柳ヶ瀬裕文の発言 (本会議)

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○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案に関し、総務大臣に質問いたします。
 文明の起こり以来、人類は様々な発明をしてまいりました。農業、車輪、金属精錬等の発明は、狩猟採集社会たるソサエティー一・〇から農耕牧畜社会たるソサエティー二・〇への大転換を牽引し、それらの発明や技術を擁する地域が世界の最先端となったことは世界史の示すところであります。工業社会たるソサエティー三・〇、情報社会たるソサエティー四・〇への転換においても同様でした。
 新たな社会、ソサエティー五・〇においては、IoT、メタバース、量子、ビッグデータ、宇宙、あるいは未知の先端技術から成る社会が想定されています。歴史に鑑みれば、我が国を起点としてソサエティー五・〇を実現することは、失われた三十年からの脱却と更なる成長、繁栄を実現する最大の機会であると言えますが、ソサエティー五・〇早期実現を妨げているのが電波に関する硬直した制度の存在であります。
 一つは、電波行政に係る規制と振興が一体となった総務省の構造です。
 日本維新の会は、電波監理審議会という総務省の諮問機関が電波の規制に関する事務を所掌している体制こそ、電波行政と事業者との癒着を生み出す一因であると指摘してきました。日本維新の会が衆議院に提出した情報通信行政の改革の推進に関する法律案では、電波に関する規制の機能を国家行政組織法第三条に基づく独立した三条委員会に移管させることを内容としていましたが、維新以外の与野党によって否決されました。衆議院の議論では、機動的、総合的な対応のため、内閣の構成員である大臣の責任の下、規制と振興の両輪で取り組む体制が適当という趣旨の答弁がありましたが、三条委員会で機動的、総合的な対応ができないという根拠をお示しください。
 また、電波行政に係る規制と振興を共存させつつ事業者との癒着を防ぐというのであれば、どのような実効的な方策を取るお考えか、お示しをいただきたいと思います。
 硬直した制度としてもう一つ指摘しなければならないのが、総務省の裁量に基づく電波割当ての比較審査方式の存在です。
 ソサエティー五・〇においては電波がますます貴重になりますが、既存事業者に対し安価に電波利用を行わせ続けることはあしき既得権であり、新規参入が阻害される原因となっています。より高い視点から見れば、電波を特定の者に占有させ続けることで、電波を利用した新しいテクノロジーの導入が遅れ、イノベーションが起きず、ソサエティー五・〇による繁栄をみすみす見逃し、ひいては我が国が先進国から転落し得る大失策となりかねません。今こそ、周波数の割当てに電波オークションを採用することで総務省の裁量の余地を減らさなければなりません。
 OECD諸国は、電波オークションを導入することで事業者に適切に周波数を割り当てていますが、導入していないのはOECDの中では我が国だけとなりました。もはや一刻の猶予もありません。
 今年の夏頃をめどに、総務省内に置かれた検討会が電波オークションの導入に関する取りまとめをすると承知していますが、二〇一八年八月に電波有効利用成長戦略懇談会の報告書が提出されてから丸四年近く経過したにもかかわらず、いまだ導入の是非についての検討をしている段階であります。本来であれば、電波オークションをいつ、どのような方式で実行するかという具体的な議論をすべき段階にあったはずと指摘せざるを得ません。
 お伺いしますが、いつ頃までに、電波オークションを導入して、真に需要のあるサービスを提供する事業者が希望する電波を使用できる制度となる見込みか、お示しいただきたいと思います。
 現在総務省で検討している電波オークションについては、携帯電話の割当て方式のみの検討であり、使い勝手の良いプラチナバンド帯の周辺帯域を使う放送事業者については検討の対象外となっています。放送業界の経営は厳しさを増しており、不動産収入等、本業以外の収益が業績に大きく貢献している社もあります。イノベーションの観点からは、電波をより有効利用できる成長企業に機動的に割当てした方がよいのは明らかであり、そのためには電波オークションによる割当てが必要です。携帯電話以外の周波数帯についても電波オークションの対象とすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、放送事業者が負担する電波利用料が安過ぎることも問題です。日本維新の会が考える電波オークションでは、落札額に現在の電波利用料相当額を含むものとしています。二〇二〇年度のテレビ放送の電波利用料は、NHKが約二十五億円、首都圏基幹民放局で一社当たり七億円にも満たない額となっています。電波という国民共有の財産を事業者に不当廉売している状態は速やかに是正する必要があります。事業者の支払う電波利用料の水準を適正化すべきと考えますが、見解をお示しください。また、適正化の手段としては電波オークション方式によるべきと考えますが、併せてお答えいただきたいと思います。
 NHKの還元目的積立金について伺います。
 今回の放送法の改正において、NHKは、毎事業年度の損益計算において生じた収支差額がプラスになったときは、その収支差額の一定額を還元目的積立金として積み立てることが規定されています。還元目的積立金制度の創設自体を否定するものではありませんが、今年度のNHK予算が収支均衡予算となっていることからすると、十分な積立てがされるかは不透明です。
 次期中期経営計画の期間までにどれくらいの積立てが見込まれ、一契約当たり幾らの受信料負担の減少額が見込まれるのか、明確な推計根拠とともにお示しいただきたいと思います。
 現在、NHKは、六千六百億円を超える債券を保有しており、毎年新たに五百億円を債券購入に振り向けるなど、もう既に潤沢な資産を有しています。しかし、今回設置しようとしている還元目的積立金には、NHKが既に保有している過剰な流動資産から積立てされることはありません。言うまでもなく、NHKが毎年買い付けている五百億円もの債券の原資は国民から集めた受信料です。今回の法改正による還元目的積立金の仕組みでは、収支差額がプラスとならないよう、あえて費用を掛けて経営することも可能であり、実効性が果たして伴うのか、甚だ疑問であります。
 より積極的な国民への還元のために速やかな積立てが求められることを考えれば、当面の間、NHKの保有する流動資産から還元目的積立金に供出することも検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 既得権の保護は、保護される側の活力を奪うのみならず、保護を与える国自体の国力をも吸い取っていきます。今回政府から提出された電波法及び放送法の改正は、電波や放送という既得権にメスを入れるように見せながら、その実、ほとんど切り込むことができていません。
 日本維新の会は、規制改革を政策の一丁目一番地に位置付け、具体的な改革メニューを盛り込んだ議員立法を提出してまいりました。政府提出の法案には、どこにどのような形で電波行政や放送通信行政を改革する意欲が反映されているのか、お示しいただきたいと思います。
 電波は希少な資源であり、これを有効に活用できるかどうかは、ソサエティー五・〇への大転換期にあって、我が国の成長と繁栄に直結する極めて重要な課題であります。今こそ、電波行政の公正性、透明性を根本から見直し、電波オークションを始めとした抜本的な規制改革を行うことで、失われた三十年に終止符を打つときであります。
 日本維新の会が主張し、提出してきた法案によってこそ改革を断行できるということを申し述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X02720220601_010

発言者: 柳ヶ瀬裕文

speaker_id: 19165

日付: 2022-06-01

院: 参議院

会議名: 本会議