玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

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○玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。
 今国会初めて憲法審査会が開催されたことを、まず歓迎いたします。ただ、せっかく、昨年の通常国会では、二月の十日以来、二月中も四週連続で定例日に開催されたにもかかわらず、今国会の初会合が三月にずれ込んだことは正直残念です。開かないことに力を使うのではなくて、開いて議論し、成果を出すことに力を使おうではありませんか。
 また、今後は、緊急事態条項、とりわけ議論がかなり積み上がってきた議員任期の延長規定についてテーマを絞って議論し、残された論点について意見を集約した上で、具体的な憲法改正の条文案作りに入ることを提案したいと思います。
 私たち国民民主党は、昨年十二月、包括的な緊急事態条項についての条文案を党内で取りまとめました。改めて、我が党の考える緊急事態条項について、今日は配付資料を配っておりますので、それを基に説明させていただきます。中身は去年の三月三十一日に説明したものと全く同じです。
 まず、何度も繰り返し申し上げているように、我が党の基本コンセプトは、一番上に書いていますが、権力行使の容易化条項としての緊急事態条項ではなく、むしろ、緊急事態においては国全体が正気を失いがちになるという歴史の教訓に鑑み、権力の濫用等に対する立法や司法による統制を明らかにする、権力行使の統制条項としての緊急事態条項です。
 そして、緊急事態の要件として、外国からの武力攻撃、内乱・テロ、大規模自然災害、感染症の大規模蔓延、この四つのカテゴリーを原則としつつ、その他これに準ずる事態として法律で定める緊急事態を設けています。さらに、単にこれらの事態が事実として発生するだけではなく、通常の統治機構の運用によっては事態の収拾が著しく困難であるときという要件を加重しています。
 また、宣言を発令する際の手続としては、原則国会の事前承認を求め、例外的に事後承認を求めることとしています。宣言の期間は三十日以内として、国会の事前承認で延長可としています。
 次に、緊急事態が宣言されたときの効果における手続的な統制と内容的な統制について述べたいと思います。
 まず、手続的統制の第一として、国民民主党案では、国会機能の維持を大前提とし、国会中心主義を貫くこととしています。
 具体的には、下、真ん中どころの左から二番目ですけれども、国会が開会しているときは閉会禁止、閉会時には召集義務を課しています。また、緊急事態宣言下での衆議院の解散制限の規定も盛り込んでいます。これは、緊急事態のときだからこそ、国会の立法機能や行政監視機能を可能な限り維持しようとする趣旨です。
 また、解釈で認められたオンライン出席について、明文で規定してはどうかと考えています。それでもなお、定足数を満たすことが難しいなど、国会がその機能を果たすことができない場合には、その右です、ドイツにおけるミニ国会のような、両院合同委員会による国会機能の代替についても規定しています。この両院合同委員会において取られた措置は、国会の事後承認がない場合はその効力を失うとしています。
 このように、できるだけ国会機能を維持することをしてもなお、法律制定、予算議決を待ついとまがない特別の事情があるときには、あらかじめ法律の定めるところにより、内閣が緊急政令、緊急財政処分を行うことができるとしています。そして、これらの緊急政令や財政処分についても速やかに国会の承認が必要ということで、事後統制を利かせています。
 加えて、任期満了時に緊急事態が宣言された場合であって、長期にわたって全国一斉の選挙の適正実施が困難であると認めるときは、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で議員任期の延長と選挙期日の特例を定めることができる規定を設けています。「効果」の一番左のところです。
 緊急事態条項のうち、この議員任期の延長規定については、これまで、かなり各党の議論も積み上がってきたと思いますので、先ほど申し上げたとおり、条文化に向けて最優先で議論するテーマだと考えます。
 そして、その上で、この議員任期の延長に関しては、国民民主党案であえてペンディングにしている論点が五つあります。
 まずは、先ほど来出ている参議院の緊急集会の位置づけです。これを仮に使うにしても、どのような期間、どのような案件について権限を持たせるのかということ。二つ目に、加重要件として書いてある選挙実施困難要件の具体的要件ですね。長期がどれだけなのかとか、あるいは、一斉にできないということがどういうことを意味するのか、こういったこと。そして三つ目に、延長する場合の期間の上限。そして四番目として、解散後の前衆議院議員の身分復活の在り方。そして五番目に、延長における最高裁判所、司法の関与の在り方。
 これらについては、各党から様々な意見が出たと承知しておりますので、今後、当審査会で更に議論を深め、合意を得ていきたいと思っています。
 次に、手続的統制の第二として、国会に加えて裁判所による統制を設けています。
 国民民主党案では、一番上の右に書いていますが、まず、一番最初の、緊急事態を発令するときの入口の段階で、緊急事態宣言が要件を満たしているかどうかの要件充足性について、いずれかの議院の四分の一以上による申立てがあったときには最高裁が宣言を解除すべき旨を勧告できるようにし、内閣や国会の恣意的な宣言発令を抑制するという仕組みにしています。
 さらに、下に書いていますが、緊急事態宣言発令中に取られた法令、命令、条例、規則等の合憲性について、最高裁が集中的に判断できる規定を設け、事実上、最高裁が憲法裁判所として機能するように制度をつくっております。
 続いて、緊急事態宣言の効果に関する内容的統制について述べます。
 まず、いかなる場合であっても絶対に制限してはならない人権を明記しています。何度か当委員会でも紹介した、いわゆるデロゲートできない権利に関する規定です。
 まず、ドイツ憲法のように、各人権の本質的内容の絶対的制限禁止を規定するとともに、この憲法が保障する自由及び権利の制限は必要最小限度のものでなければならない旨も規定しています。その上で、判例や学説の多数の見解等を踏まえ、奴隷的拘束、思想・良心・信教の自由の内心部分への統制や、検閲、拷問、残虐な刑罰の絶対的禁止規定も設けています。下の「人権保障」の欄に書いているものです。
 最後に、国の基本法である憲法は、落ち着いた環境の中で議論し、手続を進めるべきとの考えから、スペインやフランスの憲法を参考に、緊急事態宣言中は憲法改正の発議、国民投票ができないとの規定も設けています。
 以上、国民民主党案の全体像を説明させていただきましたが、我が党としては、特に、これまでの議論で合意点の多い議員任期の特例延長についての議論をまず急ぐべきであり、残された論点についての意見を集約し、改正条文案の作成に入るべきということを改めて申し上げたいと思います。残された論点も、先ほど述べた五点に集約されてきたと思います。
 そこで、まず、階委員からも提案がありました、憲法五十四条二項の参議院の緊急集会を、解散時だけでなく任期満了時も内閣が開催を求めることができるのかどうか。仮にできるとして、期間や権限など、その限界はどこまでなのかなどを、有識者の出席を求め、その解釈を本審査会で確定することを提案したいと思います。
 我が党は、緊急集会を仮に任期満了時にも開催できるとしても、その機能はやはり一時的、暫定的であって、その期間や権限には限界があり、例えば七十日を超える長期にわたってまで緊急集会の規定を濫用すべきではないと考えます。現に、現国会法百二条の二で、内閣総理大臣が求めた事案の処理が終わると緊急集会は終了することとされています。
 こうした議論を具体的に詰めて、条文案の取りまとめに取りかかることを改めて求めて、私の発表を終わります。

発言情報

speech_id: 121104183X00120230302_010

発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2023-03-02

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会