小林鷹之の発言 (憲法審査会)
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○小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。
今回、再度委員になりましたので、通常国会の会議録を拝読いたしました。
十六回にわたる議論では、新型コロナ感染症の蔓延に伴い、憲法第五十六条一項の「出席」の概念について、オンラインによる出席も含まれると解釈できるとの意見が大勢であったとの報告がなされました。
また、去年の常会では、国民投票法改正案についても、三年越しではありましたが成立いたしました。これらは大きな前進であったと考えます。
こうした流れの中で、私たちは次なる議論に進むべきと考えます。
特に、ロシアによるウクライナ侵略に加え、我が国を取り巻く安全保障環境が変化し、力による一方的な現状変更の試みを含め、我が国が直面する脅威が高まる中で、自民党として提案している憲法への自衛隊明記と緊急事態条項についての議論は喫緊の課題と考えます。
今般のウクライナ情勢を見れば、国民の生命と財産を我が国自身の意思と能力で守り切る姿勢こそが重要であって、それがあって初めて同盟国や有志国が足らざる部分を補ってくれるものと考えます。
そのためにも、私たち国民を最前線で守ってくれる自衛隊について、違憲であるとの見解が存在する余地を解消することは国家としての最低限の責務であると考えますので、是非、憲法審査会で、この点を含めて各党で議論すべきと考えます。
また、会議録を拝見する限り、法制局報告の中で、憲法に緊急事態条項を定めている国は二〇一三年時点で九三%を超えているとされ、憲法審査会での議論においても、緊急事態に関する憲法上の措置について、憲法改正をして明確に定めるべきという意見が圧倒的に多かったように見受けられます。
これに関する議論の中で、緊急事態の対象範囲については、大規模自然災害、テロ・内乱事態、国家有事・安全保障事態、そして感染症の蔓延事態の四類型全てを対象とすべきことについて、おおむね意見の一致が見られているようでありますし、また、緊急事態における国会機能を維持するために議員任期延長の規定を設けるべきという点についても、意見が収れんしつつあるように思われます。
これらの論点に関しては、大枠は一致しているのでありますから、今後は、論点提示のステージから一歩進んで、具体的な文言の合意を目指して深掘りしていくべきではないでしょうか。
その他、今後検討する論点として、四類型のほかに、これらに匹敵する事態という総括的な規定の要否、衆議院解散時の議員の身分の在り方、国会の立法機能を代替する緊急政令の制度、緊急事態における人権保障の在り方、緊急事態の認定手続や主体などが挙げられたと認識しています。
我が国の憲法は、人権規定に比べて統治機構規定の分量が少ないとされ、その足らざる部分は法律に委ねて手当てをしてきました。憲法はそれぞれの国の形を表すものであって、必ずしも他国に倣う必要はありませんが、こうしたやり方が世界のスタンダードではないという趣旨の報告もありました。どんなに想像力を働かせ、必要な法律を整備したとしても、それでもなお対応し切れない事態が生じ得るのではないかとの視点に立って、憲法にその規定を設けておくことこそが、危機管理の要諦であり、責任ある国家運営と言えるのではないでしょうか。
国の最大の責務の一つは、国民の生命、身体、財産の安全を確保することです。
例えば、五月に成立した経済安全保障推進法は、まさに経済面から国民の生命財産を守るために、有事の際に起こり得るリスクを想定して、平時に対策を整えておく法律です。この法律は有事が発生した際の対応を規定するものではないので、緊急時の法体系の整備が必要であると私は考えています。そのためにも、緊急事態という根本概念を憲法に規定することが重要だとも考えます。
大規模自然災害や我が国周辺での有事はいつ起こるか分かりませんが、いつ起こってもおかしくない状況にあるとも言えます。加えて、こうした事態が単発ではなくて同時に生じる複合事態をも想定する必要があります。いかなる状況においても国民の生命財産を守り抜くために、緊急事態条項の一つ一つの論点を深掘りしていくことを会長及び与野党の幹事の皆様に改めてお願いして、私の発言といたします。