齋藤健の発言 (本会議)

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○国務大臣(齋藤健君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。
 まず、本改正法案と憲法及び国際人権水準との関係についてお尋ねがありました。
 本改正法案の内容は、憲法並びに我が国が締結した条約及び確立された国際法規に反するものでないと考えています。
 次に、平成八年の法制審議会の答申の実現についてお尋ねがありました。
 平成八年二月にされた法制審議会の答申の内容のうち、女性の婚姻適齢の引上げ、嫡出子と嫡出でない子の間の法定相続分の区分の撤廃及び再婚禁止期間の短縮については、既に法改正がされています。
 選択的夫婦別氏制度の導入に関しては、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正案を準備しました。しかし、この問題については国民の間に様々な意見があったことなどから、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識しております。
 なお、法務大臣として、自民党の姿勢についての評価は差し控えたいと思います。
 次に、法改正に関する姿勢についてお尋ねがありました。
 法制審議会の平成八年の答申のうち法改正に至ったものは最高裁判所の違憲判決が契機となっていますが、本改正法案の嫡出推定制度の見直しや女性の再婚禁止期間の廃止などは最高裁判所の違憲判断が存在するわけではなく、違憲判決がされない限り抜本的な改正を避け続けるといった御指摘は当たりません。
 次に、個人の尊重とジェンダー平等についてお尋ねがありました。
 現行法の女性の再婚禁止期間の定めは、平成二十七年最高裁判決においても合憲とされていますが、本改正法案により、結果として、男女の区別なく、再婚禁止期間がなくなります。
 本改正法案では、離婚等により婚姻を解消した日から三百日以内に生まれた子であっても、母の再婚後に生まれた場合には再婚後の夫の子と推定することとしたため、推定の重複により父が定まらない事態は生じなくなることから、再婚禁止期間は、その必要性がなくなり、廃止することとしたものです。
 本改正法案は幾つかの内容を含んでいますが、全体として、憲法に定められている個人の尊重、法の下の平等、両性の平等の理念に合致するものと考えています。
 次に、嫡出の用語の見直しについてお尋ねがありました。
 嫡出でない子という用語について、最高裁判所は、民法の規定上、法律上の婚姻関係ない男女の間に出生した子を意味するものとして用いられており、差別的な意味合いを含むものではないと判示しています。
 法制審議会民法(親子法制)部会においても、一部の委員から、嫡出という用語を見直し、婚外子という用語にする意見も出されましたが、この用語についても差別的であるとの指摘がされるおそれがあるなどの意見もあり、嫡出の用語の見直しは要綱に盛り込まれなかったものと承知しています。
 法令用語については、国民の意識や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて見直しをしていくべきものと考えており、引き続き、そうした情勢等を注視していきたいと考えています。
 次に、母が離婚や再婚をしていない場合における無戸籍者の解消についてお尋ねがありました。
 本改正法案では、子及び母にも否認権を認めることとしており、母が離婚又は再婚をしていないため、真実の父と異なる者の子と推定される場合でも、否認権が適切に行使されることによって無戸籍者問題の解消が図られるものと考えています。
 法務省としては、引き続き、無戸籍の方に寄り添った支援を継続するなど、必要かつ可能な支援を行い、否認権が適切に行使されるように取り組んでまいります。
 次に、本改正法案における国籍法の改正についてお尋ねがありました。
 本改正法案は、認知が事実に反する場合には国籍の取得は認められないとの従前からの確立した規律を維持することを明らかにしたものであり、削除することは相当ではありませんが、無国籍者の発生を防止する等の配慮は重要であると認識しています。
 法務局においては、日本の国籍を取得するための手続や外国の大使館等における所要の手続に係る案内を無国籍者の身分関係や意向等を踏まえて行う等の取組を行っています。また、退去強制手続を受けることになった場合でも、個別の事案に応じ、例えば本邦で学校教育を受けているなどの事情を考慮し、法務大臣の裁量によって在留特別許可が付されることがあります。
 無国籍者の置かれた立場に配慮しつつ、無国籍状態の解消に向け、可能な対応をしてまいります。
 次に、懲戒権に関し、民法第八百二十二条を削除する本改正法案の提出に至る経緯について、遅過ぎではないかとのお尋ねがありました。
 平成二十三年の民法改正において、同法第八百二十条に子の利益のためにとの文言を加え、令和元年の児童福祉法等の一部を改正する法律の附則において、民法の懲戒権の規律の在り方について検討を加える旨の規定が置かれました。
 そこで、令和元年六月、法務大臣から法制審議会に対し諮問を行い、その答申を経て、法務省において本改正法案を作成、提出したものであり、このような経緯を踏まえると、同条の削除が遅過ぎたとの御指摘は当たらないと考えています。
 次に、子の心身の健全な発達に有害という文言が新たな虐待の口実として使われる懸念についてお尋ねがありました。
 本改正法案の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とは、子に不当に肉体的又は精神的な苦痛を与え、その健やかな身体又は精神の発達に悪影響を与え得る行為をいいます。そして、この要件に該当するか否かは、行為者の主観を基準に判断されるのではなく、親権者が子の心身の健全な発達に必要な行為であると考えていても、客観的に監護教育権の行使として相当ではないと認められる行為は、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動に該当し、許されないと考えています。また、体罰に該当する行為は当然にこの要件に該当し、許されないと考えています。
 次に、選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 法務省は、平成八年の法制審議会の答申を受け、同年及び平成二十二年に選択的夫婦別氏制度を導入するための法案を準備しましたが、国民の間や当時の政権内にも様々な意見があったこと等から、法案の提出には至りませんでした。
 夫婦の氏の在り方については、現在でも国民の間に様々な意見があり、今後とも、国民各層の意見や国会における議論を踏まえ、その対応を検討していく必要があると考えています。
 次に、同性婚に関する札幌地裁判決の受け止めについてお尋ねがありました。
 御指摘の札幌地裁判決では、同性愛者に対して、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも享受する法的手段を提供していないことは、その限度で憲法第十四条第一項に違反するとの判断がされたと承知しています。また、この判決では、同性愛は人の意思によって変更することが困難なものであって、このことは確立された知見に至っているとの判断がされたと承知しています。
 もっとも、この判決は確定前の判決であり、また、同種訴訟の大阪地裁判決では、憲法第十四条第一項に違反しないとの異なる判断がされており、さらに、同種訴訟が他の裁判所にも係属しているといった事情があることから、まずはそれらの判断等を注視してまいりたいと思います。
 次に、個人通報制度を定めた女子差別撤廃条約の選択議定書についてお尋ねがありました。
 二〇〇三年に採択された女子差別撤廃委員会による日本政府報告審査についての総括所見において、御質問にある指摘がされたことは承知しております。個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識しております。個人通報制度の受入れについては、所要の検討が必要であると認識しております。
 引き続き、外務省を中心とした政府全体で各方面の意見を聞きつつ、同制度の導入の是非について真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、個人が尊重され、多様性が光る社会の実現などについてお尋ねがありました。
 自民党に関する御指摘については法務大臣としてお答えを差し控えますが、政府は、これまでも、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてきたところであり、今後ともこの取組を推進してまいります。(拍手)
   〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121015254X00720221118_017

発言者: 齋藤健

speaker_id: 14267

日付: 2022-11-18

院: 参議院

会議名: 本会議