米山隆一の発言 (本会議)
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○米山隆一君 ただいま葉梨法務大臣より趣旨説明がありました民法等の一部を改正する法律案について、立憲民主党・無所属会派を代表して質問いたします。(拍手)
まず、葉梨法務大臣におかれましては、先般の法務委員会において、御自身の後援会幹部が葉梨後援会ゴルフ大会、主催葉梨康弘後援会なるビラを作って後援会会員に参加者を募って開かれたゴルフ大会において、会費二千円からは到底考えられない高額賞品が提供されていたことが公職選挙法第百九十九条の五に、この会の収支が後援会の政治資金収支報告書に記載されていなかったことが政治資金規正法第二十五条に反するのではないかとの私の質問に対して、後援会員がアドホックに集まって執り行った会であるから問題ない、自民党の顧問弁護士も確認しているとお答えになりました。
これは法務大臣として非常に大きな御発言であり、本当にそうであるなら、葉梨法務大臣が所信演説でおっしゃられた法治主義に鑑み、この議場にいる全議員、日本中の全地方議員が、同様の手法を用いることによって、公職選挙法第百九十九条の五、政治資金規正法第二十五条の規律を免れることになります。
私は、これは、法務大臣自らが公職選挙法第百九十九条の五及び政治資金規正法第二十五条を潜脱する、脱法する手段を示したものであり、極めて問題が多く、葉梨大臣の法務大臣としての資質に極めて強い疑問を呈せざるを得ません。
今後、一層の事案の究明が必要であることをまず申し上げさせていただきます。
さて、今般の改正は、近代戸籍制度が導入された一八七二年以降、戦後の改正でもそのまま維持されてきた民法第七百三十三条の、女性のみに課せられた再婚禁止規定を削除するとともに、民法七百七十二条を始めとする嫡出推定規定について改め、民法第八百二十二条の懲戒権を削除するものであり、改正に長い期間を要した事情はさておくとして、まずは、大筋において、民法典における家族法の根幹部分を時代に合わせたものと評価いたします。
婚姻、出産、育児は、それをするしないのいずれであっても、個人の人生において非常に大きな事柄です。私の人生も結婚を契機に大きく変わりました。そして、これらの事柄は、その個人の人生を集めた社会の在り方をも規律する極めて重要な問題であるとともに、現代においては、個人の生活の在り方、社会生活のありようのみならず、科学の進歩もまたこの問題に大きな影響を与えています。
特に、DNA鑑定技術の進歩の影響は大きく、今までは、父の確定は、もちろん、様々な状況からほぼ確定する場合がほとんどであったとはいえ、最終的には神のみぞ知るものでした。そのとき法律は実社会において父を確定する最終的なよりどころであり、どのようなものであれ、父を確定することそのものに意義があったと言えます。
ところが、DNA鑑定によって、個人の生活も社会状況も法律も全て捨象して、純粋に科学的にほぼ一〇〇%の確率で父を確定できるようになりました。それは、もはや法律は、父を確定するというただそれだけの役割ではその意義を保てず、婚姻、出産、育児というものをこの社会がどう捉えているのかを示す合理的規範としてその意義を持たなければならなくなったということだと思います。
さて、その観点から御質問いたします。
今般廃止される民法第七百三十三条の、女性のみに百日間の再婚禁止を課す規定は、二〇一五年十二月十六日の最高裁判所の判決によって、従前の六か月間の再婚禁止期間を定めた民法第七百三十三条の規定が憲法第十四条の法の下の平等に反して違憲とされたことを受けて、二〇一六年六月一日に改正されて、百日間になっていたものです。
二〇一六年の改正における議論でも、百日間の再婚禁止規定を維持する必要はなく、直ちに撤廃すべきだという意見は多数あったと理解しておりますが、当時の答弁を見ると、政府は、違憲の法律を直ちに改正すべきだからというだけの理由で百日間の再婚禁止期間を残しました。
政府の公式見解に従うなら、まずは急いで違憲部分を是正し、その後、時間をかけて削除の議論をしたということになるのでしょうが、昨今報道されているところによると、大串正樹デジタル兼内閣府副大臣、山田賢司外務副大臣を含む与党自由民主党の複数の議員が、伝統的な家庭教育の推進、LGBTQや同性婚に関する制度化に慎重であるべきだといった政策の推進を求める内容の推薦確認書を旧統一教会若しくはその関連団体と交わしていたとのことであり、にわかに信じることはできません。
そこで、葉梨大臣にお伺いいたします。
先般自民党が行った点検の結果を総理と共有し、女性のみに、従前六か月、二〇一六年の改正以降は百日間の再婚禁止期間を定めるこの差別的な民法第七百三十三条の条項が今般の改正まで修正されずに残っていたことについて、旧統一教会若しくはその関連団体との影響がなかったのか、調査する意思があるのかないのか、お答えください。
さて、この再婚禁止規定の削除によって、離婚後、前夫の嫡出推定期間である三百日以内に女性が再婚し出産した場合でも、再婚した夫の子と推定されると定める民法第七百七十二条第三項が加えられました。この規定が設けられたのは、従前、前夫の嫡出推定期間である三百日以内に出産した女性が子供が前夫の子供と推定されて戸籍に登録されることを回避するために出生届を出さないことによって、無戸籍児となって様々な公共サービスを受けられなくなってしまうことが社会問題化したことが大きな理由の一つであると理解しております。
確かに、この民法第七百七十二条第三項の規定によって、離婚後三百日以内に再婚して出産した場合には再婚後の現在の夫に嫡出推定が働きますので、一定程度、無戸籍児の解消には資するものと思います。一方で、離婚後三百日以内に再婚せず出産した女性にとっては問題は何も変わっておらず、一定数の無戸籍児は残るものと思います。
そこで、葉梨法務大臣に伺います。
法務省の把握しているところで、現在、日本には年間何人程度の無戸籍児が生じているのか、そして、この改正によってそのうちどの程度の数が減少すると見込まれているのか、その根拠とともにお答えください。
あわせて、なぜこの離婚後三百日を前夫の嫡出推定期間とする規定を残しているのか、その根拠も伺います。
さて、先ほど申しましたとおり、今般の改正後も、様々な理由によって、無戸籍児、そして無戸籍者は一定数発生し続けます。現在の日本の制度において、戸籍がないということは、様々な行政サービスの対象からこぼれ落ちるということであり、本来当然有しているはずの日本国民としての権利を行使できないということです。国民主権国家たる日本が、そのような状態の人を放置していいはずがありません。
法務省においては、発生してしまった無戸籍状態を解消するために、無戸籍の方の戸籍をつくるための手引書のようなパンフレットを作って周知に努めているものと承知しておりますが、一方で、無戸籍者には家庭環境、経済環境に困難を抱えた人も少なくなく、手引書に書かれた手続を行うこと自体が困難であるという事情もあります。行政において、積極的に、無戸籍者に対して無戸籍状態を解消する手続を支援する必要があるものと思います。
そこで、葉梨法務大臣に伺います。
法務省において、無戸籍者の無戸籍状態を解消するために、前述のパンフレットの作成、周知のほか、どのような施策を講じており、また、今後どのような施策を講じる予定があるのか、お答えください。
そして、そのようにして無戸籍を解消するとしても、手続には時間がかかり、一定期間無戸籍状態が続くことは避けられません。
ところで、この問題は、実のところ、住民票への記載や義務教育を受けることなどは無戸籍であっても一定の手続を経て可能であるにもかかわらず、戸籍がなければ公共サービスを受けられないと、無戸籍者のみならず、自治体、行政機関の職員が誤解していることにも一因があると承知しております。
一方で、無戸籍者には前述のとおり家庭環境、経済環境に困難を抱えた人も少なくなく、この行政サービスを受けるための一定の手続を行うこともまた困難であり、行政において、積極的に、無戸籍者に対して、戸籍を獲得するまでの期間、行政サービスを受ける支援をする必要があるものと思います。
そこで、葉梨法務大臣にお伺いします。
法務省において、無戸籍者が戸籍を取得するまでの間、行政サービスを受けることができるようにするためにどのような施策を講じており、また、今後どのような施策を講じる予定があるのか、お答えください。
さて、無戸籍問題を考えてまいりますと、その手続的困難の根幹は、日本国民として新しく出生した者を、原則として、父及び母を確定した上で、実のところ実体のない、どちらかの戸に編さんするとしているところにあるものと言わざるを得ません。この戸という概念に何か非常に特殊な価値を見出す意見も根深くあることは承知しておりますので、その議論には深入りしませんが、私は、この実体のない戸という概念にとらわれた日本の戸籍制度もまた、現代の個人の在り方、社会の在り方、そして科学の進歩を受けて変化すべきものであると思います。
そして、その最も端的な例が、我が立憲民主党ほか多数の政党が推進している選択的夫婦別姓制度であり、私は、是非ともこの選択的夫婦別姓制度を実現すべきものと思います。
そこで、葉梨法務大臣にお伺いいたします。
選択的夫婦別姓制度に対する御所見と今後の取組についてお答えください。
最後に、今般の改正案においては、民法第八百二十二条に定める懲戒の規定が削除され、親権を行う者は、その監護及び教育を行うに当たっては、子の人格を尊重し、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない旨が定められました。この改正は極めて当然であるものと思います。
ここで、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動には様々なものがありますが、昨今、旧統一教会問題で注目を集めている宗教二世の問題は、その極めて顕著な一例であると思われます。旧統一教会問題の被害者救済については、現在、与野党の協議が行われていることと承知しておりますが、宗教二世の救済については、まだ議論の端緒にも至っていないものと理解しております。
まずは、今般の民法第八百二十一条、八百二十二条の改正を契機に、児童虐待の防止等に関する法律、通称児童虐待防止法第二条の児童虐待の定義に宗教的虐待を加え、宗教的虐待を児童福祉行政の対象と明示し、併せて救済のための関係法令を整備することを検討すべきと考えますが、加藤厚労大臣の御所見を伺います。
最後に、我が立憲民主党は、男女を不平等に扱う固定観念や不合理なこだわりを離れ、現代の科学を踏まえ、今を生きる一人一人の生活と社会の在り方に適合し、何よりも、個人が個人として尊重され、幸福を追求できる家族法制の立法と、政治、行政の実現に向けて全力で取り組んでまいりますことをお誓いして、私の質問とさせていただきます。
御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣葉梨康弘君登壇〕