岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 玉木雄一郎議員の御質問にお答えいたします。
台風被害への対応についてお尋ねがありました。
まず、改めて、一連の台風で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
浸水被害を含め、災害からの早期の復興に向けては、災害廃棄物の仮置場の候補地を事前に選定しておくことは極めて重要です。政府としては、自治体に対し、仮置場選定も含めた災害廃棄物処理計画の策定を促しており、そのための支援も行っているところです。改めて、計画策定と現場での円滑な運用について徹底してまいりたいと思います。
また、台風十五号で被災した中小企業への支援策として、災害救助法が適用された静岡県に対し、中小企業関係団体等による特別相談窓口の開設、災害復旧貸付けの実施等の措置を講じています。こうした取組を進めつつ、小規模事業者持続化補助金を含む適切な支援策を講じていくべく、早急に被害実態の把握に努めてまいりたいと思います。
賃上げをめぐる基本認識と方針についてお尋ねがありました。
我が国は、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、他国と比べて低い経済成長が続きました。この間、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが継続する、こうした悪循環となりました。こうした中で、企業に賃上げを行う余力が生まれにくくなったことから、賃金が伸び悩み、他国より低い賃金水準になったと考えております。
このトレンドを一気に反転させ、成長と分配の好循環による新しい資本主義にふさわしい賃上げを実現するためには、賃上げが高いスキルの人材を引きつけ、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げを生むという好循環を実現することが不可欠です。
このため、短期的には、来春の賃金交渉において物価上昇をカバーする賃上げを目標に、価格転嫁対策や中小企業の支援等に取り組みます。
さらに、中長期的に必要となる構造的賃上げに向けて、賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革を実現するため、労働移動円滑化に向けた指針を来年六月までに取りまとめるとともに、リスキリングを始めとした人への投資の支援を五年間で一兆円のパッケージへと抜本強化してまいります。
需給ギャップ、家計への給付、再エネ、外為特会についてお尋ねがありました。
まず、内閣府の推計によれば、最新の本年四月―六月期の需給ギャップは、年率換算でマイナス十五兆円であると承知をしています。
足下の物価高に対しては、家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金を迅速に実施するほか、地域の実情に応じた子育て世帯への支援などに使用可能な新たな交付金等を創設いたしました。さらに、家計、企業の電力料金負担軽減について御党を含め様々な御意見があるところですが、総合経済対策において、電力料金負担の増加を直接的に緩和する思い切った対策を含め、エネルギー、食料品等の価格高騰により厳しい状況にある生活者、事業者への支援を強化し、消費を下支えしてまいります。
また、外為特会の外国為替評価損益は、各年度決算を基に毎年三月末の数値をお示ししており、最新の令和四年三月末は一兆円であります。
しかしながら、外為特会が保有する外貨資産は、外国為替相場の安定を目的として、将来の為替介入等に備えて保有しているものであり、財源確保のために外貨を円貨に替えるのは、実質的にドル売り・円買いの為替介入そのものとなります。G7等での国際的な合意において、為替介入は過度な変動や無秩序な動きへの対応のために行われることとされており、この面から適当ではないと考えております。
エネルギー政策についてお尋ねがありました。
いわゆる新電力が大手電力会社よりも割安な料金メニューを提供するなど、電力自由化は、電力料金の負担を抑制する一定の効果があったと考えております。
他方、電力自由化で安定的な相対取引が縮小したこと等により、火力発電の採算性が悪化し、新設抑制や休廃止などが生じているほか、国際エネルギー市場の混乱による影響などもあり、エネルギー安定供給の再構築は急務と言える状況です。
足下では、ロシアのウクライナ侵略による世界的な燃料価格の高騰等の影響を受け、更に電力料金が高騰するリスクがあることから、家計、企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策により対応していきます。
さらに、電力需給逼迫という足下の危機克服とGX推進を両立させるべく、再エネ、省エネの最大限の導入、原子力の最大限の活用に取り組んでまいります。また、次世代革新炉の開発、建設を含むあらゆる選択肢について、年末に向け、専門家による議論の加速を指示したところであり、専門家の意見も踏まえ、年末までに具体的な結論を出せるよう、検討を進めてまいります。
自動車分野のGX化についてお尋ねがありました。
脱炭素化へのチャレンジに当たり、自動車の電動化を進めることは重要です。電気自動車等の購入補助金は昨年の約二倍のペースで申請をいただいており、早ければ今月末にも受付を終了せざるを得ない状況です。
新しい資本主義実現会議では、今般策定する総合経済対策の重点事項としてGX投資を掲げていますが、その中には電気自動車等の購入支援を盛り込んでいます。引き続き、自動車分野のGXを加速するべく、必要な措置を用意していきたいと思います。
自衛隊の継戦能力、ミサイルへの対応等についてお尋ねがありました。
安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊の継戦能力、そして装備品の可動数は必ずしも十分ではないと承知をしております。
こうした中で、自衛隊が各種活動を継続的に実施できるよう、十分な数量の弾薬の確保や装備品の可動数の増加、地下化、構造強化等の自衛隊施設の抗堪性の向上、こういった取組が重要であると認識をしております。
また、武力攻撃を想定した避難施設の在り方についての議論の中で、御指摘の民間シェルターの設置についても検討を行っているところであります。
新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を加速する中で、これらの点についてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
子育て支援策の所得制限についてお尋ねがありました。
各制度における所得制限の在り方については、個々の制度の目的や支援方法に応じて、それぞれの制度において必要性が判断されるものと考えております。
例えば、児童手当については、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給するものであり、この目的の下、現在の所得制限は、本則給付で中学校修了前までの児童のおおむね九割が対象となっており、いわゆる中間層の方々にも支援をお届けできていると考えております。
日本人の学生への支援については、給付型奨学金や授業料減免の対象の拡大、また卒業後の所得に応じて奨学金を柔軟に返還できる仕組みの創設、これらを令和六年度に創設することとしており、学生への経済的支援の充実を進めてまいりたいと思っております。
そして、その際、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくかという観点から幅広く検討していくことが重要であり、教育国債という御指摘については、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると考えております。
いわゆる年収の壁についてお尋ねがありました。
これまでの見直しにより、配偶者の収入増による税負担の増が世帯全体としての収入の増を上回ることはない仕組みとなっておりますが、社会保険において労働時間や収入によって適用が変わる問題に対し、働き方に中立的な制度の構築を図ることが重要であると考えております。
例えば、いわゆる百三十万円の壁については、短時間労働者への被用者保険の適用拡大により、これを意識せず働くことが可能になると考えており、全ての方が希望どおり働けるよう、引き続き、こうした取組を進めてまいりたいと考えます。
そして、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく報告及び質問の可否についてお尋ねがありました。
宗教法人法第七十八条の二の規定に基づく報告及び質問に関する権限は、宗教法人について、解散命令の事由等に該当する疑いのある場合に限り、所轄庁が行使することができるものです。
この権限の行使について検討するに当たっては、宗教法人法の趣旨を踏まえながら、宗教法人に対して報告及び質問を行う必要があると認められる場合には、宗教法人法の規定に従って行使すべきものであると認識をしております。
いずれにせよ、社会的に問題が指摘されている団体に関して、宗教法人法を含め、関係法令との関係を改めて確認しながら、厳正に対応してまいります。(拍手)
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