岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大口善徳議員にお答えいたします。
旧統一教会問題における被害者救済に向けた政府の取組についてお尋ねがありました。
政府は、旧統一教会問題に関し、相談体制の強化等による被害者の救済、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権の行使等を通じた事実把握、実態解明、今後同様の被害を生じさせないための法制度の見直し、この三つの対策を並行して進めています。
このうち、相談体制の強化等については、先般、関係省庁において総合的な方策を取りまとめ、法テラスにおける対応窓口や心理専門職を配置した対応部署の新設などの抜本的な充実強化、国民生活センターにおける裁判外紛争解決手続の充実などの消費生活相談等の強化、そして市町村や児童相談所における虐待対応に関するQアンドAの作成などの宗教二世も念頭に置いた救済や支援の充実、これらの諸施策を盛り込み、関係機関で連携して取り組んでいくこととしております。
また、文化庁においては、宗教法人法に基づき、宗教法人審議会に諮問した上で、旧統一教会に対し報告徴収、質問権を行使したところです。
政府としては、こうした取組を通じ、引き続き、被害者の救済に万全を尽くしてまいります。
改正法案と新法案の意義についてお尋ねがありました。
消費者契約法の改正法案は、旧統一教会問題等のいわゆる霊感商法や契約に当たる寄附について、取消権の対象範囲の拡大や取消権の行使期間の伸長等の措置を講じ、被害防止及び救済の可能性を高めます。あわせて、国民生活センター法の改正により、ADRの活用促進を図ります。
また、新法案では、現行の日本の法体系の中で許される限り最大限実効的な法案とすべく、消費者契約に当たらない寄附も含め、社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘行為を禁止し、これに対する勧告、命令等の行政措置を導入するとともに、不適切な勧誘行為を受け、困惑した中で行われた寄附の意思表示については瑕疵があることから、取消しを認める制度としています。さらに、寄附の勧誘に当たっての配慮義務を定め、これに反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為認定やそれに基づく損害賠償請求の容易化を図ります。
この二法案により、これまで救済できなかった被害をより幅広く救済でき、また、将来に向けて、被害の防止にも役立つと考えております。
配慮義務についてお尋ねがありました。
新法案では、旧統一教会の被害実例で明らかになった多様な手口も踏まえ、一定の寄附勧誘行為を禁止行為と規定することに加え、勧誘を受ける側が、いわゆるマインドコントロールで適切な判断をすることが困難な状況に陥る、過大な寄附により生活の維持が困難となる、法人の正体や寄附の使途を誤認するといった結果に陥る寄附勧誘行為を行わないよう、包括的な配慮義務の規定を置いたものです。
より幅広い行為を捉えることができる配慮義務を措置することで、これに反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求が容易となり、禁止行為や取消権等の規定と相まって、被害救済の実効性が高まるものと考えております。
新法案の禁止規定の文言についてお尋ねがありました。
まず、必要不可欠要件は、必ずしも必要不可欠という言葉をそのまま告げる必要はなく、勧誘行為全体としてそれと同等程度の必要性や切迫性が示されている場合には適用可能と考えております。多額の寄附に至るような悪質な勧誘事例の多くはそのような必要性や切迫性を有しているものと考えられることから、政府案で十分実効的に対応できるものと考えています。
不安を抱いていることに乗じるの要件については、不安を抱いているという本人の精神的な状態に乗じ、霊感等の知見を示しつつ勧誘を行い、それにより困惑させて寄附の意思表示をさせた場合が対象となります。これにより、新たな寄附を勧誘するたびに不安をあおる行為がなくても取消しを可能にするものであります。
困惑とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような精神的に自由な判断ができない状況をいい、畏怖をも含む広い概念です。
これらの考え方に照らせば、いわゆるマインドコントロールによる寄附については、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、消費者契約法の改正法案と新法案による取消権の対象となると考えられます。また、取消権の対象とは明確に言えない場合についても、今回措置する配慮義務規定に抵触し、民法上の不法行為認定に基づく損害賠償請求により、被害救済に対応できると考えております。
寄附の上限規制についてお尋ねがありました。
年収等に応じた寄附の目安を設ける、又は一律の金額を決めて上限規制を設けることについては、御指摘のように、寄附を勧誘する法人等が寄附者の所得を把握する口実に使われるなど、悪用されるリスクがあります。
新法案では、借入れによる資金調達の要求や、居住用の建物、敷地、生活の維持に不可欠な事業用資産の処分による資金調達の要求の禁止という形で、明確に寄附を勧誘する側の行為規範を設定しました。これにより、裁判上立証しやすいと同時に、実質的に上限を設ける考え方としております。
また、新法案では、この禁止規定と併せ、配慮義務規定で、寄附者とその家族の生活の維持を困難とすることがないようにすることを求めており、双方の規定で過度な寄附の要求がなされないようになると考えております。
報告徴収、勧告、命令についてお尋ねがありました。
報告徴収、勧告、命令に関しては、同法案が、多くの法人等に影響が及び、かつ、寄附の性質が無償で財産に関する権利を移転させる行為等が中心であることを踏まえると、その要件は一定の厳格性が必要と考えております。
第六条の報告徴収の要件である、特別に必要があるときについては、例えば、禁止行為が不特定又は多数の者に対して繰り返し組織的に行われており、社会的な影響が大きいと考えられる場合が想定されます。
また、勧告、命令については、報告徴収によって明らかになった組織性、悪質性に加え、禁止行為が将来にわたって継続する蓋然性が高い場合が想定されます。
これらの行政措置により、より実効的に寄附勧誘の適正化が図られるものと考えております。
債権者代位権の特例についてお尋ねがありました。
債権者代位権は、自らの権利を保全するために必要な範囲で他者の権利を行使することを認める制度であり、新法案においてこれを活用しやすくすることで、個人の財産権を侵害せず、今後発生する債権も含めて、家族らの被害救済につなげることができると考えております。
また、債権者代位権の適切な行使により被害回復等を図ることができるようにするための支援も重要であると考えており、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備を進めるほか、このための支援の在り方も措置しております。
他方、これらを超えて、家族を含めた第三者が幅広く、本人の意に反して、又は本人の同意なく、本人の行った契約や意思表示の取消しができるとすることは、個人の財産権の侵害の観点から、現行の我が国の法体系上は困難であると考えております。
法案の成立に向けての決意についてお尋ねがありました。
改正法案と新法案では、現在の我が国の法体系の中で許される限り最大限実効的な法案とすべく、禁止行為、取消権、配慮義務、行政措置や刑事罰など、様々な規定を組み合わせて立法作業を行いました。
両法案は実効的なものとなったと考えておりますが、政府としては、改正法案及び新法案の国会審議において、法案の趣旨や目的について説明を尽くし、与野党の意見も伺いつつ、早期の成立に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。(拍手)
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