中川正春の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○中川(正)委員 立憲民主党の中川正春です。
今日は、私がこの審査会で優先的に議論を深めるべきだと思う四項目を提起をし、その論点を整理したいというふうに思います。
まず第一は、国民投票法、そして新しい情報に関する権利の整理をしていくということです。
私は、改めて、国民投票法の見直し議論をこの憲法審査会で加速させることを提案します。
現状の法制では、公正な投票は保障されていません。資金力でキャンペーンの差が出てくる可能性もあります。また、議論の中身には関係なく、一定のイメージだけの刷り込みが行われたり、フェイクな情報で混乱させられたり、事実がかき消されるなど、本人が意識しない方向に人の心が誘導されたりすることがネット社会で加速をしています。AIにより識別されたターゲティング広告など、法制定当時のコマーシャルの枠を大きく超える影響が懸念されています。
一方で、私は、国民投票にまつわるコマーシャル規制やネット規制は、国民投票だけにとどまるものではないと考えております。
前回の憲法審査会で階議員が皆さんに説明をしたように、立憲民主党の憲法調査会の議論では、情報化社会の現状と憲法上の課題について、三つの類型に整理をしました。一つは自己情報コントロール権、そして情報アクセス権、また、情報環境権ということであります。
国民投票法の議論を入口にして、この際、憲法本体の保障する人権規定の中に、新しい重要な課題として、情報権の議論を取り上げる必要があると考えています。情報化時代に侵害される国民の情報権をどのように規定し保障するかという観点から、この審査会で幅広く議論すべき課題だと思うのです。
改めて提案します。この審査会では、国民投票法の議論を先行させ、同時に、憲法本体の情報権への議論に進めていってはどうでしょうか。
第二の項目は、政権運営と国会ということであります。
憲法の求める民主的な政権運営とは何か、その理想とかけ離れた運営が度々問題になってきています。
憲法五十三条の国会召集義務を無視して、国会議論を避けることが重なっています。また、国会のチェックが及ばない過剰な予備費の計上などを強引に進めるなど、権力の濫用ではないでしょうか。さらに、解散が政権与党の都合のいいタイミングで発動され、権力を維持することが解散の主目的となってしまっている、これは憲法違反です。憲法の意図する民主主義が機能していません。
このように、憲法の求める民主主義が機能しているとは決して言えない中、与党が提案する緊急事態条項には疑念を抱かざるを得ません。権力の集中と国会議員の任期延長の議論は、まず、この国の民主主義が正しく機能する環境をつくることが先であります。緊急事態に特化した議論ではなく、国会召集義務、予算権、国会の解散権などの議論とともに、緊急事態と政府の限界、国会のチェック機能、これを幅広く議論することが求められているというふうに思います。
第三の論点は、一票の格差であります。
これまで何回も違憲判決が出ております。人口減や大都市への人口集中に対して、選挙区割りの調整が政治的に遅れています。一方で、人口減少が地方の過疎化を極端に加速させている中、国会議員の数の地域間格差は拡大し、地方選出の国会議員は更に減少していく可能性があります。結果、議員は都市部に集中し、その意向が政策に強く反映されることになります。
全て国民は法の下に平等であるの意味するところ、その解釈も含め、憲法の視点から間接民主主義の基本を問い直す必要があります。一票の格差は、合区問題に端を発して、参議院の憲法審査会や各党間の協議が進んでいます。是非、我々衆議院の審査会でも議論の俎上にのせることを提案をいたします。
さらに、第四に、安全保障環境の変化に対する対応であります。
政府において、安全保障三文書の見直し作業が進んでいます。現状、政府は、従来どおりの、専守防衛、個別的自衛権の行使のみを前提とした必要最小限の軍事力という枠組みを変えないという前提で見直すと言っていると理解をしています。しかし、本当にそうなのか。政府は、この間、枠組みは変わらずと言いながら、解釈の変更で集団的自衛権の行使を一部容認をしてきました。これは権力の暴走と言えるものであります。
内閣法制局の解釈のみに頼って、国の安全保障政策を方向づけてよいのか。立法府の責任として、この憲法審査会でも安全保障三文書と憲法について、第三者的な立場で改めて議論する必要があると思います。更に重要なことは、かつて憲法違反を問われた安全保障関連法制の決着もいまだに至っていません。安全保障も審査会で議題とすべき喫緊のテーマだと考えております。
ほかにも、地方分権に関する諸問題や、憲法裁判所を含む違憲立法審査、地球規模の課題である環境権など、幾つかのテーマがあると思います。
そのような中で、今日は、時代が変化する中、現時点で議論を深めることが特に急がれると考える課題を抽出して論点を整理しました。今国会で指摘してきた政治と宗教、国葬という問題に加えて、国民投票と新しい情報権、政権運営と国会、一票の格差と間接民主主義、そして、安全保障です。幹事懇談会での更なるこの論点についての議論を希望をしていきたいというふうに思います。
最後に、先ほど、来週の審査会の開催についてコメントがありました。各党それぞれ、基本的な考え方、予算をやっている間は、この審査会だけじゃなくて各委員会はやめて、そして予算に集中していくという、これまでの慣例に基づいたところでやるべきだという考え方もあります。そんなことを前提にして、筆頭間で話合いをしながら決めていきたいというふうに思っております。
以上です。