市田忠義の発言 (本会議)
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○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
会派を代表し、二〇二〇年度決算、二〇二〇年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、二〇二〇年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に賛成、内閣に対する警告決議に賛成の立場から討論を行います。
本決算は、安倍内閣が最後に編成した当初予算に三次にわたる補正を加えた予算の執行状況です。
二〇二〇年度は、コロナ危機の下、国民の命と生活をいかに守るかが焦眉の課題でした。自粛と補償をセットで求める国民の切実な要求に耳を貸さぬ政府の対応が厳しく批判をされました。その結果、政府は、持続化給付金など野党の提案も一部取り入れましたが、自粛への補償、支援は極めて不十分でした。検査の抜本拡充、医療機関への減収補填などにも背を向け続けました。その一方、アベノマスク、GoToキャンペーンなど、不要不急の事業に多額の国費を投入しました。コロナ対策は失格と言わざるを得ません。
経済のかじ取りでも、消費税増税による不況の進行に何ら対策を打たず、社会保障費の自然増を大幅にカットし、制度の切捨てを進めました。大企業優遇税制にもメスを入れず、更なる優遇策を盛り込みました。
軍事費は過去最大の五兆三千億円。米国製兵器を爆買いし、海外で戦争する国づくりを進めています。本院は、二〇二〇年六月、米国政府との間で行う有償援助による防衛装備品等の調達について、改善を求める警告決議を上げました。しかし、政府は、第三次補正で二千八百億円を超える兵器購入の前払金を計上するなど、財政規律を無視した対策を続けています。
財政民主主義破壊の典型は、十兆円もの予備費の計上であります。安倍内閣は、この予備費により、通常国会の延長にも、憲法五十三条に基づく臨時国会の召集にも応じませんでした。議会制民主主義のじゅうりんではありませんか。
以上の点から、二〇二〇年度決算の是認には厳しく反対します。
決算審査では、行財政の問題点を中長期の視点で明らかにすることも重要であります。
私が参議院に議席を得たのは、新自由主義があらゆる分野に本格導入されるようになった時期でした。消費税の増税、健康保険の窓口負担の引上げなど、当時九兆円負担増と呼ばれた改悪への怒りを背に、一九九八年の選挙で国会議員となり、労働・社会政策委員会に所属をいたしました。
雇用の分野では、それまで通訳など二十六業務に限定されていた派遣労働が原則自由化されたのが一九九九年であります。自公政権は、その後も、労働法制の規制緩和、社会保障の削減、消費税の増税を繰り返しました。今日では、非正規雇用労働者は四割を超え、保健所は半減。それらが、格差と貧困、賃金が上がらず成長しない経済、医療、公衆衛生の脆弱化、国際競争力の低下をもたらしました。これらの矛盾はコロナ危機によって一層激化しました。
日本共産党は、新自由主義を転換し、優しく強い経済をつくる改革を提案しています。消費税五%への減税とインボイスの中止は、全ての物価を引き下げる特効薬になります。
分配重視や所得倍増は一体どこへ行ったのか。今こそ政治の責任で賃金を上げるときであります。行き過ぎた減税によって増えた大企業の内部留保に課税し、そこで得られる財源を活用して、最低賃金を全国一律時給千五百円に引き上げます。課税に適切な控除を設けることで、内部留保を賃上げや国内投資に回す流れをつくることもできます。弱肉強食の新自由主義を終わらせ、国民の命と暮らしを最優先にする政治に切り替えるために全力を尽くす決意であります。
一九九〇年代は、日米安保共同宣言や周辺事態法により、日米安保が極東からアジア太平洋に拡大された時期でもありました。その後、テロ特措法やイラク特措法で、日米同盟は地球規模に拡大されました。さらに、安倍内閣の下、歴代政権が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認と安保法制が強行され、米国の戦争に自衛隊が自動的に参戦する仕組みがつくられました。
ロシアによるウクライナ侵略に乗じ、軍事力、抑止力の強化や九条改悪の大合唱が起こっています。自民党は、反撃能力の名で、敵基地だけではなく、指揮統制機能を攻撃する能力の保有と軍事費の二倍化を提言しています。岸田首相は五月の日米首脳会談で、拡大抑止の強化、防衛費の相当な増額を公約しました。
今進められている安保法制の下での敵基地攻撃は、日本がどの国からも攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら集団的自衛権を行使し、自衛隊が米軍と一体となって相手国に事実上の先制攻撃を仕掛けるものであります。それは、相手国の反撃を呼び込み、全面戦争にもつながる最も危険な道と言わなければなりません。
これまで曲がりなりにも掲げてきた専守防衛を投げ捨て、軍事対軍事の悪循環を加速し、国民の生命、財産を脅威にさらす極めて危険な方向であります。九条改悪は、この道を突き進もうとするものであります。
ウクライナ危機について、日本共産党は、ロシアは国連憲章を守れの一点で世界が団結することを呼びかけています。米国が唱える民主主義対専制主義など、価値観で世界を二分し、力対力の対応を強化するやり方では、新興国や途上国を含めた世界の団結を困難にします。
ウクライナ侵略の責任は、挙げてロシアにあります。軍事同盟への懸念は、それを免責するものとはなりません。その上で、戦争という悲惨な結果となった背景には、NATOもロシアも双方が力対力の対応に陥った外交の失敗がありました。欧州の失敗から引き出すべき教訓は、軍事同盟の強化ではなく、地域の全ての国を包摂した平和の枠組みをつくることであります。憲法九条を生かした平和外交こそ、政治の果たすべき責任ではありませんか。
日本共産党は、ASEANとの連携を強め、ASEAN・インド太平洋構想を推進することで、東アジア規模の集団安全保障の仕組みをつくることを提案しています。軍事ブロックのような排他的な枠組みではなく、包摂的な枠組みをつくることが私たちの提案の眼目であります。
一部の政治家や政党が主張する核共有は、被爆国の政党、政治家にあるまじき暴論であります。ロシアが核の使用を公言する中、核抑止力論の破綻はもはや明らかであります。唯一の戦争被爆国である日本政府こそ核兵器禁止条約に参加すべきであります。
四半世紀の政治を振り返ってみれば、自民党政権が進めてきた新自由主義と戦争国家への道は、今、国民の生命、安全と到底両立し得ない地点に来ていると言わざるを得ません。その大本には、米国追随、財界の利益第一という政治のゆがみが横たわっています。日本共産党はそこにメスを入れて、政治の根本的転換を図ります。
最後に、私は今期で参議院議員を引退いたします。
郷土の大先輩であり、治安維持法に反対して右翼の凶刃に倒れた山本宣治は、民衆の政治運動とは代議士のみに任しておくものではない、議会における代議士の活動とともに、議会外においても大いに活動を要すると語りました。私は、議員でなくなっても、引き続き、市井にあって、日本の平和と民主主義、国民生活の向上のために生ある限り力を尽くす決意を述べて、最後の討論といたします。(拍手)