岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほどの泉議員の御質問に追加でお答えをさせていただきます。
自民党PTにおける性教育をめぐる議論に関する質問がありましたが、自民党においては、政策決定に当たって、幅広い地域また立場の国民の皆さんの声を聞き、また、多くの専門家の意見を聞きながら、多くの議員が参加する形で丁寧に議論を積み重ねております。性教育の議論においても、幅広い丁寧な議論の積み重ねを行ったと承知をしております。よって、御指摘は当たらないと考えております。
その上で、上川陽子議員の御質問にお答えをいたします。
北朝鮮による弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。
北朝鮮は、今年に入ってからも弾道ミサイルを計二十回にわたって発射しています。これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動に加え、昨日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす深刻な挑戦であります。
政府としては、北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集、分析に徹底を期すとともに、警戒監視に万全を期し、関係各国と緊密に連携しながら、日本国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意です。
また、そのために、本年末までに策定する新たな国家安全保障戦略等の検討過程で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速し、防衛力を抜本的に強化してまいります。
昨晩の電話会談でバイデン大統領と確認したように、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会と協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指してまいります。
国連総会出席の成果、防災を含む平和、安全保障分野の女性の活躍についての取組についてお尋ねがありました。
国連総会においては、一般討論演説を行い、国連の機能強化、国際社会における法の支配の推進、人間の安全保障の推進を主要メッセージとして呼びかけを行いました。また、各種二国間会談及び多国間会合において、国際社会の諸課題への日本の積極的な貢献を発信いたしました。また、ニューヨーク証券取引所において、新しい資本主義を始めとする経済政策を紹介し、米国経済界に日本への積極的な投資を訴えました。
議員御指摘のとおり、我が国の女性・平和・安全保障、WPS行動計画は、紛争解決に加え、日本を含むアジア太平洋地域が災害の頻発地域であり、その観点からも、防災、災害対応を含むのが特徴です。防災を含む平和、安全保障分野における女性の活躍は不可欠であると考えております。新たな国家安全保障戦略等を策定するに当たっては、こうした点も念頭に検討を進めてまいります。
十二月開催の国際女性会議WAW!では、平和、安全保障、さらには防災政策における女性参画についても議論する予定です。WAW!の議論を、日本が来年議長を務めるG7での女性活躍に関する議論につなげたいと考えます。
新しい資本主義についてお尋ねがありました。
新しい資本主義は、日本経済を再び成長させるための包括的なパッケージです。従来コストとされてきた人やGX等への投資を未来への投資と再定義し、気候変動などの社会的課題の解決を通じて新たに市場をつくることで、成長と持続可能性の二兎を実現いたします。
このため、六月の実行計画で掲げた人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GX、DXへの投資の四分野に投資を集中し、社会課題を成長のエンジンとしてまいります。また、成長の果実を分配し、更なる成長へつなげていくべく、予算、税制、規制改革といったあらゆる政策を総動員してまいります。
日本経済の現状認識、円安、物価高への取組についてお尋ねがありました。
我が国経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかに持ち直しています。しかし、足下では、ロシアによるウクライナ侵略と円安によるエネルギー、食料価格の高騰、世界の景気後退懸念が日本経済の大きなリスク要因となっています。
物価高に対しては、特に急激な値上がりリスクのある電力料金について、家計、企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策を講じます。また、エネルギー、食料品について、危機に強い経済構造への転換を図ります。
円安に対しては、インバウンド観光の復活など円安のメリットを最大限引き出すとともに、企業投資の国内回帰や農林水産物の輸出拡大など、経済構造の強靱化を進めます。
今月中にこれらの施策を盛り込んだ総合経済対策を策定し、この物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます。
構造的な賃上げについてお尋ねがありました。
新しい資本主義の実現のためには、人への投資の成果を社会課題の解決による成長につなげ、更なる人への投資や賃上げにつなげていく好循環を実現することが不可欠です。
このため、短期的には、来春の賃金交渉において、物価上昇をカバーする賃上げを目標に、転嫁対策や中小企業の支援に取り組みます。
また、中長期的に必要となる構造的賃上げに向けた三つの課題の一体的改革を実現するため、労働移動円滑化に向けた指針の来年六月までの取りまとめ、リスキリングを始めとした人への投資の支援の抜本強化を断行してまいります。
GX推進についてお尋ねがありました。
GXは、単なる化石エネルギーからの脱却にとどまるものではなく、エネルギー、全産業、ひいては経済社会の大変革を実行していくものです。
エネルギーの安定供給は、その大前提です。ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の問題にも正面から向き合い、エネルギー安定供給の確保を進めます。
また、成長志向型カーボンプライシングの具体化や規制・制度一体型の大胆な資金支援により、官民一体で脱炭素投資を促進し、気候変動という社会課題を成長のエンジンとするとともに、アジア・ゼロエミッション共同体構想などの国際戦略についても検討を加速していきます。
DXの推進についてお尋ねがありました。
DXの推進に向け、勧告権を含む強力な総合調整機能、予算を含む政府全体の情報システムの統括、監理等、デジタル庁の権限を最大限活用するべく、自治体、民間からも積極的に人材を受け入れるなど、必要な体制を確保してまいります。
また、オンラインによる幅広いデジタル教育コンテンツの提供等により、デジタルによる地域課題解決を牽引するデジタル推進人材を二〇二二年度から五年間で二百三十万人育成し、デジタル田園都市国家構想を加速してまいります。
マイナンバーカードについては、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得していただくという目標に向けて、健康保険証との一体化を始め、便利で持ちたいと思ってもらえるような、カードの利便性を高める取組を進めてまいります。
観光立国の復活、文化芸術立国についてお尋ねがありました。
新型コロナにより観光関連産業は甚大な影響を受けていますが、観光は、我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札として期待されています。
今月十一日からビザなし渡航、個人旅行再開など、インバウンド観光を復活させ、円安のメリットを最大限引き出すべく、本格的な回復に向けた集中的な取組を実施し、訪日外国人旅行消費額の年間五兆円超の達成を目指します。
さらに、全国旅行支援を再開するとともに、観光地や観光産業の再生、高付加価値化を計画的、継続的に推進し、観光立国の復活に向けて取り組んでまいります。
また、我が国の文化資産やアート作品は、我が国に対する世界の憧れを生むソフトパワーの源泉です。このため、日本の美と心を国内外に発信する日本博二・〇を開始したほか、次代の文化を創造する新進芸術家等の育成支援などを実施してまいります。
中小・小規模事業者に対する支援についてお尋ねがありました。
新型コロナの影響の長期化に加え、ロシアによるウクライナ侵略と円安によるエネルギー価格等の高騰など、中小・小規模事業者は厳しい事業環境にあると考えています。
こうした中小・小規模事業者を支援するため、生産性向上を後押しするとともに、取引適正化を進める公正取引委員会等の執行体制を強化し、価格転嫁対策を徹底いたします。
また、先月拡充した日本公庫による低利融資に加え、コロナ融資の返済本格化に向けた借換え保証の創設の検討など、資金繰り支援に万全を期してまいります。
子供政策についてお尋ねがありました。
少子化は危機的な状況にあり、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一層複雑化しています。常に子供の視点に立ち、その最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会を実現するための新たな司令塔としてこども家庭庁を来年四月に創設し、子供政策を強力に推進いたします。
今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何かをしっかり議論した上で、体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討をすることと併せて、子供政策の充実に取り組んでまいります。
新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
この一年、専門家の意見を聞きながら、国民の命と健康を守ること、社会経済活動を止めないこと、この両立に全精力を傾けてまいりました。
また、先月には、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像をお示ししました。科学的知見に基づきながら、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう取り組んでまいります。
こうした取組に加え、次の感染症危機に備え、法律に基づき機動的かつ効果的な緊急時対応が可能となるよう、感染症法等の改正案を今国会に提出いたします。さらに、司令塔機能の強化、日本版CDCの創設にも取り組んでまいります。
災害対策に取り組む決意についてお尋ねがありました。
本年も、三月の福島県沖を震源とする震度六強の地震、七月の桜島の噴火、七月以降の相次ぐ大雨や台風など、全国各地で様々な災害が発生しています。
これらの災害でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
近年、災害が激甚化、頻発化する中、地震や津波、風水害、噴火などの大規模災害から国民の生命財産を守ることは政府の最も重要な責務です。
本年六月に開始した線状降水帯の予測の精度向上に向けた取組を強化、加速化するなど、不断の見直しを行いながら、防災・減災、国土強靱化に中長期的かつ継続的に取り組み、災害対策に引き続き全力を挙げてまいります。
統一教会との関係、被害者の救済についてお尋ねがありました。
まず、私の政権においては、各閣僚がそれぞれの統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
また、被害者の救済に関する私からの指示を受け、消費者庁の有識者検討会において、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策等について議論をするとともに、九月五日から、関係省庁による合同電話相談窓口を設け、集中的に相談を受け付けています。
こうした消費者庁の検討会の議論や合同電話相談窓口に寄せられた相談内容も踏まえつつ、霊感商法等に関して、不当な勧誘があった場合の取消し事由の拡大や取消権の行使期間の延長など、消費者契約に関する法令等の見直しの検討を加速し、早急に結論を出すよう、河野担当大臣に指示をしたところであります。
弔問外交の成果並びに今後の新時代のリアリズム外交の展開についてお尋ねがありました。
今回の国葬儀には、二百十七の国、地域、国際機関等から七百人を超える来賓をお迎えし、御指摘のとおり、私自身、三十八回、計四十二人の海外要人と個別会談を行うとともに、世界各国から示された弔意に対して礼節を持ってお応えいたしました。
会談では、多くの国から、安倍元総理が残した、自由で開かれたインド太平洋、自由、民主主義、基本的人権といった普遍的な価値や、法の支配に基づく国際秩序の維持強化などの取組への評価とともに、これらを受け継いでいきたいとの意思が示されました。改めて、安倍元総理の外交的遺産の重みを感じるとともに、私からは、日本外交の基軸をぶれずに貫いていくことを強調いたしました。あわせて、最近の国際情勢など、多角的な意見交換も行えたことは外交上の成果と考えています。
来年、我が国は、安保理非常任理事国となり、五月にはG7議長国として広島でサミットを主催します。先ほど述べた成果も踏まえ、引き続き、私自身が先頭に立ち、普遍的価値に立脚をした規範や原則の維持強化、地球規模課題への取組、そして国民の命と暮らしを断固として守り抜く、新時代リアリズム外交を着実に推進してまいります。
国葬儀の実施に関するルールの策定についてお尋ねがありました。
今回の安倍元総理の国葬儀に対して、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいたことは真摯に受け止めなければならないと考えております。
今後、国民のより幅広い理解を得て国葬儀を実施することができるよう、政府としては、今回の国葬儀について検証を行うこととしております。まずは、幅広い有識者の方々から御意見を伺い、国葬儀について論点と意見を整理することから始めます。できる限り早期にその整理をお示しした上で、今後、内閣総理大臣経験者の国葬儀の実施については、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルールを設けることを目指します。
その際、政府のお示しする整理を素材として、与党はもちろん、国会においても党派を超えて御議論いただき、国民各層の幅広い御理解を得ることができるよう努めてまいります。
今般のウクライナ情勢の現状認識と今後の対応、そして日本の外交力強化、核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。
ウクライナ国内における住民投票及び編入と称する行為は、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、決して認められてはならず、強く非難をいたします。そのような試みは、国際社会における法の支配の原則に正面から反するものであり、無効です。
我が国は、力による一方的な現状変更の試みを決して看過せず、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、強力な対ロ制裁及びウクライナ支援の二つの柱にしっかりと取り組んでいきます。
日本の外交力強化については、同盟国、同志国とこれまで以上に連携しつつ、ロシアによるウクライナ侵略への対応や、法の支配に基づく国際秩序、自由と民主主義を守り抜くことを始めとする国際社会の様々な課題に取り組んでいきます。あわせて、在外公館の整備を含む外交実施体制を抜本的に強化するとともに、地域協力の枠組みを活用しつつ、御指摘のあった司法外交の推進等にも取り組み、国際社会における法の支配を強化してまいります。
ロシアは核をめぐる威嚇的な行動を行っていますが、我が国は唯一の戦争被爆国として、そのような核兵器による威嚇も、ましてや使用も決して認めることはできません。
核兵器のない世界に向けた取組について、先般のNPT運用検討会議において、ロシアの反対により成果文書が採択されなかったことは極めて遺憾ですが、核軍縮に向けた新たな議論の土台が示されるとともに、NPTの重要性が再確認されました。同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、年内に広島で開催予定の国際賢人会議も活用しながら、ヒロシマ・アクション・プランに沿って、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な歩みを進めてまいります。
拉致問題についてお尋ねがありました。
我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す考えです。
その上で、北朝鮮による拉致が発生して長い年月がたちましたが、二〇〇二年に五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現していないことは痛恨の極みであります。御家族がお年を重ねる中で、解決に向けて一刻の猶予もないという切迫感を私としても共有いたします。
最重要課題である拉致問題については、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
インド太平洋地域の平和と安定の確保に向けた取組についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境は、中国による東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、軍事バランスの変化による緊張の高まり、北朝鮮による核・ミサイル開発など、厳しさと不確実性を増しています。
また、今回のロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であるとともに、力による一方的な現状変更であり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為です。今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはなりません。
このような現実に直面する中、平和と繁栄を確保するため、日本の外交・安全保障面での役割を強化してまいります。その中で、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定し、我が国自身の防衛力の抜本的強化に取り組みます。同時に、日米同盟の抑止力、対処力の強化をしっかりと図っていくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を、関係国や地域のパートナーと連携しつつ、推進してまいります。
防衛力の抜本的強化についてお尋ねがありました。
安全保障環境が急速に厳しさを増す中、抑止力、対処力の強化は最優先の使命です。新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を加速し、先般開始した、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議において議論を進めるとともに、与党とも十分連携しながら、予算編成過程で結論を出します。
検討に当たっては、必要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保、これらを一体的かつ強力に進め、その過程で、国民の皆さんに丁寧に説明をし、理解を得てまいります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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