北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 本日は、緊急事態条項について、現時点で表明できる具体案、その他の論点についての考え方を申し述べたいと思います。
これまでの議論を聞いている限り、衆議院議員の任期延長については、早急に条文案を取りまとめられるのではないかと思います。また、そうすべきです。対象を衆議院議員に限るのは、参議院議員は半数改選であるため、議院が機能不全に陥る想定をする必要がないため、対象外としています。
まず、緊急事態の範囲については、おおむね皆さんと一緒でありまして、大規模な自然災害、感染症の大規模な蔓延、内乱等による社会秩序の混乱、その他これらに相当する事態を類型とすることに異論は少ないというふうに思います。
任期延長の要件については、選挙の一体性が害されるほど総選挙の適正な実施が長期にわたり困難であることが明らかな場合とすべきです。
任期延長を決定する手続としては、議員自らによるお手盛りの防止のため、先に内閣の発議を受けて、衆参の出席議員の三分の二以上の多数の議決で決めることが望ましいと考えます。
延期の期間については、総選挙を適正に実施できると認めるまでの間としますが、一年間を一応の節目としつつ、同じ手続により再延長できるとするのが適当と考えます。
また、緊急事態の収束にめどがついて総選挙が実施できると判断をされた場合には、国会の過半数の議決により延長された任期の終了日を定めることも規定すべきだと思います。
ただ、仮に緊急事態が解散又は議員の任期満了の後に発生した場合は、延長といっても、延長する議員の任期がそもそもなくなっているという問題が生じます。これについては、今申し上げた議決が行われた限りにおいて、議員の任期は終了していないとみなすことにしてはどうかと提案します。
なお、この場合、憲法第五十四条第一項、すなわち、選挙期日は解散の日から四十日以内は適用しないと併せて手当てしなければなりません。
もう一つ、議員の任期延長の濫用を防止するために、先ほど玉木さんからもありましたが、最高裁判所に一定の役割を担わせることが望ましいと考えます。
具体的には、衆参いずれかの議院における総議員の四分の一以上による申立てがあったときは、任期延長の議決が要件に適合するかしないかの決定をするというものです。適合しないと判断された場合には、最高裁判所は国会に対し任期を終了するよう勧告するということが、三権分立の中でのぎりぎりの線だと思います。
以上、議員の任期延長について具体案を申し述べましたが、大前提として、公職選挙法上の繰延べ投票や参議院の緊急集会では対応できない場合に限って任期延長を活用することを想定しています。
次に、緊急事態における行政への権限集中について意見を申し述べます。
これは、主に立法府と行政府との間の権限配分の在り方を緊急時に限って変更するという議論です。
具体的には、国会の法律制定、予算等の議決などの権限について、緊急時には内閣が国会の代わりに行使することにしてはどうかというものです。特に緊急政令については、現在は個別具体的な措置が個別法に定められているのみですが、より包括的、一般的な緊急政令規定を憲法に設けるべきとの意見が出されています。
これまでのオンライン国会や議員の任期延長は国会機能の維持のためのものでしたが、権限集中については、同じ緊急事態条項といっても、むしろ国会機能が維持できない事態を想定するものです。危機管理上、こうした想定は必要かもしれませんが、おのずと議論の次元が異なってきます。
以上のことを踏まえると、やはり、権限集中、そしてこれを前提とする人権制限、財政支出については、もう少し検討を深める必要があるのではないでしょうか。
検討の手順としては、まずは現行の緊急事態関連の法律を一通り洗い出すことを御提案申し上げます。
具体的には、一つは、本来想定されるべき緊急事態は現行の法律で網羅できているのかどうか。二つ目には、もし網羅できていないものがあるならば、これを補うための手当ては、まずは法律でできるのかどうか。この二点を、専門家の意見なども参考にした上で、丁寧に議論をすべきだと考えます。
緊急事態条項というのは、ややもすれば、相対立する二つの要請を均衡させなければなりません。一つは、危機管理の性質上、国民の生命財産、権利を守るために、逆説的に権力を集中させなければいけないという現実の要請。もう一つは、これまた逆説的でありますが、だからこそ立憲主義の観点からこれを最大限制限しなければいけないという理念的な要請。この二つの要請、二つの逆説をてんびんにかけながら均衡点を探るのには、もう少し時間がかかると考えます。
したがって、審議の優先順位としては、まずは国会議員の任期延長並びにこれを発動する際の緊急事態の要件と手続等について早く結論を得る、その上で、権限集中については、憲法の専門家等の意見も聴取した上で、もう少し検討を加えるべきかと思います。
以上です。
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