2022-12-07
衆議院
大塚拓
政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
大塚拓の発言 (政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)
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○大塚委員 自由民主党の大塚拓です。
私は、外国勢力の選挙への介入について発言いたします。
外国勢力による政治介入は、従来は政治資金の提供を通じた政界工作などが中心と考えられ、我が国でも、政治資金規正法で外国人からの寄附を規制しています。
実際、長年こうした規制のなかったオーストラリアでは、中国による政治家への資金提供で安全保障に関わる重要政策がゆがめられたことが大きな政治問題となり、二〇一八年に外国献金を規制する法律が導入されました。
一方、インターネットやソーシャルメディアが普及した現在、世界で大きな懸念を呼んでいるのは、偽情報やプロパガンダによる選挙への介入です。
こうした手法が初めて大きな注目を集めたのは、二〇一六年のアメリカ大統領選挙です。このとき、ロシア軍参謀本部情報総局が民主党全国委員会の内部資料やヒラリー・クリントン陣営のEメールをハッキング、ウィキリークスへ暴露したり、インターネット・リサーチ・エージェンシーという会社がSNS上で大量の偽装アカウントを作成、クリントン候補を中傷する偽情報やプロパガンダを拡散したことが明らかにされています。この会社は、ウクライナに大勢の戦闘員を送り込んでいる民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が設立した別会社です。プリゴジン氏は、今年十一月に、アメリカの選挙に過去にも介入してきたし、現在も介入しているし、これからも介入すると公然と認めています。
ロシアは、ほかにも、イギリスのEU離脱をめぐる投票やフランス大統領選挙にも介入してきたことが知られています。
アメリカのランド研究所は、ロシアは、選挙を標的にした情報工作で人種、階級、ジェンダーなど内部対立を招く問題を悪化させ、社会を分断、混乱させる、民主的な制度やプロセスに対する国民の信頼を毀損するなどを目指していると分析しています。
中国も、宣伝工作や影響力工作に熱心に取り組んできた国として知られています。
人民解放軍は、早くから世論戦、心理戦を重要な戦いの領域と位置づけ、習近平政権ではプロパガンダを担う統一戦線工作部を特に重視するなど、心理、認知領域を標的にした取組を強化しています。
八月のペロシ米下院議長の台湾訪問に際しても、数多くのサイバー攻撃や偽情報の発信が見られました。
本年のアメリカ中間選挙では、米メタ社が、中国の影響力工作に関連すると見られるフェイスブックアカウント八十一件などを停止したと発表しています。
NHKは、先月行われた台湾の統一地方選挙に際しても多くの偽情報が観測されたこと、台湾のNPOがネット掲示板やSNSを分析した結果、中国からの影響を受け、情報がゆがめられ拡散している傾向が見られたことなどを報じています。また、選挙期間中には、台湾の調査局が、中国寄りの偽情報を流したとして台湾の会社を摘発しています。
我が国においては、これまでのところ、偽情報を発信しているアカウントの日本語が不自然であるなど、言語の壁に守られ、英語、中国語圏に比べてネットを通じた情報工作の影響は限られていると言われています。しかし、自動翻訳の技術が急速に発展している上、日本語が母語である協力者がいる場合は、言葉の違和感で気づくことはできません。更に言えば、我が国は偽情報や選挙への介入を監視する組織を有しておらず、単に気づいていないだけかもしれません。
諸外国は、SNSなどを通じた選挙介入に強い警戒感を持って取組を進めています。アメリカは、既存の捜査、情報機関に加え、国土安全保障省に偽情報対策組織を立ち上げています。ヨーロッパでは、EU、NATOが共同で設置した欧州ハイブリッド脅威対策センター、NATO戦略的コミュニケーションセンター、各国の政府機関、NPOなどの組織によって、世論操作や偽情報の監視対策が実施されています。
国際情勢が大きく変化する今、我が国においても、外国勢力による選挙介入、影響力工作に対応する組織や法的な枠組みの整備に早急に取り組む必要があるのではないでしょうか。民主主義の根幹である選挙の結果に影響が出てしまってからでは手遅れであることを認識すべきです。
以上、問題提起させていただきます。