西村明宏の発言 (環境委員会)
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○西村(明)国務大臣 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の西村明宏です。
第二百十一回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し上げます。
まず、東日本大震災、原発事故からの復興再生の推進について申し上げます。
帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域内においては、今年春頃の避難指示解除に向けて、富岡町、浪江町、飯舘村における除染や家屋等の解体を着実に実施いたします。また、拠点区域外においては、帰還意向のある住民の方々の帰還に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいります。
福島県内除去土壌等の県外最終処分に向けては、「福島、その先の環境へ。対話フォーラム」の開催等を通じ、まずは全国の皆さんにこの課題を知っていただく取組を着実に推進いたします。
また、本年に開始が見込まれるALPS処理水の海洋放出に対応した海域環境モニタリングを始めとして、放射線健康管理や住民の不安解消、風評払拭に取り組みます。さらに、福島の産業、町、暮らしの創生に向けた福島再生・未来志向プロジェクトにより、脱炭素を基軸とした事業創出等を推進してまいります。
次に、環境省の大きな使命の一つである時代の要請への対応について申し上げます。
環境省は、我が国が直面する数々の社会課題に対し、炭素中立、カーボンニュートラル、循環経済、サーキュラーエコノミー、自然再興、ネイチャーポジティブの同時達成に向け、地域循環共生圏の構築等により統合的に取組を推進することを通じて、持続可能な新たな成長を実現し、将来にわたる質の高い生活の確保を目指してまいります。
まず、環境外交での主導的な役割の発揮について申し上げます。
本年四月に札幌で開催されるG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、議長国として、世界全体でのカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの更なる進展に向け、国際的議論をリードしてまいります。また、条約交渉が開始されたプラスチック汚染対策についても、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの提唱国として、条約交渉を主導してまいります。
アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現等に向けては、二国間クレジット制度、JCMの更なる推進、我が国主導で立ち上げたパリ協定六条実施パートナーシップ等を通じた国際的な質の高い炭素市場の形成、都市間連携による世界の都市の脱炭素化、強靱化、昨年のCOP27で私から発表したロス・アンド・ダメージ支援パッケージの実施などを推進してまいります。
国内の気候変動の緩和と適応の取組について申し上げます。
気候変動は、既に、顕著なレベルで我々の生活に影響を与えています。国内の年平均気温はこの百年で約一・三度上昇しており、直近四年が最も高い気温になりました。気候変動の影響による熱中症死亡者数は、近年では年間千人を超えるなど、自然災害による死亡者数をはるかに上回っています。こうした状況を踏まえ、今後起こり得る極端な高温も見据え、熱中症特別警戒情報の創設や、暑さをしのぐ場所を確保する仕組みなどを含む、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の改正案を本国会に提出いたしました。
二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減、さらに五〇%の高みに向けた緩和策の加速化も待ったなしの課題であります。地球温暖化対策計画に基づき取組を進めるとともに、政府全体の施策の進捗管理を行っていきます。さらに、本年二月、脱炭素と産業競争力強化の同時実現を図るGX実現に向けた基本方針が閣議決定されました。今後、GX実現のための関連法案に基づいて必要な役割を果たしていくことを含め、成長志向型カーボンプライシング構想の実施、地域脱炭素移行の加速化、商用車の電動化、住宅の断熱改修を始めとして、GXの実現に全力で取り組んでまいります。
需要側からのGXの推進が重要となることから、環境省として、地域、暮らしの脱炭素化を実現するべく、地域共生、裨益型の再エネの最大限導入拡大と、再エネと併せた蓄エネ、省エネを推進いたします。具体的には、脱炭素先行地域や、脱炭素の基盤となる重点対策の全国実施を通じて地域課題の解決に貢献します。さらに、株式会社脱炭素化支援機構による資金供給、社会インフラや中小企業を始めとするサプライチェーン分野の投資、脱炭素経営促進、地域金融機関とも連携した環境金融等を推進してまいります。また、暮らしの観点では、住宅、建築物のZEH化、ZEB化や省CO2改修などの既存最先端の脱炭素製品、サービスの社会実装を促進いたします。これらの取組を、昨年から開始した新しい豊かな暮らしを提案する国民運動で後押ししながら、産業、社会の構造転換や面的な需要創出を進めてまいります。
サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組について申し上げます。
GX基本方針や循環経済工程表に基づき、製造業など動脈産業と廃棄物処理業など静脈産業が連携した動静脈一体の資源循環を実現し、二〇三〇年までにサーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を八十兆円以上とすることを目指します。国外を含めたライフサイクル全体の徹底的な資源循環により、脱炭素、生物多様性の保全、我が国の経済安全保障の強化にも貢献してまいります。具体的には、プラスチック等のリサイクルの整備、バイオマスプラスチックや持続可能な航空燃料、SAFの製造実証、太陽光パネルのリサイクルや国内外の金属資源のリサイクル等を推進します。加えて、食品ロスの削減やサステーナブルファッション推進などにも取り組んでまいります。
また、災害廃棄物の円滑、迅速な処理と、大規模災害に備えた万全な災害廃棄物処理体制の構築に取り組んでまいります。同時に、一般廃棄物処理施設の更新需要への適切な対応、浄化槽整備の推進等を進めます。さらに、海洋プラスチックごみに関しても、関連する科学的知見の集約に努めつつ、発生抑制、リサイクルの取組を通じた陸域からの流出防止と海岸に漂着したごみ処理の両輪によって、着実に対策を進めてまいります。
魅力ある我が国の自然の保全、活用など、ネイチャーポジティブの取組について申し上げます。
昨年末に生物多様性条約COP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえ、生物多様性の損失と気候危機への統合的対応を進めてまいります。生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの実現をキーコンセプトとする我が国の新たな生物多様性国家戦略を策定いたします。二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上の保全を目指すサーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けては、国立・国定公園の新規指定等により保護地域を拡充するとともに、民間の取組等によって生物多様性が保全されている里地里山や企業緑地等の区域について、自然共生サイトとして今年中に百か所以上の新規認定を目指します。加えて、昨年改正した外来生物法に基づくヒアリ等の外来種対策や鳥獣保護管理を着実に実施して、生態系や農林水産業等への影響を抑えつつ、希少種保全や動物愛護管理等に取り組んでまいります。
また、企業経営においても、豊かな生物多様性は必要不可欠な経営資源でもあるとの認識の下、経営の尺度としての自然資本の考え方の導入を促すため、ネイチャーポジティブ経済移行戦略の策定に向けた検討を進めます。さらに、国立公園満喫プロジェクトにおいて、新たに民間提案を踏まえて利用拠点の面的魅力向上に取り組み、インバウンド拡大や地域活性化につなげ、保護と利用の好循環を実現してまいります。
次に、人の命と環境を守る基盤的な取組について申し上げます。
水俣病を始めとする公害健康被害対策と石綿健康被害者の救済、子供の健康と環境に関するいわゆるエコチル調査に引き続き真摯に取り組みます。また、一月に新たに立ち上げた専門家会議による知見集積などを通じた有機フッ素化合物対策を推進するほか、良好な環境の創出に向けて取り組んでまいります。
これらの取組は、冒頭申し上げました東日本大震災、原発事故からの復興再生の取組と併せまして環境省の不変の原点であり、たゆまず改善を図りながら進めてまいります。
原子力防災等について申し上げます。
万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はございません。東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかりと胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、内閣府特命担当大臣として、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。
また、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣として予算及び体制面でサポートしてまいります。
以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。
古賀委員長を始め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)