岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 漆間譲司議員の御質問にお答えいたします。
消費者契約法の改正案の実効性についてお尋ねがありました。
現行のいわゆる霊感商法に関する取消権の規定については、消費生活相談等では活用されています。また、この規定があることによって、霊感商法に対し一定の抑止効果があったものであると考えております。
そして、今般の改正によって、霊感等による知見を用いた告知に関し、本人に関する不利益のみならず親族に関する重大な不利益や、将来生じ得るもののみならず現在生じている重大な不利益について回避ができることを告げる場合も取消権の対象とすること、また、消費者の不安をあおる場合のみならず不安を抱いていることに乗じた場合も対象とすることといった点が改正され、現行の規定の明確化及び取消しの対象範囲の拡大が図られることにより、裁判上及び裁判外において消費者保護の実効性が更に高まるものであると考えております。
本法案を今国会に提出するに至った経緯等についてお尋ねがありました。
私自身、旧統一教会の被害者の方々と内々お会いをして、凄惨な御経験を直接伺い、被害者の救済及び再発防止を図るために、今国会で被害者救済法案の実現に取り組む決意を新たにいたしました。このため、消費者庁に対し、総力を挙げて法制度の検討を進め、可能な限り早急に国会に提出するよう指示をしてまいりました。
この間、与野党において、新規立法に向けて精力的な協議を重ねていただいたものと承知しております。
こうした与野党間の議論も踏まえ、政府としての新法案を決定し、今国会に提出したものであります。
新法における、これまでに被害に遭われた方の救済への手当てについてお尋ねがありました。
本法律案は、原則として、施行日以降に行われる寄附の勧誘について適用されるものです。一方、配慮義務については、それ自体が遡って適用されることはないものの、寄附勧誘に当たっての規範を示すものであり、こうした規範は、過去の寄附に関する被害についての民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求の裁判の実務においても考慮される可能性があると考えています。
また、過去、いわゆるマインドコントロールを受け、現在も不安を抱いている方に対し、その不安に乗じ寄附勧誘を行うことを禁止行為とすることで、新たな被害の発生を抑制いたします。
法律の実効性を高めるための努力についてお尋ねがありました。
改正法案と新法案では、現在の我が国の法体系の中で許される限り最大限実効的な法案とすべく、禁止行為、取消権、配慮義務、行政措置や刑事罰など、様々な規定を組み合わせて立法作業を行いました。
両法案は実効的なものとなったと考えておりますが、政府としては、改正法案及び新法案の国会審議において、法案の趣旨や目的について説明を尽くし、与野党の御意見も伺いつつ、早期成立に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。
配慮義務の規定についてお尋ねがありました。
禁止行為は、法人等がどのような行為をしてはならないのか的確に認識できるよう、その類型及び要件を可能な限り客観的で明確なものとして規定すべきであると考えています。
一方、配慮義務については、適切な判断をすることが困難な状態等、勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態を規定しています。これは、いかなる行為によるものであったとしても、寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示すものであり、禁止行為とする場合よりも、こうした結果を招く、より幅広い行為を捉えることができるため、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易とする効果が高いと考えております。
なお、配慮義務規定の更なる実効性向上に関し、与野党で様々な御意見があると承知していますが、政府としては、そういった御意見も伺いつつ、本法案の早期成立を図ってまいります。
第四条の勧誘をするに際しという文言についてお尋ねがありました。
第四条の勧誘をするに際しとは、個別の寄附の勧誘に際し、法人等が個人に接触してからその個人が実際に寄附を行うまでの間にという時間的概念を含む規定です。
これに対し、第三条では、一見類似している表現として、寄附の勧誘を行うに当たってはと規定しています。これは、時間的概念を含むものではなく、一般論として寄附勧誘を行う場合を指しています。
このように新法案では際しと当たりという表現を使い分けており、法制上の観点から御指摘のような修正はできませんが、こうした法律上の言葉の使い分けが分かりにくいという御指摘はしっかりと受け止め、新法案が成立した際には、改めて法律の解説において説明を尽くしてまいります。
困惑の要件の修正についてお尋ねがありました。
消費者契約法逐条解説において、「「困惑」とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況をいう。畏怖をも含む、広い概念」とされています。
精神的に自由な判断ができない状況とは困惑の解説の一部を切り取ったものであり、これを法律の条文とすることは適当ではないと考えています。
他方、いわゆるマインドコントロールによる寄附については、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、消費者契約法の改正法案と新法案による取消権の対象となると考えられます。また、取消権の対象とは明確に言えない場合についても、今回措置する配慮義務規定に抵触し、民法上の不法行為認定に基づく損害賠償請求により、被害救済に対応できると考えています。
第四条第六号の必要不可欠という文言についてお尋ねがありました。
今回の規定については、厄払いなど一般的に許容されている宗教活動等にまで規制対象が広がる意図はなく、多額の寄附に至るような悪質な勧誘事例の多くが有する必要性や切迫性の有無を規制対象とするか否かの判断の基準とする旨を的確に表現する観点から、不可欠という文言を規定に入れることとしたものです。
必要不可欠の規定の趣旨については、法成立後、法律の解説においても明確にしてまいります。
見直し規定についてお尋ねがありました。
法律の見直しに当たっては、規定の施行の状況及び社会経済情勢の変化を勘案すべく、一定の法運用の実績を確保する必要があります。
このため、法施行後三年をめどとしての期間を置くのが相当と考え、このような見直し規定といたしましたが、これは、必要に応じて、それより早く見直しに着手することも考えられます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇〕