米山隆一の発言 (憲法審査会)
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○米山委員 御指名ありがとうございます。立憲民主党の米山です。
先ほど我が党の階議員が言ったとおり、この審査会で憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案について審査するということは、何も、何でもかんでも憲法改正に入れ込むということではなくて、現行憲法をよく調査し、憲法上の問題点があるものの立法で解決すべきものについては、この憲法審査会において、憲法上の論点をきちんと議論した上で立法的解決の方向性を提示して、そして、どうしても立法で解決できない、そういった立法事実が残った場合には、それを憲法改正案にするということだと思っております。
その典型が、今般、立憲民主党と日本維新の会、日本共産党、有志の会、れいわ新選組、社会民主党の五党一会派共同で提案した国会法改正案であり、憲法五十三条において召集期限が定められていない問題については、改憲ではなく立法による対処が適切だと思います。
一方、先ほどいろいろな委員からお話が出ております安全保障の問題や大規模災害、疫病又は教育等の問題に関しましては、これは立法事実としては共有のところも多いんですけれども、基本的には、それはむしろ法律で改正する、その方がむしろ時代に即して作り変えていけて適切なのではないかと思っております。七十五年前に作った服が窮屈になったからといって、もっと窮屈なよろいをまとって突撃していく、それは余りにもやり過ぎであるというふうに考えております。
私、立憲民主党に入ったばかりですから、泉代表の思うところは、推測によるしかありませんが、そんなに差がないというのは立法事実の認識についてであって、それに対してどう対処するかは、それぞれの党の在り方が違うというふうに考えております。
このように、憲法上の問題があるものの立法で解決すべき問題というところで、直近で起こった問題が国葬問題であると思います。
平成二十九年の内閣法制局の憲法関係答弁例集で、国葬とは、国の意思で国の事務として国の費用で行う葬儀とされていたところ、政府は、今般行うのは国葬ではなく国葬儀であり、単なる儀式であるから、国の意思を問う必要はなく、行政作用として内閣の意思、すなわち閣議決定で実行できる、その根拠は内閣府設置法第四条三項三十三号であるという極めて奇妙な理屈を述べて、政府の言うところの国葬儀を強行されました。
国葬儀自体をつつがなく終えたのは何よりでしたが、政府の論理の余りの奇妙さに国民の理解は得られず、直近の世論調査で、六〇%の人がやらなければよかったとの結果になっております。この結果が示すとおり、この国葬儀は憲法上的観点で非常に問題があるものだったと思います。
まず、法による行政、法治主義ですが、特に、今回の国葬儀では、内閣が単独で行使できる行政権はどこまでなのかが問われました。この点について、御承知のように、憲法それ自体に明文規定はありません。政府は侵害留保説を取りましたが、国民に対して事実上の弔意の強制になり得ることが、憲法十九条に定める思想、良心の自由との関係で問題になりますし、いかに総理経験者とはいえ、一個人を特別扱いして国葬に付すことは、憲法十四条の法の下の平等という国民の権利を害するとも考えられます。
そもそも、判例は侵害留保説とはいえ、重要事項留保説や全部留保説という他の学説もあります。また、この問題とは別に、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と定める憲法四十一条との兼ね合いや、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定める憲法八十三条の財政民主主義との問題もあります。
国葬という国民の関心、若しくは国民の多くの人が同意しなければならない問題について、延々と憲法の解釈論が、実際起こったわけですけれども、この状態がそのまま放置されるのは適切とは言えません。この問題を放置すべきではないと考えます。
では、どうするかということですが、自衛隊について憲法を改正してそれを書く、書かないという議論は、それはもちろん分かるんですけれども、さすがに、国葬について、憲法を改正して国葬を書き込もうという御意見は少ないのだろうと思います。今ほど述べたような憲法上の論点をこの憲法審査会で議論した上で、立法で解決すべきということになろうかと思います。
そして、立法化に当たっては、憲法十九条に基づき弔意の強制がないことを法定し、十四条に基づいて法の下の平等に十分に配慮して、一個人を必要以上に特別扱いしない人選の仕組みを定め、憲法四十一条、憲法八十三条に基づいて国葬対象者、費用を事前に国会が承認する、現行憲法の趣旨を十全に生かした枠組みの設定が求められるということになろうかと思います。
以上、今般の国葬に関する立法の在り方とともに、本憲法審査会が、憲法上の解釈が分かれている諸問題に対して、その論点を十分に論議し、その憲法の趣旨を生かした、立法を含めた最善の対処を提案すべきことを申し上げまして、私の発言とさせていただきます。