岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 柚木道義議員の御質問にお答えいたします。
寄附の勧誘をするに際しという要件の修正についてお尋ねがありました。
寄附の勧誘をするに際しとは、法人が当該寄附の勧誘を行う場合に、個人と接触してからその個人が寄附を行うまでの間にという趣旨であり、入信前後から寄附に至るまでが一連の寄附勧誘であると判断できる場合には対象となります。
一方、一連の寄附勧誘と判断できない場合であっても、入信時に抱かされた不安が継続している場合には、法人等がこれに乗じて寄附の勧誘をすれば、新法の第四条第六号の不安を抱いていることに乗じての要件を満たすことから、条文を修正せずとも、取消権の適用対象になると考えています。
困惑要件の修正についてお尋ねがありました。
消費者契約法逐条解説において、「「困惑」とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況をいう。畏怖をも含む、広い概念」とされています。
精神的に自由な判断ができない状況とは困惑の解説の一部を切り取ったものであり、これを法律の条文とすることは適当ではないと考えています。
他方、いわゆるマインドコントロールによる寄附については、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、消費者契約法の改正法案と新法案による取消権の対象となると考えられます。また、取消権の対象とは明確に言えない場合についても、今回措置する配慮義務規定に抵触し、民法上の不法行為認定に基づく損害賠償請求により、被害救済に対応できると考えております。
必要不可欠という要件についてお尋ねがありました。
必要不可欠要件は、必ずしも必要不可欠という言葉をそのまま告げる必要はなく、勧誘行為全体としてそれと同等程度の必要性や切迫性が示されている場合には適用可能と考えており、多額の寄附に至るような悪質な勧誘事例の多くはそのような必要性や切迫性を有しているものと考えられることから、政府案で十分実効的に対応できるものと考えております。
なお、御指摘の部分を単に必要とすると、厄払いなど一般的に許容されている宗教活動等にまで対象が広がってしまいかねず、真に取消しに値する程度に不当な勧誘行為を適切に捉えることが困難になると考えられます。
配慮義務を禁止行為とすることについてお尋ねがありました。
禁止行為は、法人等がどのような行為をしてはならないのか的確に認識できるよう、その類型及び要件を可能な限り客観的で明確なものとして規定すべきであると考えられます。
配慮義務については、適切な判断をすることが困難な状況等、勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態を規定しています。これは、いかなる行為によるものであったとしても、寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示すものであり、禁止行為とする場合よりも、こうした結果を招く、より幅広い行為を捉えることができるため、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易にする効果が高いと考えております。
なお、配慮義務規定の更なる実効性向上に関し、与野党で様々な御意見があると承知しておりますが、政府としては、そういった意見も伺いつつ、本法案の早期成立を図ってまいります。
野党案の特別補助制度についてお尋ねがありました。
御党を始め野党から既に国会に提出されている法案について政府の立場から意見を述べることは差し控えさせていただきますが、政府提出の新法案においては、自らの権利を保全するために必要な範囲で他者の権利を行使することを認める制度である債権者代位権を活用しやすくしており、これによって、個人の財産権を侵害せず、今後発生する債権も含めて、家族らの被害救済につなげることができると考えております。
また、債権者代位権の適切な行使により被害回復等を図ることができるようにするための支援は重要であると考えており、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備など、支援の在り方も検討してまいります。
一方、これらを超えて、家族を含めた第三者が幅広く本人の行った契約や意思表示の取消しができるとすることは、個人の財産権の侵害の観点から適当ではないと考えております。
消費者契約法における罰則の導入についてお尋ねがありました。
高額な献金による被害が特に重大な問題として指摘されている中で、今般の法案では、悪質な寄附の勧誘行為を禁止行為とし、行政措置や罰則を規定することとしたものです。
商取引に該当する契約については、現行の消費者契約法により取消権の対象となるほか、民法上の不法行為認定やそれに基づく損害賠償請求の対象となりますが、勧告、命令等の行政措置や罰則を導入する場合には、寄附よりも更に幅広い事業主体に影響を及ぼすものであることから、慎重な検討が必要であり、現段階では、勧告、命令等の行政措置や罰則の導入は行わないこととしたものであります。
見直し規定についてお尋ねがありました。
法律の見直しに当たっては、規定の施行の状況及び社会経済情勢の変化を勘案すべく、一定の法運用の実績を確保する必要があります。
このため、法施行後三年をめどとしての期間を置くことが相当と考え、このような見直し規定といたしましたが、必要に応じて、それより早く見直しに着手することも考えられます。
困惑してした献金や念書の考え方についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げたとおり、過去に不安をあおられたことによって生じた不安をその後も抱き続けている者に対して、これに乗じて複数回、長期にわたって寄附を勧誘する行為は禁止行為に該当し、これにより困惑して行った寄附は取り消すことが可能となります。
また、寄附当時は自分が困惑しているか判断できない状態であったとしても、脱会した後に冷静になって考えると、当時、不安に乗じられ困惑して寄附をしたということであれば、そのような主張、立証を行って、全額の取消権を行使することが可能であると考えられます。
困惑状態でサインした寄附の一部の返金の和解の合意や、寄附の返金を求めない旨の念書は、公序良俗に反するとして無効となり得るものと考えられます。
また、個別具体の事例によっては、むしろ、法人等が寄附の勧誘に際して、個人に対して念書を作成させ、あるいはビデオ撮影をしているということ自体が法人等の勧誘の違法性を基礎づける要素の一つとなり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められやすくなる可能性もあると考えられます。当然のことながら、不法行為を隠蔽する証拠隠滅や被害回復の妨害行為は社会的に許容し難いものであると考えます。
旧統一教会による養子縁組についてお尋ねがありました。
御指摘の旧統一教会における養子縁組については、厚生労働省において事実関係の確認を行っていたところであり、昨日、厚生労働省が旧統一教会からの回答を受領したと承知をしております。
現在、厚生労働省において回答の内容を精査しており、法律にのっとり、精査の結果に基づいて適切に対応してまいります。(拍手)
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