務台俊介の発言 (憲法審査会)

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○務台委員 自民党の務台俊介です。
 精力的な憲法審査会の議論の積み重ねの努力により、非常事態における国会の機能維持、そのための衆議院の任期延長については、現行憲法に明確な問題点があるという点で、最低限の憲法規定整備が必要であることのコンセンサスができ上がりつつあると理解しています。
 本日も、任期延長に関わる様々な論点について各党の立場が示されていますが、早期にこの憲法審査会の場で修正の必要性の認識と修正案文を固めていくことが大切だというふうに思います。欠陥が分かっているにもかかわらず、それを放置することは許されません。この点、昨年のコロナ蔓延の中の総選挙の際に多くの国会議員が感じた現実の懸念は、早期に解消されなければなりません。そのための具体的な作業工程を示し、論点を整理していくことが求められており、詰めの作業を急ぐ必要があると考えています。
 一方で、国会議員の任期延長規定の改正は、いわば制度の欠陥を是正するという内容であり、本質的には規定の整備の要素が強いように思われます。その意味では、こうした規定整備の詰めの作業を行った上で、現下の切迫した国際情勢をしっかりと踏まえ、求められる他の必要な改正項目についても、この憲法審査会の議論を注視している国民の皆様が納得できるような精力的な議論を行っていく必要があります。
 この点について、幾つかの局面について私の所見を申し上げさせていただきたいと思います。
 現在、新型コロナ感染症対応のマスク装着に関して、欧米を始めとした世界の対応と日本の対応が全く異なっている現状が際立っています。欧米は、コロナ感染の度合いに合わせてマスク装着を緩和し、全く装着をしない対応に切り替えている国がほとんどであるのに対して、我が国は、ほとんどの国民が戸外であってもマスクを装着しています。加藤厚生労働大臣が戸外ではマスクを外す対応を促しても、多くの国民は反応しません。一度決めたことはよほどの外部的変化がないと、あるいはそれがあったとしても、なかなか変えない。これが我が国の国民性なのかとすら思ってしまいます。
 憲法改正に関する国民の意識もひょっとしたら同じだったのかなというふうに感じられます。公布後七十六年を経過し、改正のない日本国憲法は、非改正では世界一長寿の憲法との学者の調査もあります。憲法の安定性という意味ではこれは誇るべきことかもしれませんが、手を加えるところがないほど完成度の高い憲法典を我々は持っているという見方もあったのかもしれません。しかし、それは、先ほどのマスク装着に関する彼我の対応に比較すると、そうしたこだわりは、ひょっとしたら我々の思い込みにすぎないのかもしれないと思えてきます。
 日本国憲法への評価は、国際的視点から見たら、いわば裸の王様状態のようにすら思われます。我々の思い込みに関して、国際的常識を有する外国人の方から、過日、意表をつくような指摘を受けたことがありました。
 この九月二十八日に、ドイツ空軍のトップのゲルハルツ将軍が、自ら率いるユーロファイター三機で自衛隊百里基地に飛来しました。世界の安全保障環境が急変する中で、ドイツとしてもアジア太平洋の安全保障に大きく関わっていくという姿勢が見て取れます。そのドイツ空軍の百里基地飛来の際に、将軍を迎えたドイツ政府関係者が、百里基地周辺の土手に立てられた自衛隊は憲法違反との立て看板を見て違和感を覚えたという話をドイツ大使館関係者から伺いました。立て看板を立てた活動家の人たちは憲法改正を訴えているのかという感想をその政府関係者は持ったということでした。
 現在の自衛隊は、周辺の安全保障環境の中で、その存在意義を疑う人は誰もいません。そうであれば、それが憲法に違反すると訴えることは、憲法を改正すべきだという訴えを行っているに等しいのではないかという論理です。まさに、誠にドイツ人らしい理路整然とした受け止めですが、日本の反戦活動家でその立て看板を立てた人がその解釈を聞いたら、驚くと思います。国際社会から見ると、日本国憲法の運用の実態が裸の王様のようになっているという事例だと受け止めました。
 私は、過日、ドイツ人で日独の憲法を学んでおられる方と日独の憲法の相違について議論する機会を持ちました。その際に、そのドイツ人の方は、ドイツ基本法の特徴として、一つ、ドイツは占領下で基本法を作らず、独立を果たした後に基本法を作ったこと、そして、現在に至るまで六十五回の基本法改正を行ったこと、一九五五年には防衛のための軍隊を持てるように基本法改正を行ったこと、基本法改正には国民投票は必要とされていないけれども、与党のみの改正でこれを行うのは極めて難しいこと、基本法の中でも民主主義規定、人権規定など変更できない条項が存在すること、民主主義政党以外の政党を認めない条項があること、政教分離の規定はあるけれども、例えば教会税等の分野で行政と教会が協力していることといった、日本国憲法と比較した場合のドイツ基本法の特徴を伺いました。
 そのドイツ人法律家の個人的意見として、数世代前の基本法が現代の国民を縛るということは、そもそも民主主義の視点から適当とは言えないのではないかという認識を語っておられました。そして、そのことが現代の日本国の活動に過度の制約を加え、我々の日常生活に窮屈感を与え、安全保障環境を損なっているとしたら、国民にとって大いに不幸なことでございます。
 こういう観点から、是非、審議を急いでいただきたい、毎週一回はしっかりやっていただきたい、閉会中もやっていただきたい、そんなことを申し上げたいと思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 務台俊介

speaker_id: 17981

日付: 2022-11-17

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会