東徹の発言 (本会議)

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○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、刑法の一部を改正する法律案等について、賛成の立場から討論を行います。
 本法案は、SNS上の誹謗中傷対策として侮辱罪の法定刑を引き上げ厳罰化するなど、時代の変化に応じて必要とされる対策が含まれており、この点については我が会派も賛成いたします。
 しかしながら、法務省は、同じ刑法というだけで、侮辱罪の厳罰化とは全く内容の異なる懲役、禁錮を廃止し、拘禁刑を創設するなどの改正をまとめて一本の法案として提出してきました。関連があれば束ね法案は許容できますが、今回のように全く関連がないと、やはり議論はしづらく、賛否が決めにくいとしか言いようがありません。
 明治四十年以来の大改革と言われる刑法の改正です。懲役、禁錮を廃止して拘禁刑を創設することは、社会的影響が大きく、本来はもっと議論が必要なのではなかったのかと考えます。報道を見ていても、拘禁刑の創設よりも侮辱罪に偏っており、国民的な議論も十分ではありません。
 このことについて、六月七日の参考人質疑でも、三人の参考人のうち一人の参考人から、侮辱罪とそれ以外との間に密接な関係や集中審議をする必要性を見出すことはできないという指摘があり、また、別の参考人からは、全く違うものを一緒に出してきて、期限の決まっている通常国会で通そうとするのは、こそくであるとまで言われています。
 参議院選挙への影響を恐れて、本来議論すべきだった入管法改正案の提出を見送ることにしたため、余った時間ができてしまい、それを埋めるために急いで刑法改正案を準備したのかと思えなくもありません。
 参考人は、法務省も法制審議会の議論を急ぎ過ぎたのではないか、その結果、衆参両院での議論でようやく問題が明らかになってきたが、本来はもう少し手前のところで議論した方がよかったともおっしゃっておりました。法務省は、法制審議会の進め方を含め、法案提出までの議論の在り方を反省すべきであります。
 本法案では、再犯防止を目的に、懲役や禁錮をなくして、新たに拘禁刑を創設するとしています。しかし、懲役と拘禁刑の違いや、拘禁刑という名称の在り方などについて委員会で質問しましたが、納得できる答弁がありませんでした。
 今の懲役でも、性犯罪者に対する矯正プログラムなどを実施しており、制度を変える必要がありません。むしろ、刑の名称を懲役から拘禁刑に変えることで、拘禁刑という名称の周知に時間が掛かる上、国民に対し刑が軽くなったとの印象を与えたり、刑法の目的である犯罪を予防する力が弱まったりしてしまうのではないかと懸念されます。
 再犯防止は大変重要なことで、進めるべき課題ではありますが、犯罪そのものを抑止していくことは更に大事なことであり、その議論も必要であります。
 名称変更の必要性について、法制審議会で議論すらされていません。拘禁刑の英語訳も、これまでの懲役の英語訳と同じであれば、名称を変える必要はなく、国民の間で浸透している懲役のままでいいのではと考えます。
 法務省は、刑の名称に関する他国の状況も把握していません。海外の制度との比較や、世界の流れの中で我が国の制度のあるべき姿を考えることは重要であると、法務省は認識を改めるべきです。
 また、本法案では、保護観察付きの執行猶予を受けている者が再犯に及んだ場合でも、二度目の執行猶予を付けることができるようになりました。しかし、こうすることで、本来であれば防げた犯罪を新たに生んでしまう可能性があります。現在の制度でも、単純な執行猶予中の再犯であれば、再度執行猶予を付けることができます。そこで、二度目の執行猶予中に再犯率がどの程度か質問しましたが、法務省は把握していませんでした。
 今の制度を改めるために法改正を提案してくるのであれば、せめて、その改正が必要であり、妥当である根拠である立法事実をデータで示すべきです。しかし、法務省は立法事実を示すことができず、全くの準備不足であります。
 法務省にはこの法案を提出した責任があり、今後、再犯率の変化など、法改正の効果をしっかりと調査し、そのデータを公表した上で必要な見直しを行うべきであることを申し上げ、討論といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 東徹

speaker_id: 17811

日付: 2022-06-13

院: 参議院

会議名: 本会議