新藤義孝の発言 (憲法審査会)
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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝であります。
今国会初めての審査会の開催に当たり、今後の議論の方向性について、私の考えを述べたいと思います。
昨年は、一年を通じ、審査会を安定的に開催し、活発な議論ができましたことは誠に喜ばしく、今後も引き続き、政局から離れ、国民のための憲法改正論議を深めるという憲法審査会の使命を果たすべく、与党筆頭幹事として、各会派の御意見を頂戴しながら丁寧に取り組んでまいりたいと存じます。
本日の審査会に先立ちまして、二月に開催した幹事懇談会においては、今国会の審査会運営について様々な御意見や御提案がありました。
私としては、憲法改正の本体論議について、これまで積み上げてきたものをベースに、残った論点を更に具体的に深掘りするとともに、あわせて、憲法改正の手続たる国民投票法改正の議論を進めていかなければならない、このように考えております。
本体論議につきましては、多くの会派より、議論を言いっ放しにするのではなく、詰められるところはきちんと詰めていくべきとの強い声がありました。項目によっては、幹事懇の場などで、各会派の意見を持ち寄り、一定の方向性を出してはどうかとの建設的な意見もありました。
次に、国民投票法につきましては、まず、審査会に付託された趣旨説明済みのいわゆる三項目案について、早急に成立を図るべきと考えます。これは、投票環境の向上を図るものであり、既に公選法で整備済みの外形的事項として、内容は各会派とも異論のないものと考えます。
加えて、CM規制につきましては、数度にわたる参考人質疑を通じ、一定の議論が整理されています。特に放送CMの問題については、受け手である民間放送事業者において、自主規制のガイドラインが量的なものも含めて整備されていることを確認しております。
今後は、CMの出し手である我々政党側の取るべき対応及び国民投票広報協議会の活動について、具体的な議論が必要と考えています。
そのほか、ネットCMなどの論点も議論が始まっており、国民投票制度にどう反映させるべきか、更に議論を深めていきたいと思います。
自由な国民投票運動と公平公正な投票のバランスに留意しながら、投票の質の向上に向けた丁寧な議論を行いたいと考えています。
審査会においては、これまで議論が進展したのは緊急事態条項についてであります。
昨年の常会から臨時会にかけて行われた議論では、審査会を構成する七会派のうち、自民、公明、維新、国民、有志の五会派の委員が明確に、議員任期延長を中心とした緊急事態条項を整備する必要性を述べました。臨時会の後半には、これまでの議論を整理するべきとの多くの会派からの意見を踏まえ、衆議院法制局に依頼をし、私なりの取りまとめを事務的に整理をし、説明させていただいたところです。
対象とする緊急事態の範囲は、大規模自然災害、テロ・内乱、感染症蔓延、そして国家有事・安全保障の四つの事態と、その他これらに匹敵する事態とすることについて、おおむねの意見の集約がなされたと考えております。
その上で、事態認定については内閣が行うこととし、民主的統制の観点から国会の事前承認を要すること、事態認定に対する裁判所によるチェックについては引き続き議論が必要であること、任期延長の上限や解散後の前衆議院議員の身分復活についても議論が必要であること、議員任期延長とセットで、国会の閉会禁止、即時召集、衆議院解散の禁止、内閣不信任議決の禁止といった措置について手当てが必要であることといった点についても、共通の理解が得られたと考えております。
さらに、国会機能がどうしても維持できない事態に備え、内閣の緊急政令や緊急財政処分を規定することについては、立憲主義に基づく、政府の行動を統制する観点からの議論が必要だと考えています。
次に、九条に関する議論も行われています。
私たち自民党は、九条一項と二項の解釈は変えずに、平和主義の精神を維持したまま、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため、実力組織としての自衛隊を明記する憲法改正のたたき台素案を提示しております。
究極の緊急事態は安全保障の問題であり、国民を守ることは国家最大の責務です。にもかかわらず、日本国憲法には、誰がどのように国と国民を守るかという根本的な規定がありません。
審査会の討議においては、他の会派より、自民党のたたき台素案について、政府の九条解釈の核心とも言える必要最小限度という文言が使われていないのは、これまでの九条解釈を変更する意図が隠されているのではないか、さらに、文言上、「必要な自衛の措置をとることを妨げず、」とされているが、「妨げず、」では九条二項の例外規定と位置づけられ、フルスペックの個別的、集団的自衛権の行使まで可能となるのではないかなどの重要な質問をいただきました。
このことにつきましては、私、常々申し上げておりますけれども、「国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置」とは、砂川事件最高裁判決の表現と軌を一にするものであり、また、「妨げず、」は例外規定ではなく、確認規定であります。フルスペックの個別的、集団的自衛権の行使が可能になることはありません。
平和安全法制において明らかになっているように、専守防衛の範囲内において、個別的自衛権に加え、我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合の限定的集団的自衛権のみが認められることに何ら変更は考えておりません。あくまで、従来の専守防衛という我が国安全保障の考え方を堅持しつつ、国防規定を整えるものであるということを何度も申し上げております。皆さんと更に意見交換をしてまいりたいと考えています。
また、地方の過疎化と都市部の人口過密を踏まえ、法の下の平等と地域の民意の反映の在り方を憲法上整理すべきと考えています。
国会議員の選挙区をどう設定するかは民主主義の根幹に関するものであり、我が党は、合区解消と地方公共団体に関する規定の改正についてもたたき台素案を提案させていただいております。
さらに、現代の教育は、学び直しや生涯教育の普及、経済状況にかかわらず全ての国民がそれぞれに合った教育を受けられる環境整備の必要性、教育のデジタル化など、様々な課題に直面しています。
教育を受ける権利と受けさせる義務、義務教育の無償のみを規定している憲法二十六条について、教育理念などを整備する改正についても議論を進めたいと考えているわけであります。
朝の幹事会におきましては、私から、来週の定例日に審査会を開催することを提案させていただきました。内容につきましては、本日の討議を踏まえ、筆頭間で協議をしていきたいと思います。
今国会においても、安定的かつ活発な審査会が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いいたしまして、私の発言とさせていただきます。