白眞勲の発言 (本会議)

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○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲です。
 私は、ただいま議題となりました財政演説、令和四年度補正予算に対し、会派を代表して、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 まず冒頭、知床半島沖の観光船沈没事故においてお亡くなりになられた方々に深い哀悼の誠をささげるとともに、いまだ冷たい海で行方不明になられている方々の一刻も早い救出を心より願うものです。
 また、連休中にもかかわらず捜索活動に従事された海上保安庁を始め自衛隊、地元の漁民の皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
 この事故につきまして幾つか御質問させていただきたいと思います。
 まず、知床遊覧船KAZUⅠについて、経営者にはあきれて物が言えません。こうした事業者による無駄な経営を防ぐため、国の監督体制が整備されてきたはずですが、そこで国土交通大臣にお聞きいたします。
 今回沈没したKAZUⅠは、法定の救命設備として小型船救命浮器と救命胴衣を搭載していたとされています。ただ、事故当時の知床沿岸の海水温は二、三度だと聞いています。そのような海では、大人でも三十分で意識を失い、生命の危険にさらされますが、法律で定められた小型船救命浮器と救命胴衣では事故が起きても助かる見込みがないのが分かっていながら、なぜこのような救命設備を法律で定めていたのか、これから再発防止に努めていくという答弁ではなくて、今までの経緯をお聞きいたします。納得いく答弁をお願いいたします。
 また、無線設備についてお聞きいたします。
 去る五月十九日の国交委員会で、KAZUⅠの中間検査に関し、携帯電話を認めたことについて質問をしましたが、国土交通省は、JCI職員がこの地域の通信エリア図の内容をもちろん把握しと答弁しました。しかし、実際調べたところ、航路の大半が通信エリア外でした。検査事務規程細則を見ると、エリア外ならその時点で駄目でしょう。事業者の言葉をうのみにしたとか関係なく、JCIが規程を破ったことになりませんか。国交大臣、お答えください。
 岸田総理、JCIが不適切手続をしたかどうかも含め、第三者委員会で徹底的に真相を究明すべきと考えますが、いかがでしょうか。総理の答弁を求めます。
 ロシアによるウクライナ侵略は、多数の民間人が殺害される結果となっており、一刻も早く戦争状態を停止させなければなりません。我が国は、国際社会の平和と安全のために、積極的に貢献する必要があります。
 岸田政権は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して経済制裁をしていく、G7を始めとする国際社会と連携しながらウクライナの人々に支援したいと繰り返し国会で答弁しております。G7がやるなら日本もやる。しかし、岸田総理の口から、日本が先頭に立って、この停戦、戦争を停止させるためにG7の各国よりも先に何かを進めると言ったことを聞いたことがありません。
 プーチン大統領は、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相と電話会談を行っています。岸田総理は、この侵攻が始まってから、ウクライナのゼレンスキー大統領とは電話会談したのは承知しておりますが、プーチン大統領とはされたのでしょうか。しないなら、なぜしないのか、その理由をお示ししてください。今からでも、早速プーチン大統領に電話会談を申し込み、停戦するようにプーチン大統領にも直接働きかけるべきではありませんか。御答弁願います。
 また、インドネシアのジョコ大統領は、今年十一月にバリ島で開催予定のG20サミットにロシアのプーチン大統領を招待し、電話会談で本人から参加するとの回答を得たと発表しました。
 岸田総理にお伺いしますが、G20サミットにプーチン大統領が参加することに賛成でしょうか。そして、このような機会があれば、岸田総理もプーチン大統領と直接会談するお気持ちがあるのかどうか、さらには、ゼレンスキー大統領にも声を掛ける気持ちがあるのかどうか、御答弁願います。
 米国のバイデン大統領が来日し、米国とアジアの経済連携強化を目指すインド太平洋経済枠組みであるIPEFの立ち上げに向けた協議を開始することが発表され、岸田政権はこのIPEFに参加することを表明しました。我々は参加を検討することは否定しません。ただ、この地域には多くの経済連携の枠組みが既に存在しています。トランプ大統領が参加しないと言い出したので自由貿易圏としては後退したCPTPP、それを受けて交渉する羽目になった日米貿易協定、日米デジタル貿易協定、RCEP、そして今回のIPEFと、覚え切れないほどです。しかも、日米貿易協定は二〇二〇年一月に協定が発効しており、自動車、自動車部品については関税の撤廃に関して更に交渉すると書いてありますが、交渉始まったんでしょうか、外務大臣、お答えください。
 あわせて、発効して約二年半たちますが、WTOに協定の存在を通報すらしていない状況です。今後、通報するつもりがあるのか、外務大臣の答弁を求めます。
 五月十二日、北朝鮮は新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを公表し、その後、累計の発熱者は二百万人を超えると報じられました。これまで、北朝鮮は新型コロナの感染者は存在しないとしてきました。それが今回、建国以来の大動乱であるとして、金正恩総書記が自ら指示し、感染拡大に対応しようとしております。
 こうした北朝鮮のコロナ対応の変化について、日本政府はどのように分析しているのでしょうか、総理、お答えいただきたいと思います。
 北朝鮮で新型コロナウイルスの拡大が報じられて、心配なのが拉致被害者の方々です。既に拉致被害者の多くは御高齢であり、新型コロナに感染すれば重症化するリスクがあります。こういう中、アメリカのバイデン大統領と韓国の尹大統領とが北朝鮮に対して支援をする方針を確認したとのことですが、岸田総理は拉致問題は最重要課題と言い、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組むというのであるならば、総理はこのタイミングで北朝鮮にPCR検査キットやワクチンなどを提供するお考えはあるのでしょうか。
 岸田総理は、国会では拉致問題は最重要課題と発言しているものの、三月十三日の自民党大会で自民党総裁として演説した際には、拉致問題のことに触れませんでした。私が予算委員会で岸田総理に、拉致問題なぜ削除したのかと質問したところ、岸田総理は、今御指摘を受けて私自身驚いたところでございますと答弁されました。自分で演説しつつ今知って驚いたでは、開いた口が塞がりません。
 岸田総理にとってみて、拉致問題は本当に最重要なのでしょうか。安倍総理、菅総理にはない、岸田総理御自身の拉致問題に懸ける意思をこの場で表明してください。
 韓国で尹錫悦新大統領が五月十日、就任いたしました。私も、中曽根弘文議員、鶴保庸介議員、鈴木宗男議員とともに就任式出席のために訪韓し、尹錫悦大統領と直接会談いたしました。日韓関係は、これを機に両国が真摯に向き合い、歴史問題を解決しようとする両国の意思を明らかにすることから進める必要があります。そのためにも、首脳同士が何度も直接会談し、信頼を醸成していくべきです。
 岸田総理は早いうちに尹錫悦大統領と直接会談したいという意思をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
 中国はゼロコロナ政策を続けていますが、これにより工場の稼働停止が生じ、世界的な部材供給不足が引き起こされており、我が国にもその影響が及んでいます。
 九月二十九日は日中共同声明から五十年となり、また、秋には中国共産党大会があり、習総書記が続投するのではないかと言われています。我が国は、我が国と中国は切っても切れない経済関係となっておりますが、今後、この中国との関係をどうするべきか、習近平主席とお会いする可能性も含め、総理にお伺いいたします。
 NATOが加盟国の国防費対GDP比二%を目標としていることを踏まえ、我が国でも防衛費を対GDP比二%へと倍増すべきとの主張が見られます。確かに、防衛費を倍増すれば、今までよりもたくさんの装備品を買うことができるでしょう。しかし、人口減少、少子高齢化が進む中で、隊員の採用は極めて難しい、厳しい状況にあります。装備品ばかり増やしたところで、それに伴う人員配置ができないのでは意味がありません。鉄砲の数を二倍にしたから西部劇の二丁拳銃だというわけにはいかないのです。
 また、数字ありきで防衛力整備を進めると、調達改革への努力も余りなされないまま無駄遣いする可能性もあると思います。例えば、お小遣いを二倍にするけど無駄遣いするなよと言っても無理な話であります。
 また、岸田総理は、日米首脳会談で、日本の防衛力の抜本的強化を行い、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意と述べたようですが、相当な増額ではどれだけ増やすのかさっぱり分かりません。総理は、防衛費について、対GDP比何%といった指標や数値目標を設定するおつもりなのでしょうか。どのぐらい防衛費を増やすおつもりなのか、明確にお答えください。
 また、防衛力強化の財源について伺います。
 防衛費を二倍にしようと主張される方は、そのための財源について考えておられるのでしょうか。二倍とまではいかなくとも、現下の国際情勢を踏まえ、大幅な防衛力強化を行うつもりであれば、そのための財源を明確に示した上で国民の判断を仰ぐべきなのが当たり前なんじゃないんでしょうか。
 我が国の防衛費は、対GDP比については諸外国に比べて低いとされる一方、対税収比で比較するとNATO加盟の欧州諸国と決して遜色のない水準にあることも考えるべきです。自分のいい数字だけで国民に説明するのはやめませんか。ともかく、威勢のいい議論の中で財源について話さないのは無責任ではないですか。まさか、ほかの行政経費を減らして防衛費を増やすのではないでしょうね。
 あるいは、戦前のように公債を増発して防衛費を増やすのでしょうか。自民党内では財政再建派と積極財政派の対立も厳しいようですけれども、激しいようですが、財政の裏付けのないままどんどん防衛費を増やしても、国民の生活を圧迫し、総合的な国力の低下を招きかねません。
 防衛費増額のための国民の負担について、また、財政規律と防衛力整備の関係についてどう考えているのか、総理の明確な答弁を求めます。
 NATOの比率並みの防衛費と言うのであれば、教育費だってNATO並みにすべきじゃないんですか。地下資源に乏しい我が国にとって、一人一人の特性に応じた能力、可能性を最大限引き出す教育、人材育成は、国の防衛と同じぐらい大切です。国の将来を考えれば、防衛費とほぼ同額の文教科学振興費こそ倍増すべきであるという主張もあってしかるべきであり、文科大臣、うちの予算も倍にしてくれと主張する気はありますか。お答えください。
 最近は、防衛費二倍のみならず、敵基地攻撃能力とか核の共有とか、威勢のいい議論ばかりまかり通っています。そもそも、世界で唯一の被爆国であり、そして核の悲惨さを世界に訴えていくべき我々が核の共有なんて言い出したら、核廃絶どころか、我々の思いとは全く別の方向の核の拡散に向かってしまうのではないでしょうか。それに、九条を改正し、防衛費を二倍にすれば、日本の周りの国が参りましたとでも言うのでしょうか。逆に北東アジアの緊張関係がより高まっていくおそれはあるんじゃないんでしょうか。
 私たちは、憲法九条を堅持しつつ、周辺国との友好関係を深め、外交力と情報収集力の強化こそが日本の安全保障につながるものと考えます。戦争するなら我々政治家は要りません。我々は、そういう国々といかに平和的に物事を解決するか、その知恵を絞るのが我々政治家の役割なんじゃないんでしょうか。
 続きまして、政府のコロナ対策についてお聞きします。
 政府は、新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、累次にわたって大型の経済対策を策定し、大規模な財政支出、その裏付けとなる補正予算を編成してきました。令和二年度には三度にわたる七十三兆円の補正予算を、三年度には一度の補正予算としては過去最大の三十六兆円の補正予算を編成しました。また、コロナ予備費の計上には合計で約二十兆円に上っています。
 しかし、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、コロナ対策であれば自治体が自由に使えますが、これまでに計上してきた十六兆円の中には、机や椅子などの備品や公用車の購入、さらには巨大なモニュメントの購入費用に充てられるなど、関連が不明確な支出もあります。
 そして、今回、原油高、物価高対策の先行実施分として四月二十八日に使用決定されたコロナ予備費においては、新型コロナや原油価格の高騰等を踏まえた環境に配慮した持続可能な観光の推進など、コロナ予備費から捻出することが妥当か疑問が残るものが含まれています。
 今、コロナの影響を受けていない国民がいますか。みんなマスクしていますよ。こうした政府の予算執行の在り方からは、コロナと枕言葉に使えば何にでも予算が付く免罪符になっているんじゃないんでしょうか。そういう印象を受けますが、総理の見解を求めます。
 四月二十八日に使用決定された予備費には、燃料油価格激変緩和対策事業の拡充、延長、低所得の子育て世帯に対する物価高への対応が含まれております。ただ、その必要性は、我々が二月から三月にかけて審議した予算委員会から訴えてきていますよ。予備費とは、憲法第八十七条第一項で、予見し難い予算の不足に充てるためとなっているじゃないですか。でも、物価高は、私が二月に予算委員会で、いつも食べている肉だんごの直径が小さくなったと、いわゆるステルス値上げについて例を挙げて指摘しているじゃありませんか。予見し難くないですよ。予見していますよ。それとも、予算委員会の議論、ちゃんと聞いていなかったんでしょうか。それでいて、予算成立から一か月もたたないうちに、減った分の予備費を補填するという意味不明な補正予算を国会に提出しました。
 こういう形を取ると、極端な話、今後、本予算も、丸ごと予備費にして、あとはよろしくなんてことになりかねません。このような政府の姿勢は、国会軽視にほかならない、極めて問題であると思います。そもそも、与党の皆さんがもっと怒らなきゃ駄目じゃないですか。
 今回の補正予算は、主に燃料油価格激変緩和対策事業に係る経費と予備費の積み増しから成ります。しかし、これでは、今後のコロナ対策や物価高対策を政府の判断に白紙委任することになってしまいます。
 我が党の生活安全保障のための緊急経済対策で示す消費税率の時限的な五%への減税やトリガー条項の発動、事業復活支援金の倍増、中小企業のコロナ債務負担の軽減などは、コロナ禍と物価高騰に見舞われる国民や事業者にとって早急に必要な対応であり、総理、補正予算への盛り込むことを早急に検討していただきたいと思います。
 国会が開会中である以上、政府は、予備費の積み増しを主な内容とするさっぱり分からない補正予算ではなくて、具体的な施策を盛り込んだ補正予算を編成し、国会の場で目的や有効性について議論することが筋だと考えますが、総理の見解を求めます。
 経済情勢についてお伺いします。
 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつあるものの、令和四年一―三月期の実質GDPは前期比年率でマイナス一・〇%と、二四半期ぶりのマイナス成長となりました。日経平均株価もピークよりも大きく落ち込んでいます。また、ドルを買って円を売る動きが加速し、一ドル百三十円程度まで円安が急速に進行しています。
 エネルギー価格や食料品価格が上昇している中、円安が進むことで、輸入コストは大幅に押し上げられています。四月の消費者物価指数は、前年同月比二・一%上昇と、消費税率引上げの影響を除けば十三年七か月ぶりの上昇幅を示すなど、既に家計に深刻な影響が出始めております。
 こうした状況を踏まえ、岸田総理は、我が国経済の現状と先行きについてどのように認識しているのか、見解をお伺いいたします。
 今、原油価格は高騰しています。今後もウクライナ情勢の先行きは見通せず、原油価格が早期に落ち着くことは見込めない状況にあります。このような状況下では、現在政府が実施している数か月単位の短期的な補助金の支給ではなくて、トリガー条項凍結解除のようにガソリン税を減税するといった抜本的な対策がはるかに有効であると考えます。
 立憲民主党は、昨年十二月にトリガー条項凍結解除に関する法律案を提出いたしました。さらに、四月八日、生活安全保障のための緊急経済対策を発表し、改めてトリガー条項凍結解除とそれに伴う地方税の税収を補填する提案を行っています。
 政府は、一時的な激変緩和対策を場当たり的に継続していますけれども、なぜトリガー条項凍結解除を実施しないのか、総理の説明を求めます。
 酪農家は、国の方針に従って、畜産クラスター事業等で牛舎等の設備投資を行い、規模拡大を進めてきました。その結果、指定団体の生乳受託乳量は二〇二一年度に約七百二十三万トンになり、三年連続で増加となりましたが、現在、コロナ禍に伴う牛乳需要の低迷や輸入飼料、資材、燃油等の価格高騰によるコスト増などもあって、酪農経営を取り巻く環境は急速に悪化しています。その結果、高齢による離農にとどまらず、現役世代でも離農する動きが見え、大変深刻な状況です。
 当面の対策として、Jミルクなどが基金を創設し、余剰生乳の仕向け先として、増大した脱脂粉乳在庫を餌用に回すなどの対策を実施していますが、このような短期的対策とともに、生乳の需給調整の在り方を抜本的に検討しつつ、過度の輸入飼料への依存から脱却し、飼料の国産化を推進していくべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 五月九日、安倍元総理は大分市で開催された講演で、日銀は政府の子会社だと発言しました。
 日本銀行は、日本銀行法において金融政策の独立性が定められています。それにもかかわらず、安倍元総理がこのような発言をしたことは、日銀の独立性を全く理解せずに大規模な金融緩和を進めてきたことの証左にほかなりません。その結果、物価上昇率二%目標は二〇一三年に掲げて以来九年間も達成できなかったばかりか、日銀の国債保有残高は五百三十五兆円にまで積み上がっています。
 岸田政権においても大規模な金融緩和は継続していますが、今回の安倍元総理の発言をどのように受け止めていらっしゃるのか、お伺いします。
 最後に、岸田総理は被爆地である広島出身で、核兵器廃絶に理解のある政治家であると信じています。私がかねてから提案しています核兵器禁止条約批准が難しいのであれば、せめてオブザーバー参加くらいは表明されることを望むとともに、我が党が核廃絶に全力を傾けることをお約束して、私の質問を終わります。
 白眞勲でございました。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X02520220525_004

発言者: 白眞勲

speaker_id: 14326

日付: 2022-05-25

院: 参議院

会議名: 本会議