北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 前通常国会での憲法審査会を振り返ってみたいと思います。
 私も久しぶりに一員として加わりましたが、過去の一時期と違いまして、オンライン会議から緊急事態条項、国民投票法、憲法第九条、地方自治など、多くの議論について議論を重ねることができたと評価したいと思います。
 憲法という言葉の政治学的な意味は、共同体が統治されるためによって立つ基本原則であります。民主主義において、行政、立法、司法という国家組織が国民に対してどのような強制力を持つのか、その行動範囲を決めるものです。
 この基本原則を時代の要請に沿って変えるべきかどうか、これを真摯に議論することは、決して政局的な思惑に左右されるべきものではありません。これを事実上国民に決定させない、あるいは、発議をする権限そして責任を持つ国会議員に議論すらさせないというのは、民主主義の根幹をないがしろにすることに等しいと考えます。
 そういう意味で、さきの通常国会で、憲法審査会の運営は一歩前進だというふうに思います。当時の新藤筆頭幹事、そして苦渋の表情に満ち満ちていた奥野両筆頭幹事に敬意を表したいというふうに思います。
 今後につきましては、意見の一致まで行かなくても、意見の接近が見られるものについて、具体案を取りまとめていくべきだと思います。
 まず、緊急事態条項について。緊急事態の成立要件についてはおおむね一致を見ています。そして、議員の任期延長についても、まだ若干の開きはあるものの、もう少し議論を詰めていけば合意は得られるのではないでしょうか。緊急事態条項は、一部批判があるように、独断専行の行政権を認めるものではありません。むしろ、逆であります。専門的な知見あるいは過去の経験に基づいて、万が一の状況を想定した上で、国民の声がじかに届く国会の機能を維持することであります。どさくさ紛れに憲法上の隙をついて行政が好き勝手なことをしないための民主的統制を確保することであります。最優先で具体案を取りまとめるべきであります。
 他方、もう少し議論が必要なのは、一つは国民投票法の広告規制等であります。最も大きな課題であるインターネット広告の規制の在り方について、事業者や専門家の意見を聞くべきだと思います。サイバー攻撃などの問題を含めますと、より広く、一般の国政、地方選挙の在り方やネット上の人権保障の考え方との整合性も併せて考える必要があります。また、国民投票広報協議会について、その骨格は既に示されているものの、具体的にどのような役割を果たすべきかについて検討の余地があると思います。
 二つに、これに関連して、国民投票法を離れて、憲法そのものの課題としてのデジタル基本権があります。具体的には、サイバー空間における誹謗中傷などの行き過ぎた言論に対する人権保障の論点があります。また、スマホなどにおける遺伝子検査のアプリなどを通じて、個人情報が企業や外国政府に吸い上げられることに対するプライバシーや安全保障の論点もあります。これらについては、国民投票法との関連で議論を始めていくべきではないでしょうか。
 三つ目には、地方自治についても、本来は各党会派、そんなに隔たりはないというふうに推測されますけれども、まだ各論については詳細な議論が及んでいませんので、これについてもやっていきたいというふうに思います。
 最後に、憲法第九条についても、これは極めて喫緊の課題でありますが、残念ながらもう少し議論を深めるべきだと思います。
 今月の十九日に、米海軍作戦部長であるマイケル・ギルディ海軍大将は、中国の台湾侵攻が今年中にも起こる可能性は排除できないと発言しています。今年でなくても、近い将来、十年以内ぐらいには台湾有事が発生する可能性は高いというのは、もう専門家の間では常識となっています。事が実行された際、台湾のほん近くにある尖閣諸島や米軍基地が中国の砲火から逃れられると、誰が自信を持って言えるのでしょうか。台湾有事は日本有事だと覚悟すべきです。
 今出ている自民党案や維新案は自衛隊を明記するとしていて、今日の維新さんの発言からもいいますと、これまでの第九条の基本的な解釈は変えないものだというふうに理解しています。
 私の問題意識は、その解釈の中核にある必要最小限度の防衛体制で、果たして今後の安全保障の課題に効果的に対処できるのかということです。例えば、軍事演習を装って我が国を攻撃しつつある中国の軍艦について、領海に入らなければ自衛権を発動できるのかできないのか。兵器について言えば、全く空白が生じている中距離弾道ミサイルについて、持つことができるのかできないのか。
 さらに、ロシアとの対立もあり、NATOとの連携を検討する議論も一部専門家で始まっています。その際、相互防衛義務についてはどう考えるのか。憲法第九条がこれらを許すのか。いや、解釈で許される場合、一体この第九条というものは何の歯止めになっているのか。さらに、一々解釈をしなければ身動きが取れないような防衛体制というのは何なのか。こうした議論を深めていく必要があります。
 最も危険な東アジアにおいて、手足を縛られていてよいのか、あるいは、建前だけの手足を縛っていることが防衛上賢明なのか、いや、立憲主義の観点から賢明なのか、こういったことを皆さんと一緒に議論してまいりたいというふうに思います。
 以上、有志の会として、これまでの議論の総括といたします。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2022-10-27

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会