川合孝典の発言 (本会議)
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○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について、齋藤法務大臣に御質問します。
法案質疑の前に、霊感商法による被害者救済法の在り方について一言触れさせていただきます。
現在与野党で議論が行われている被害者救済法は、今後の被害を生じさせないことに主眼を置いて、消費者契約法や国民生活センター法等の改正を行おうとしています。
国民民主党は、こうした動きに加えて、刑法を改正して心理的な支配を利用して不当に財物を得る行為への処罰規定を設けるとともに、組織的犯罪処罰法を改正して当該罪への刑の加重を行うことを提案いたしております。また、当該法人の法令違反行為に対して行政庁の的確な権限行使のため、関係法令の適用が行えるように担保することを求めております。被害者救済とともに再発防止策の実効性を高める観点から、罰則規定の創設が必要であるということを強く求めてまいりたいと考えております。
では、法案の質問に入ります。
今回の民法改正は、子供の利益、地位を保全する観点から民事基本法制を改善するものであり、その意義は大きいものと認識しております。その一方で、親子関係の根幹を成す親権などは、社会の現状や制度の整合性、安定性の観点から明確な規定を盛り込み切れなかった積み残しの課題もございます。
まず、民法八百二十二条に規定されてきた懲戒権規定の削除について質問します。
前回、二〇一一年の民法改正では、親権喪失の要件を親権者の行為態様の側から定めておりましたが、今回の法改正では、子供の権利が害されているかどうかという子供側からの規定する内容に転換しております。懲戒権規定を削除した上で、一般的な観点から親権の適切な行使とはいかなるものかということを明文化するということで包括的に児童虐待への対策を推進しようとするものであり、評価できる内容だと考えております。
民法八百二十条は、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うという監護教育権を規定しています。そして、民法八百二十二条は、この監護教育権の規定に基づき、必要な範囲内でその子を懲戒できることを規定していますが、この民法八百二十二条の懲戒権規定が児童虐待を正当化する口実に使われるおそれがあることから、今回、懲戒権規定が削除され、加えて、民法八百二十一条に新たに子の人格の尊重を設けることで児童虐待の防止を実現しようとする、これが今次法改正の趣旨であります。
そこで質問でありますが、子の人格の尊重を規定する民法八百二十一条には、親権を行う者は、監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないと今回規定することになります。では、この体罰に該当する行為とはどのような行為を指すのか、具体的にお聞かせください。あわせて、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とはいかなる言動なのかも併せて御説明をお願いしたいと思います。
この点について、法案要綱の補足説明では、心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の内容は、実体法上禁止されるべきことについて、社会的コンセンサスが形成される行為に限られるものであるとの説明がありますが、範囲が不明確であります。
そこで質問ですが、この社会的コンセンサスが形成されている行為とはどのような行為と考えればよいのか、御説明をお願いします。
また、子供の利益を図るため、親権者に子供の監護教育の指針を示す今回の法改正が、困難な事情を抱える親をむしろ追い込むことになり、かえって子の利益を害するとの指摘がなされております。したがって、社会、経済、メンタルヘルスなど多面的な観点から、困難な状況を抱えている親への適切な支援が極めて重要になるものと考えられます。この点について法務大臣の認識をお伺いします。
ちなみに、令和二年の定員合理化五か年計画に基づいて現在人員の削減が各省庁で行われておりますが、司法を取り巻く環境やニーズが大きく変容する現在、人員削減ありきの議論ではなく、法改正と併せて人的基盤の充実強化も議論すべきかと考えます。
定員合理化五か年計画が進む中、今次民法改正に伴って必要となる家庭裁判所の支援体制の強化をどのように図っていくのか、併せて法務大臣にはお伺いします。
次に、国籍法の改正について御質問します。
認知の届出について、国籍法三条に三項が新設されました。無論、偽装認知による国籍取得は決して認められるものではありませんが、今回の国籍法改正には幾つかの疑問が残っております。そもそも、現行刑法においても偽装認知は公正証書原本不実記載罪に該当しますので、新たに国籍法三条に三項を設けなくても刑法で処罰できるものと考えます。なぜわざわざ国籍法三条に三項を加える必要があったのか、法務大臣の説明を求めます。
これまで、認知によって成立ないし確定された親子関係が、期間の制限なく認知無効の訴えによって覆される可能性がこれまでありました。いつまでも子供の地位が不安定な状況に置かれることとなる現状に鑑み、認知無効の訴えにおける権利濫用を制限する観点から、今回、民法七百八十六条を改正して、認知無効の訴えに七年間という期間制限を設けて子供の地位の保全を図ることとしております。
しかし、同時に、国籍法三条に三項を新設して、国籍法三条の手続に限っては民法七百八十六条の改正の仕組みを適用せず、認知が事実に反する場合は、仮に認知後何十年が経過していても国籍法三条に基づく国籍取得を認めず、既に取得している日本国籍をその取得時に遡って喪失させることとなります。
私は日本国籍の不正取得を決して容認しない立場であり、偽装や虚偽の国籍申請を行った当事者の日本国籍を剥奪することに異論はありません。しかし一方で、婚外子として出生したことについて、子供自身に責任はありません。今回の国籍法三条三項の追加は、その解釈、運用のいかんによっては、認知が事実に反した場合、日本で生まれて日本人として育ってきた子供が出生時に遡って国籍を剥奪され、不法在留者として強制退去の対象者になるという最大の不利益を被ることとなります。
無戸籍児を減らすという民法改正の立法趣旨に明らかに逆行するとの指摘には合理性があるものと考えますが、この点について法務大臣の認識を伺います。
あわせて、今回の国籍法三条三項は、認知に反する事実がある場合に国籍取得を無効にすることを規定するものでありますが、認知自体を無効にするか否かは条文に記載されておりません。国籍法三条三項は認知自体を無効にするものなのでしょうか。法務大臣にお伺いします。
最後に、今後検討すべき課題について御質問をします。
現行国籍法では、日本人の父親から認知された外国籍の子供は国籍法三条一項の規定によって日本国籍を取得できますが、そのときに外国籍の離脱は求められておりません。したがって、この子供は複数国籍を持つこととなります。一方、日本国籍を持つ人が外国籍を取得すると、国籍法十一条一項の規定によって選択の余地のないまま日本国籍の離脱を求められます。
外国籍を持っている人が日本国籍を取得すると複数国籍を持つことが可能である一方、日本国籍を持つ人が外国籍を取得すると日本国籍を失ってしまう現状の規定は整合性に欠けるとの指摘は的を射ているものと考えられます。
国際化が進展する現代社会に即した国籍法改正の議論を進めるべきと考えますが、法務大臣の御認識をお伺いし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕