芳賀道也の発言 (本会議)

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○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
 会派を代表し、電波法、放送法改正案について質問いたします。
 今の六十代から七十代以上は死ぬまでテレビを見続けるが、三十代から四十代はテレビを見ないし、持たない、彼らから現行的な意味でのNHK受信料を取ることはいずれ無理となる。昨年十二月、総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会で千葉大学の多賀谷一照名誉教授はこのように発言されています。
 ネットなど通信と放送の垣根がなくなる中で、放送は消えてしまう。総務省として、地上波テレビ放送は生き残ることができるのか、放送、地上波放送の未来像をどう考えているのか、大臣に伺います。
 これまで、郵政省、総務省は、各県に民間放送局の開設を進めてきました。しかし、今では若い世代を中心にテレビ離れが進み、特に地方放送局の存続をどう図るかが問題です。
 国策であるデジタル化のために多額の設備投資を強いられた地方の民間放送局は、今、軒並み赤字経営に陥り、危機にあります。地方局だけではありません。一部のキー局も希望退職者を募るなど、冬の時代を迎えています。衛星放送なら全国をカバーするチャンネル一つが数千万円で始められる時代に、各県やエリアごとに数十億円以上の設備投資を必要とする地上波は、このままでは消えてしまいます。
 総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会では、総務省から、共同利用型モデルとして、複数の放送局のネットワークインフラの維持管理などを特定の事業者に委託する提案がありました。また、既に各地の地方局では、キー局のネットワークの子会社になることで生き残りを図る例も多く見られます。いずれにしても、各地の地元資本が小さくなることで、中央資本による一極集中が強まることになります。このため、地域密着の取材による番組やニュースなど独自色を出した番組の放送がなくなるおそれがあります。
 また、東日本大震災でも、各県ごとにNHKとは違った災害報道が威力を発揮しました。さらに、長時間の停電もあり、地域のラジオの必要性、重要性も見直されました。地方局が消え、小さくなっていく現状では、住民の命を守る災害報道が守られるのか、本当に心配です。
 放送法改正案では、視聴困難地域などでNHKと民放でハードを共同利用するなど、NHKによるハード面の支援の義務化がありますが、それに加えて、地方局の設備への補助を拡大すること、特にマスター更新のための公的補助を進めるなど、まずは地方局にハードの支援を行うことが必要なのではないでしょうか。総務大臣の見解を求めます。
 今日、六月一日は電波の日。一九五〇年、昭和二十五年六月一日に電波法、放送法が施行されたのを記念して制定されました。
 その昭和二十五年四月八日の衆議院本会議にて、当時の電気通信委員会の自由党、辻寛一委員長は、放送法の採決に当たりこう発言しています。「放送は、それが強力な宣伝の具であるがゆえに、一層表現の自由を確保されなければなりません。かつてわが国において、軍閥、官僚が放送をその手中に握つて国民に対する虚妄なる宣伝の手段に使つたやり方は、将来断じてこれを再演せしむべきではありません。」、これは、当時の自由党に所属し、後に自由民主党に加わった辻寛一電気通信委員長の発言です。
 総務大臣に伺います。
 戦前の日本では、自由党の辻寛一委員長の言うように、軍閥や官僚が放送を手中に握っていたと考えますか。また、放送を通じて国民に対して虚妄なる宣伝が行われていたと考えていますでしょうか。辻寛一電気通信委員長の発言では、敗戦と内外の多くの方々が犠牲になったことの反省に立って、戦前のような思想統制を繰り返さないために放送法が制定されたことが分かりますが、金子総務大臣として、軍などの思想統制を繰り返さないために、電波、放送分野では何が必要だとお考えでしょうか。
 一九五〇年、昭和二十五年一月の電気通信委員会にて、政府は放送法の説明として、第一条に、放送による表現の自由を根本原則として掲げまして、政府は放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございますと提案理由を述べています。この提案のように、放送法第一条三項に、第一条第三号に、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することと規定され、放送局の不偏不党、真実、自律を政府が保障するという趣旨になっています。
 また、放送法第四条第一項には、一、公安及び善良な風俗を害さない、二、政治的な公平、三、報道は事実を曲げないでする、四、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、この四つの番組準則があります。制定時の説明でも、政府は放送番組の検閲、監督等を一切行わないのですから、この四項目は法的規制の根拠となる法規範ではなく、放送局が自主的に守る倫理規定としか考えられません。学界でも放送法第四条一項は倫理規定であるという説が多数説ですが、総務大臣の放送法第四条第一項の位置付けについて御認識を伺います。
 放送法第四条第一項の番組準則に反した放送があった場合について、かつて安倍元総理は、担当の官庁としては法にのっとって対応するのは当然のことであろう、こう思うところでございますと、二〇一五年十一月の衆議院予算委員会で答弁。制定時に、政府は、放送番組の検閲、監督など一切行わず、政府が放送局の自律を保障するという説明をしたにもかかわらず、総務省が最近、放送法第四条違反を理由に放送番組の中身に介入するのは筋が通りません。
 なぜ、政府、総務省は放送法の趣旨に反する立場を取るのか、大臣、国民に分かりやすく説明してください。
 二〇一六年二月、当時の高市早苗総務大臣は、放送番組が政治的に公平ではないと認められた場合は電波法七十六条による停波処分があり得ることを国会で発言しました。番組内容を根拠に停波処分を行い得るという高市元大臣の発言は、放送法制定当初の政府発言とも、昭和時代の郵政大臣、郵政省の見解とも反し、まさに放送法が禁止する放送番組への政府介入なので、これを撤回すべきだと考えますが、金子大臣のお考えを伺います。
 一人の大臣が放送法と電波法の両方を所管すること自体が停波問題の原因です。多くの先進国のように、放送行政を独立行政委員会が監理するよう改めるべきだと考えますが、金子大臣の御見解を伺います。
 先ほど触れた辻寛一電気通信委員長の説明によれば、軍閥や官僚などから独立した放送の自由、自律を保障するため放送法が制定されました。この放送の自律のため、放送法第六条に基づき各放送局に番組審議機関が置かれ、また放送局が自らBPO、放送倫理・番組向上機構を設置して、問題があった番組などにつき原因究明や再発防止などを論議し、対策を発表しています。
 しかし、報道によれば、今年三月九日に自民党の情報通信戦略調査会が開かれ、BPOや各局の番組審議機関が機能しているかNHKや民放から聞き取りがあり、会議終了後、この調査会のトップの佐藤勉調査会長が、BPOの人選に国会が関われないか提起したいと記者に発言しました。
 BPOや番組審議機関は、放送の自由と自律、表現の自由を守るための重要な組織で、その人選に自民党一党優位が続く国会が影響力を加えれば、放送の自由と自律が損なわれる危険性があります。BPOの、放送の自由と自律、そして表現の自由を守る放送法の趣旨からすると、BPO委員の人選に、事実上、自民党一党優位が続く国会が関与するのは不適切だと考えますが、放送法を所管する金子大臣に御見解を伺います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X02720220601_007

発言者: 芳賀道也

speaker_id: 3714

日付: 2022-06-01

院: 参議院

会議名: 本会議