橋本浩典の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○橋本参考人 ありがとうございます。日本インタラクティブ広告協会、橋本と申します。
本日は、インターネット上のメディアに有料で掲載される広告、これを私どもではインターネット広告と呼んでおりますが、その事業者団体の立場から、市場の概要と、業界におけるガイドライン等の取組を御説明いたしまして、最後に今後の議論に向けて考えを申し述べさせていただきます。御議論の御参考になれば幸いでございます。
資料、まず二ページを御覧ください。
当協会は、平成十一年に設立したインターネット広告の業界団体です。会員は、インターネット広告を掲載する媒体社、プラットフォーム事業者、広告会社などの、広告主以外の事業者で、現在三百九社が加盟しております。インターネット広告の健全な発展と社会的信頼の向上のために、ガイドラインの策定、調査や啓発活動を行っております。
次の三ページは、役員の一覧です。
インターネットメディアを持つマスメディア、プラットフォーム事業者、広告会社など、主要な会員社から役員を選任しております。
次の四ページには、当協会は、定款に定める目的と、会員の行動憲章と、インターネット広告倫理綱領を基本方針としております。インターネット広告は、デジタルコンテンツやネットワークコミュニケーションを支える経済的基盤であり、社会の信頼が欠かせないものと認識しており、法令遵守のみならず、高い倫理観を持って広告事業を行うことを定めております。
次の五ページからは、インターネット広告市場の概要をお話しいたします。
現在のインターネット広告市場やその周辺の状況としましては、運用型広告が拡大し、オープンマーケットでのオークション取引も行われております。パーソナルデータを利用したターゲティング広告は、法規制や自主的規制のほか、OSやブラウザー等の技術動向の影響により、現在、大きな転換期にあります。動画広告が伸長するとともに、コネクテッドTVのような動画視聴環境の変化により、新たな動画コンテンツサービスも登場しております。また、SNSは、有料の広告だけでなく、企業アカウントやインフルエンサー、口コミの活用が増え、マーケティングプロモーションの領域がますます広まっております。
次の六ページには、電通、日本の広告費の概要ですが、二〇二一年の日本の総広告費は六兆七千九百九十八億円で、インターネット広告費は二兆七千五十二億円と、初めてマスコミ四媒体合計の広告費を上回ったと推定されております。
そのうち、インターネット広告媒体費は二兆一千五百七十一億円で、その内訳を取引手法別に見ますと、運用型広告が八五%を占めており、主流となっております。この運用型広告とは、広告の出し手側が都度出稿条件を調整しながら入札方式で取引するものです。一方、予約型広告とは、掲載条件が確定している従来の取引で、構成比一〇%ほどです。
広告の種類では、最も成長率が高いのが動画広告です。また、別の切り口で見ると、SNSや動画投稿サイトのソーシャルメディア上の広告が伸びております。次のページ以降に、御参考として図表を載せております。
少しページをおめくりいただきまして、十一ページ、ここは広告取引の概念図となります。
主流になっております運用型広告では、様々な媒体運営者の広告枠が複数の事業者を経由して取引されており、広告掲載までの経路が非常に複雑化しております。プラットフォームを介して自動で行われるプログラマティック取引は、広告主の広告の出稿条件と、媒体の広告枠の販売条件のマッチングによって取引が成立し、金融市場の取引のように、リアルタイムでの入札も行われています。
次の十二ページは、御参考として取引手法の分類をまとめたもので、広告の出し手である広告主がニーズに合った様々な取引手法を選択することができます。
次の十三ページのように、インターネット広告の取引が複雑になる中で、広告主を含め、各事業者は様々な対応をしております。
特に、オープンマーケットプレースという売買に自由に参加できる取引手法では、不正な広告や不正な掲載サイトが紛れ込んでくるリスクがあります。リスクに対応するため、各社が自主的な取組を行っているとともに、当協会では、日本通信販売協会や警察庁のインターネット・ホットラインセンター、コンテンツ海外流通促進機構といった相談、通報受付機関と連携して、不正な広告や違法サイトの情報提供を受け、その情報を会員社に提供して、取組を支援しております。ただし、独占禁止法に抵触しないよう、対応はあくまでも各社の判断に委ねております。
次の十四ページからは、当協会の広告掲載基準ガイドラインの内容を抜粋して御説明いたします。会員の媒体社各社は、この指針を参考にそれぞれに広告掲載基準を定め、掲載判断を行っています。
次の十五ページ、まず一項では、本ガイドラインは、会員社の標準的な指針として定めたものではありますが、各社の判断については、それぞれが独自に定める広告掲載基準が優先され、本ガイドラインが各社の掲載基準を直接コントロールするものではないということを規定しております。
二項では、媒体社や広告配信事業社が自社の基準に適合しないと判断した場合に、広告掲載を停止する権限を確保しておくことについて定めています。
次の十六ページ、三項は、インターネット広告の定義です。インターネット広告のリンク先は広告主が管理するサイトですが、掲載判断にはその表示内容も考慮することを記載しております。
十七ページ、五項は、広告主体は広告主であり、広告内容の責任は広告主が負うという原則です。媒体社は、原則として広告に対する責任を負わないものの、予見性がある場合には虚偽広告を掲載してはならないとしております。
次の十八ページ、六項では、違法な広告を掲載してはならない、七項では、反社会的な広告は掲載すべきではないとしております。
次の十九ページ、九項は、広告主体者の明示です。広告についての責任の所在を明確にするため、広告には広告の主体者を明示すべきであるとしております。
次の二十ページ、十項では、消費者が広告でないと誤認するおそれのある場合は、広告である旨を明示することを定めています。
次の二十一ページ、当協会では、インターネット利用者の個人に関する情報の取扱いについて、プライバシーポリシーガイドラインと行動ターゲティングガイドラインを策定しております。個人情報保護法等の法令遵守を前提として、グローバルでの規制動向や、技術やサービスの実態を踏まえて、自主ルールも含め、会員社が遵守すべき原則を定めております。
次の二十二ページはガイドライン策定の背景ですけれども、行動ターゲティング広告は、利用者にとって興味、関心のある広告に接する機会が増えるという利点がある一方で、プライバシーに関する懸念や広告に対する不信感を抱くおそれがあります。利用者の安心、安全のためには、どの事業者が取得したどのような情報が広告に利用されているのか容易に知ることができ、可否を選択できる仕組みを提供することが必要です。そのため、二十三ページ、二十四ページにございます、利用者に透明性と選択の機会を提供する施策を行っております。
最後に、二十六ページを御覧ください。ここでは、今後の議論に向けて、考えを述べさせていただきたいと思います。
これまでの皆様の御議論は、公平公正な国民投票運動のために、広告規制の在り方については、放送法に基づく放送事業者の自主的なCM規制を念頭にされてきたと理解しております。
また、有料広告や宣伝活動、利用者間のコミュニケーションを含めて、インターネットの適正な利用の在り方について問題提起がなされていると認識しております。
例えば、政党等による真っ当な広告をどうするか、偽の情報を流布するような広告をどうするかという問題。有料の広告をどうするか、有料広告ではない無料のプロモーションをどうするか。SNSでのメッセージの拡散や動画の影響力をどう考えるか。個人に関するデータの利用についても、ターゲティングを可能とするのか、データの不正利用にどう対処するのかといった、様々な点から御議論されていると承知しております。
また、広告規制の在り方については、公平公正という観点から、賛成、反対の広告の量的なコントロールを求める御意見があると伺っております。
インターネットに限らず、メディアからの情報経路は様々ありますので、自由かつ公平公正な投票運動を確保するために、有料の放送CMとインターネット広告のみを規制することで効果があるのか、難しい問題であると考えます。
そして、御説明いたしましたとおり、インターネット広告は、出稿の仕組みが複雑で、業界団体に属していない中小事業者や個人でも、広告主や媒体運営者として多数存在しております。その中で、当協会は、健全で円滑なビジネスを推進するため、ルールの整備や啓発活動に努めておりますが、個別の事業者間の取引には踏み込んでおらず、個別の取引に対して特定の規制に従うよう強制する権限は有しておりません。
また、媒体やプラットフォームや広告会社の選定、取引形態や広告料や配信量、ターゲット設定などは、受け手側ではなく広告の出し手側が設定するものですので、受け手側でコントロールできることは限られております。実務に照らしても、実効性の点でも、自主的に公平性を担保することは難しいと考えております。
広告規制の原則的な考え方は、法規則も自主規制も、広告については第一義的には広告主が責任を負うということにあります。実際に、景品表示法のような表示規制の一般法だけでなく、個別の業法による法規制や、広告主の業界による自主基準などによって、まず広告の出し手側での規制がなされています。
公職選挙法では、平成二十五年にインターネット選挙運動等に関する各党協議会において改正公選法のガイドラインが作成されましたが、私どもは、そのガイドラインを踏まえて、選挙におけるインターネットの利用について作成していた参考資料を改訂し、各社も広告掲載基準を見直し、対応しております。
インターネットでの選挙運動の有料広告は禁止されておりますが、政治活動の広告については有料広告も可とされております。
公選法のガイドラインは各党協議会で知見を集めて取りまとめをされたものと思いますが、このような法律を踏まえた出し手側の基準が最も有効であり、私どもとしても、そのような基準があれば、それに沿ってしっかり対応を行ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。