山田太郎の発言 (本会議)
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○山田太郎君 自由民主党の山田太郎です。
私は、会派を代表して、両法律案に対して賛成の立場から討論させていただきます。
今回の法整備は、旧統一教会による不当な寄附の勧誘による被害の深刻さが明らかになる中で、被害者を救済するとともに、その防止を図るために必要なものです。
もっとも、これは被害者救済に向けた大きな前進ではありますが、あくまで困惑した状態、マインドコントロールが解けた後の人の財産的被害の救済を主とした法律の作りになっています。
私は、二〇二〇年頃から、旧統一教会等の信者を親に持つ子供たち、いわゆるカルト宗教二世に対する宗教虐待問題を児童虐待の一類型として取り上げ、これまで十五名以上の二世たちから直接話を聞いてまいりました。親の行き過ぎた信仰で子供の権利が侵害されている状況を目の当たりにして、児童虐待、児童労働、養子縁組の濫用等、これらの実態から、この子供たちを守るために何ができるかと議論を重ね、提言を行い、具体的に政府に働きかけるなど、積極的に活動を進めてまいりました。
その結果、本年十月、旧統一教会問題に関して設置された関係省庁連絡会議において重要な申合せが行われました。そして、その申合せに基づき、児童相談所が各種相談に応じる際、その内容が宗教に関することを理由として消極的な対応をしないことを要請する通知が全国地方自治体や教育委員会等に発出されました。カルト宗教による虐待を解決するための着実な一歩であります。
勇気を出して声を上げた当事者たちによって、カルト宗教の家庭の子供たちは、家庭に居場所がなく、交友関係も制限され、精神疾患を患い、生きづらさを抱え自殺未遂をするケースも多いという実態が判明してきました。このような子供たちの救済は児童相談所だけでできるわけではありません。被害に遭う子供たちが容易に相談し、孤立している子供たちがつながることができる支援機関が必要であり、それらと児童相談所が適切に連携できる体制を構築することが重要です。また、カルト宗教や親の虐待から緊急避難できるシェルターの整備やその法的な担保、財政的な支援、全国的な拡充が直ちに必要だと考えています。
来年四月にはこども家庭庁が創立され、こども基本法も施行されます。これらは、全て子供について、個人として尊重され、その基本的人権が保障されること、適切に養育されること、生活を保障されること等を基本理念としています。
子供を単に保護の客体として捉えるのではなく、人権、権利の主体として捉えて、日本の政治、社会を変えていかなければなりません。独立した人格として子供の意見が尊重され、その最善の利益が実現されるためには、どのような状況にあろうとも、子供本人が意見表明できること、自己選択、自己決定できることが重要です。
改めて、これまで以上に子供本人の意見に耳を傾け、何が被害の本質なのか、それに対して社会や政治は何ができるのか、私は、児童福祉法等の改正なども視野に入れながら、引き続き真摯に向き合って考えていくべきだと考えております。
その上で、両法律案に賛成する理由を申し上げます。
第一に、今回の法案では、旧統一教会による被害に苦しんでいる方々の救済のための措置が拡充されている点です。
不安をあおられたことで困惑させられ、その状態で献金した場合、困惑状態から脱するには時間を要することが多く見受けられます。そのため、正常な判断ができる状態に戻った時点では、既に取消し権の行使期間が過ぎている事例もあります。今回の取消し権行使期間の延長は、そうした実態を考慮した被害者のための救済措置であると考えます。
また、子供や配偶者の扶養債権に基づく債権者代位権に関する特例など、これまで以上に被害者側の実態に即した措置が整備されています。そもそも、現状では、債権者代位権を行使する場合、その債権の履行期が到来している必要がありますが、今回の法整備では、特例として、家族の生活費用や子供の養育費については、将来発生する分について寄附の取消しや返還請求ができるようになり、被害者の家庭の救済に対応することができるようになります。
さらに、不正な寄附の勧誘行為の実態が様々であることを踏まえて、規制する対象も広げることで被害の防止に対応した措置も強化しています。不当な勧誘行為で寄附者を困惑させる禁止行為には、いわゆる霊感商法とともに、霊感等による知見を用いた告知による寄附への勧誘を加えています。また、借入れ等による資金調達の要求も禁止しています。
旧統一教会では、寄附の勧誘に際し、被害者を困惑させるとともに、不安をあおったり不安に乗じたりして現実感や価値観を変えさせられ、精神的に自由な判断ができない状態にした後に、むしろ進んで寄附をするように仕向ける言わばマインドコントロールが行われているという指摘があります。さらに、旧統一教会であることを明らかにしないで近づく正体隠しや、身ぐるみ剥がしをし、生活の維持を困難とさせてしまう寄附の勧誘等の実態の指摘もあります。
このような社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘行為の禁止については、これに対する勧告、命令等の行政上の措置を導入するとともに、行政処分に違反した場合の罰則も設けております。
加えて、寄附の勧誘に当たって、多額の寄附で本人や家族の生活の維持を困難にすることがないよう配慮する義務も措置されております。
これら措置等によって、不当な寄附の勧誘による被害の未然防止機能が強化されるとともに、不当な勧誘を行った場合の不法行為の認定や、それに基づく損害賠償請求が容易となり、債権者代位権に関する特例と相まって、被害の事後救済機能も強化されます。
それ以外にも、不当な勧誘により被害を受けた寄附者等への支援のために、法テラスや関係機関、関係団体等の連携が推進されます。
法案に賛成する点として、二点目に、真っ当な寄附の勧誘を行っている団体が持つ懸念点等に対応している点です。
憲法上認められた財産権や信教の自由を侵害することを避けながら、宗教教義等を隠れみのとして財産を巻き上げるような悪質な寄附等を対象とする内容になっており、懸念を払拭するものになっています。
第三に、見直し規定が置かれている点です。
もっとも、施行後二年を目途とした見直しに修正をした規定となっておりますが、法案成立後直ちにカルト宗教二世問題の実態の調査と新法による救済の実効性の検証を開始し、必要な見直しに関しては、二年を待たず、可及的速やかに措置する必要があると考えております。
以上、両法律案に賛成する理由を申し述べました。
もちろん、今回の法的な措置が被害者救済に対して決して完璧なものではないかもしれません。必ずしも全ての被害者の声を吸い上げられていないかもしれません。しかし、今回、限られた時間の中で与野党が真摯に向き合い、本法案をまとめることができたことは、被害者救済に向けた大きな一歩であると考えます。
これまでこの問題を放置した政治の責任は大きいと思います。そして、今回、被害者の方々の現在進行形で進む凄惨な実態を知れば知るほど、被害の救済と防止のために一日も早く今回の法案を成立させることが重要だと考えています。そして、法案成立後直ちに施行され、また、被害実態に即した執行ができているか検証と見直しを行い、しっかりとフォローアップをしていくことが重要です。
今回の法律を成立させた後も、冒頭に述べました、虐待にあるカルト宗教二世の子供たちの被害救済に向けたあらゆる策を誠実かつ真摯に取り組んでいかなければなりません。そのためにも、まずはこの法律を成立させることが大切だと考えます。
最後に、議員各位に本法案への賛成をお願い申し上げまして、私の討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)