岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山添拓議員の御質問にお答えいたします。
 消費者契約法等の改正案及び新法の国会審議についてお尋ねがありました。
 旧統一教会問題における被害者の救済及び再発防止は、今国会における最重要課題の一つであり、消費者庁に対し、総力を挙げて法制度の検討を進め、可能な限り早急に国会に提出するよう指示をしてまいりました。
 国会日程については国会がお決めになることであるためコメントは差し控えますが、政府としては、参議院においても法案の趣旨や解釈について丁寧な説明を行い、法律の実効性が高まるよう、最大限努力をしてまいります。
 旧統一教会の加害行為に関する認識についてお尋ねがありました。
 旧統一教会の活動について、信教の自由の侵害に当たるか否かは一概にお答えはできませんが、個別の事案において、特定の宗教であること等を意図的に隠し、社会的に相当と認められる範囲を逸脱した方法によって勧誘等を行い、献金等をさせたことが不法行為として裁判上認められた事案があります。
 こうした問題を重く受け止め、政府案では、寄附の勧誘を行う法人等を特定できる事項を明らかにすること等を配慮義務として定めることとしたところであり、これに反する行為があった場合に、不法行為に基づく損害賠償請求による救済が容易になると考えております。
 寄附の勧誘に関する禁止行為についてお尋ねがありました。
 入信当初に不安をあおる等で困惑し、その後は自分が困惑しているか判断できない状態で献金を行ったとしても、その状態から脱した後に、本人が主張して取消し権を行使することが可能な場合はあると考えております。
 また、不安に乗じた勧誘であれば自動的に困惑したと言えるわけではないですが、寄附に至るまでの経緯、そして状況等の諸事情から困惑していたと認められる場合には寄附者の取消し権が生ずると考えられます。
 また、禁止行為は、法人等がどのような行為をしてはならないのか的確に認識できるよう、その類型及び要件を可能な限り客観的で明確なものとして規定をしております。
 入信当初と寄附の勧誘にタイムラグがある場合等の取消し権及び禁止行為の取扱いについてお尋ねがありました。
 御指摘の答弁は、入信前後から寄附に至るまでが一連の寄附勧誘であると判断でき、また、事後的に寄附当時困惑していたと考えた場合には、入信当初と寄附の勧誘にタイムラグがある場合であったとしても取消し権の対象となり得るという法案の趣旨を端的に述べたものであります。
 また、不適切な勧誘行為を受け困惑した中で行われた寄附の意思表示には瑕疵があることから、寄附者を保護するため、取消し権、取消しを認めるという考え方に基づき条文の整理を行ったものであり、可能な限り明確な条文としていますが、具体的にどのような行為が該当し得るかについては、国会審議や法成立後、法律の解釈を示す中で可能な限り示してまいります。
 そして、必要不可欠という要件についてお尋ねがありました。
 必要不可欠要件は、必ずしも必要不可欠という言葉をそのまま告げる必要はなく、勧誘行為全体としてそれと同等程度の必要性と切迫性が示されている場合には適用可能と考えており、多額の寄附に至るような悪質な勧誘事例の多くはそのような必要性と切迫性を有しているものと考えられることから、政府案で十分実効的に対応できるものと考えております。
 御指摘のように、単に必要とすると、厄払いなど一般的に許容されている宗教活動等にまで対象が広がってしまいかねず、規制の範囲が広がり過ぎるおそれがあります。
 また、不可欠の部分については、唯一の選択肢しか示さない場合のみということでなく、御指摘の事案のように、選択肢を示して勧誘する場合にも、必要不可欠である旨告げたという要件に該当する可能性はあると考えています。
 こうした点について引き続き丁寧に解釈を説明し、被害の救済の実効性、これを高めてまいります。
 配慮義務を禁止行為とすることについてお尋ねがありました。
 禁止行為は、法人等がどのような行為をしてはならないのか的確に認識できるよう、その類型及び要件を可能な限り客観的で明確なものとして規定すべきと考えられます。
 一方、配慮義務については、適切な判断をすることが困難な状態等、勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態を規定しています。これは、いかなる行為によるものであったとしても、寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示すものであり、禁止対象行為を規定する禁止行為とする場合よりも、こうした結果を招くより幅広い行為を捉えることができるため、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易とする、こうした効果が高いと考えております。
 御指摘の第三号の規定も、誤認させるおそれといった結果としての状態に関する幅広い概念で捉えるからこそ、被害の救済、防止に資するものであると考えております。禁止行為とするために誤認させるおそれのある行為を規定すると、その範囲が限定的になってしまう可能性があり、適切ではないと考えております。したがって、一定の行為を明確に定めて禁止行為とするのではなく、配慮義務の規定とすることが適切であると考えております。
 なお、衆議院における法案の修正において、配慮義務違反に対する勧告が盛り込まれました。この規定の具体的な運用については成立後検討することとなりますが、一般論として、民事不介入の原則があることから、返金を行政指導することは困難です。他方、例えば、法人等に対して返金の相談に真摯に対応するようにといった行政指導を行うことは考えられます。
 資金調達要求の禁止規定についてお尋ねがありました。
 新法では、居住用不動産や個人等の生活の維持に欠くことができない事業用資産について、法人等の側からあえて寄附者に処分による換金という手間を掛けさせて寄附するよう要求する行為を禁止しており、他方で、居住用不動産や事業用資産そのものを寄附するよう要求する行為は禁止してはおりません。これは、こうした資産をあえて換金までして寄附を求める行為はより悪質性が高いと考えられることに着目したものであります。
 また、寄附勧誘の際にこうした資産の売却の求めがなく、自発的に売却し、寄附を行った場合には、寄附勧誘者が第五条に抵触することはない一方で、そのようないわゆるマインドコントロール状態にある人に対する寄附勧誘については、第四条の禁止行為に該当する可能性も高く、また、家族も居住している不動産を寄附する場合は、個人又はその配偶者若しくは親族の生活の維持を困難にすることがないようにする配慮義務に反する、このように考えられます。
 そして、旧統一教会問題の宗教二世の方たちの声の受け止めについてお尋ねがありました。
 私も、先日、旧統一教会の被害者の方々と内々にお会いをし、凄惨な御経験を直接伺いました。こうした被害を生じさせず、また救済できるよう、政府として、相談体制の充実や、現在御審議いただいている法律の早期成立と法解釈の明確化による実効性の向上、適正な執行などに全力で取り組んでまいります。
 そして、債権者代位権の実効性についてお尋ねがありました。
 政府提出の新法案においては、自ら権利を保全するために必要な範囲で他者の権利を行使することを認める制度である債権者代位権を活用しやすくしており、これによって、個人の財産権を侵害せず、今後発生する債権も含めて、家族らの被害救済につながる、つなげることができると考えております。
 一方、債権者代位権は使いにくいとの指摘があることから、債権者代位権の適切な行使に向けて、法テラスと関係機関が連携した相談体制の充実を進めてまいります。
 また、配慮義務の規定では、寄附の勧誘に当たって、寄附者やその配偶者、扶養親族の生活の維持に関する配慮義務を規定しております。これによって、家族自身が当事者、自身を当事者とした民法上の不法行為の認定や、それに基づく損害賠償請求が容易となり、家族の被害救済の実効性を高めることができると考えております。
 なお、この扶養債権の範囲を超えて、家族を含めた第三者が幅広く本人の行った契約や意思表示の取消しができるとすることは、個人の財産権の侵害の観点から適当ではないと考えております。
 宗教二世被害者の救済についてお尋ねがありました。
 債権者代位権の行使の前提として、扶養義務等に関する定期金債権を確定するための裁判手続を取る場合や債権者代位権を訴訟で行使する場合には、親権者と子との利益が相反する行為に該当すると認められれば、特別代理人が選任されることになると考えられます。
 その際、扶養義務を果たしておらず、ネグレクトに当たるような場合には、児童養護施設や児童相談所の職員において、事実行為として特別代理人の選任の手続を紹介したり、法テラス利用をサポートすることが考えられ、こうした点についてQアンドAの作成などの対応を行ってまいります。
 このように、法テラスを中心に児童相談所等の関係機関との連携を強化し、未成年に対する支援の充実、これを図ってまいります。
 寄附の記録についてお尋ねがありました。
 個人が法人等に寄附した場合、悪質な寄附を勧誘する法人等による記録によらず、個人が銀行から取引履歴を入手するなどして、法人等に対して寄附をした日時や金額について明らかにすることも可能であると考えられます。こうした方法について、QアンドAを通じて適切に周知してまいりたいと考えております。
 旧統一教会について、法令違反の事実の把握や解散命令請求、これまでの政府の対応についてお尋ねがありました。
 お尋ねの、今日までに把握できた法令違反の事実については、報告徴収・質問権の行使及びその後の対応に支障を来すおそれがあるため、お答えは差し控えます。
 旧統一教会については、御指摘の解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは報告徴収・質問権を行使するとともに、弁護士の団体等からの情報も得て、旧統一教会の実務等に関して具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにする必要があり、その上で、法律にのっとり、必要な対応を行ってまいります。
 旧統一教会に対するこれまでの対応については、旧統一教会の被害者の方々が存在するということ、様々な形で情報を得ていた中でそれを放置していたことについて、政府として深刻に受け止めなければならないと考えております。
 だからこそ、政府としては、旧統一教会問題に関し、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権の行使等を通じた事実把握、実態解明、相談体制の強化による被害者の救済、今後同様の被害を生じさせないための法制度の整備という三つの対策を並行して進めてまいります。
 旧統一教会との関係の調査等についてお尋ねがありました。
 閣僚を含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関連団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治の信頼を傷つけたことを率直におわびを申し上げます。
 そして、自民党においては、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
 その上で、九月末以降に新たな接点が判明した各議員の報告、説明の状況については、党として取りまとめの発表は行っておりませんが、党の方針に従い、各議員それぞれが説明をしているとおりであると承知をしております。
 いずれにせよ、大切なことは、未来に向かって関係を絶つことであります。自民党においては、旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たない方針であることを踏まえ、既にガバナンスコードを改訂し、対応、方針について、党所属全国会議員及び全国都道府県連に対して通知をしたところであり、これを徹底してまいります。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2022-12-08

院: 参議院

会議名: 本会議