束ではないと承知しておりますが、処遇の効果を高めるためには、受刑者自身に自分が受ける処遇の意義を理解させ、これを自発的に受ける気持ちを持たせることが重要であることから、実務上は本人に対する動機付けなど必要な働きかけを行っており、今後も効果的な処遇に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣二之湯智君登壇、拍手〕