岸真紀子の発言 (本会議)

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○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案について、本日、電波の日に、会派を代表して金子総務大臣に質問させていただきます。
 政府が進める政策や制度は、人々の暮らしに大きく関わります。だからこそ、与党、野党を問わず、国会が政府をチェックすることは重要です。しかし、昨日成立した令和四年度補正予算は、国会会期中であるにもかかわらず予備費を積み増すという財政民主主義の原則に反するものであり、かつ、国会軽視の姿勢は、誠に残念でなりません。予備費で対応すればいいといった発想は捨てていただくことを政府・与党に要請し、質問に入ります。
 本改正案では、技術の進展等に対応したより適切な電波の有効利用評価を行うため、これまで利用状況調査に基づき総務大臣が実施してきた電波の有効利用評価を、広い経験と知識を有する委員から構成された電波監理審議会に移管することとしています。しかし、現行では、電波監理審議会の委員五人のうち、電波に係る技術的知見を持った方は一人という実態です。現行の委員の選考において、なぜ審議会に求められている技術的知見を有する方が少ないのでしょうか。金子大臣に現行の人選基準と、少ない理由をお伺いします。
 電波監理審議会の組織、委員、その他審議会に関し必要な事項は政令で定めることとし、電波監理審議会に新たな部会の設置や特別委員の追加を行って体制の強化を図る予定となっています。しかし、専門部会や特別委員をどのように人選されるのか、その具体は明らかとされていません。電波監理審議会の機能強化と本当になるのでしょうか。
 四月七日、衆議院本会議において、立憲民主党の鈴木庸介議員の同趣旨の質問に対して、金子総務大臣は簡単な答弁しかされていませんので、改めて体制強化をどのように図るのか、具体的にお答え願います。
 本改正案に至るまでの議論には、残念ながら本質的な電波の在り方は議論されませんでした。
 日本は、電波と放送行政の権限を総務大臣が全て持っています。しかし、先進国では政府が一元的にその権限を持つことをしていません。日本以外のほとんどの先進国では、政府とは独立した機関が監督しています。昨年、法案が見送りとなった理由であった総務省の接待問題は、総務省が強い権限を持っていたからではないでしょうか。透明性を高めるためには、先進国ではスタンダードとなっている国から独立した機関とすべきであり、なぜ今回、この本質的な議論をしなかったのか、金子大臣の見解をお伺いします。
 携帯電話等の周波数の再割当て制度の創設について伺います。
 本改正案では、電波監理審議会における有効利用評価の結果が一定の基準を満たさないとき、競願の申出を踏まえ、総務大臣が開設指針の制定が必要と決定したとき、携帯電話等の周波数の再編を行うときのいずれかに該当する場合に、既存免許人に対する意見の聴取や電波監理審議会への諮問の手続を踏んだ上で、総務大臣は再割当て審査の必要性を決定することになります。これまでは認定を受けていた事業者が実質的な周波数の固定化となる実態がありましたが、これにより、既存免許人以外の新規参入希望者を含む事業者が割当て済みの周波数の再割当てを受ける機会となります。
 一方で、これまで認定されていた事業者が周波数帯を返上することとなった場合、当該事業者が提供するサービスを受けていた加入者は、利用中の端末が使えなくなったり、サービスエリアが縮小してしまうといった不利益が生じてしまうおそれはないでしょうか。そういった影響を政府は想定しているのか、また対策はあるのか、金子大臣にお伺いします。
 携帯電話は、現行制度ではユニバーサルサービスではありませんが、国民生活にとって必要不可欠な極めて重要なインフラです。しかし、この周波数の再割当てにより、過疎地や離島を始めとする条件不利地域などの不採算地域において、事業者によるサービス提供が後退することが懸念されます。
 例えば、地方における交通部門で、黒字路線の利益で不採算路線を補填する内部補助で維持してきたバス会社が、黒字路線しか営業しない新規参入のバス会社と競合し、不採算路線を維持できなくなるといった事例が起きています。携帯電話において、これまで大手事業者が全国あまねく、不採算のサービスエリアも設備投資等を行いカバーしてきました。再割当てとなった場合、採算エリアしか事業展開しない、言わばクリームスキミングといういいとこ取りの事業者が認定された場合、地方との格差はますます広がるのではないでしょうか。
 条件不利地域においても携帯電話サービスの確保が担保されるよう、再割当てされた事業者への責務や国としての対策をお伺いするとともに、携帯電話サービスや無線ブロードバンドサービスをユニバーサルサービス化することに関する大臣の見解をお伺いします。
 電波利用料について伺います。
 本改正案によって、ビヨンド5Gに向けた研究開発のための補助金として、総務大臣は特定財源である電波利用料を原資とすることが可能となり、総務省の一般財源とともに、二〇二二年度以降は電波利用料からも拠出することとしています。
 一方、二〇二一年に国立研究開発法人情報通信研究機構法が改正され、機構はビヨンド5Gの基礎研究等に対する助成金を拠出できることになりました。これは重複しているように思えるのですが、総務大臣による電波利用料を原資とした補助金制度を創設する必要性、一般財源だけでなく電波利用料を原資とした理由、機構の助成金との違いは何か、大臣にお伺いします。
 次に、外資規制について伺います。
 この問題は、菅前総理の長男の総務官僚への違法接待に端を発し、我が会派の小西洋之議員が立証した東北新社の外資規制違反から法改正に至ったものです。
 現行、基幹放送事業者に係る外資規制の根拠法は、自らが無線局の免許を持って電波を発信し放送する事業者が対象となるのが電波法となり、自らは無線局の免許を持たない放送事業者が対象となるのが放送法となっています。
 二〇二一年三月、東北新社が、二〇一六年の申請時の外資比率が規制である二〇%を超え、そもそも認定できない欠格事由があったと判明しました。二〇一七年一月、総務省は、東北新社を外資規制違反の状態であることが分からずにBS放送事業者として認定、その後、東北新社は、申請時は気付かなかった違法性が一七年八月に分かり、一七年の十月、東北新社メディアサービスに事業を継承しています。
 東北新社メディアサービスは外資規制違反ではありませんが、継承元であった東北新社が二〇一七年に認定を受けた時点で外資規制違反であったことを理由に総務省は職権により認定を取り消しました。この職権の取消しが理解できません。
 放送法第九十三条第一項では、放送法第百三条第一項又は第百四条の規定により認定の取消しを受けた者は、その取消しの日から二年間は認定を受けることができないとされています。しかし、東北新社メディアサービスへの認定は、総務省が職権で取り消したことを理由に、放送法第九十三条の規定は適用されないとされました。本来は、認定が取り消された事業者は、言わばペナルティーとして二年間の認定資格がないところ、この事案はすぐにでも申請することができることになります。
 そもそも、職権での取消しとは何に基づいたものなのでしょうか。決して正式な手続であるとは考えられないのですが、この処分の取扱いについて、大臣の明快な答弁をお願いします。
 次に、フジ・メディア・ホールディングスの事案について伺います。
 二〇一二年九月期から二〇一四年三月期まで、フジ・メディア・ホールディングスの外資比率は二〇%以上と、放送法の外資規制に抵触する状態であったことが、これも二〇二一年に発覚しました。この件について、二〇二一年四月九日、当時の武田総務大臣の記者会見によると、この外資規制違反事案は、違法の状態が解消された後の二〇一四年十二月上旬頃に総務省へ相談があったとされましたが、その詳細はこれまでの委員会質疑でやり取りしてきましたが、総務省答弁は曖昧で不透明なことが多いままとなっています。
 外資規制違反の状態は報告を受けた当時において既に違反状態は解消されていること、今後このようなことを二度と起こさないよう厳重注意したことをもって、フジ・メディア・ホールディングスにおとがめはありませんでした。さらに、一九八一年の内閣法制局見解などにより、同社の認定放送持ち株会社としての認定は、外資規制違反の状態がその時点で存在しないのであれば、放送法上、認定の取消しを行うことができないと判断したとしています。この考え方は今も妥当と述べています。
 一九八一年の内閣法制局見解とはどのようなものだったのでしょうか。また、二〇一四年当時に内閣法制局へ確認はしたのでしょうか。総務省が後付けにしたのではないですか。大臣、お答え願います。
 フジ・メディア・ホールディングスの事案は、計算方法の誤りの善意の違反だったと捉えるとしても、処分が何らされなかったことから、今後こういったことを悪用されるのではないかという懸念があります。事業者が外資を大幅に一時的に受け入れても、戻せばいいといった悪意に使われる可能性はないのか、改めて、二〇二一年に総務省がフジ・メディア・ホールディングスの処分をしなかったことは正しいのかどうか、疑念が残ります。
 本改正案では、外資規制違反時の是正措置の整備として、外資規制違反があった場合に、原則認定又は免許を取り消すが、違反の状況及び受信者の利益に及ぼす影響等を勘案し、必要があると認めるときは期間を定めて違反の是正を求める制度を整備することとしています。
 確かに、受益者の利益に及ぼす影響は勘案しなければなりませんが、先ほど疑念を述べたとおり、悪用する事業者が出現しないかといった懸念があります。是正措置を悪用されないための対策を大臣にお聞きします。
 外資規制に関し、本年四月から、総務省の審査体制強化に向け、新たに外資規制審査官を設置し、違反が起きないように複層的な体制を強化していますが、今後は外資規制を見逃すことがないようになるのか、事業者から提出される書類をどのような体制や手法で取り組んでいくのか、大臣にお伺いします。
 本改正案では、NHKの受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度として、受信契約の締結に応じない者を対象とする割増金制度が導入されることになります。現行も日本放送協会受信規約で割増金制度が定められていますが、適用された事例はありません。本改正案において法制化することで受信料の適正かつ公平な負担の実現という観点での実効性はあるのでしょうか。あえて法定化する理由は何か、大臣にお答え願います。
 放送法改正案の第六十四条第三項第四号のイ、不正な手段により受信料の支払を免れた場合、ロ、正当な理由がなくて第二号に規定する期限までに受信契約の申込みをしなかった場合における不正な手段や正当な理由の定義が曖昧です。
 割増金制度の詳細は総務省令で定めることとしていますが、不利益が伴うものであり、法文に明記すべきです。割増金が徴収される具体的要件はどのような場合なのか、大臣にお答え願います。
 インターネットが主流となりつつある中、テレビを取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。特に、地方の民間放送局は広告収入等が減少するなど、経営にも影響が出ています。本改正案には、民放の責務遂行に対するNHKの協力が努力義務として課されることになりますが、NHKは受信料によって経営しており、その受信料は民間放送への協力を掲げているわけではありません。
 地域に根差している地方の民間放送局を維持することは、放送の多様性の確保や地域社会、文化の活性化につながるものと考えている立場から、なぜNHKによる支援が必要なのかの理由、そして、国として地方の民放支援をどのようにお考えなのか、大臣にお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X02720220601_004

発言者: 岸真紀子

speaker_id: 13507

日付: 2022-06-01

院: 参議院

会議名: 本会議