北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
昨年末の臨時国会では、緊急事態条項について四回も審議を重ね、法制局からも論点整理までもなされました。とりわけ、議員の任期延長については議論が煮詰まってきているというふうに思います。今後は、それぞれ条文案を持ち寄って、具体案を取りまとめる方向で審議を進めていただきたいと、まず、会長を始め皆さんに要請をしたいと思います。
これは、緊急事態の際、いかに国権の最高機関である国会の機能を維持するかという話です。この理念についてはどなたにも異論はないと推察をします。ただ、一部では、これは参議院の緊急集会で十分対応できるといった御意見が根強いので、このことについて詳細に話をしたいと思いましたが、階さんから、ちょっと出ばなをくじかれまして。ただ、私は、参議院の権限を制約するとかそういう話ではなくて、やはり限界があるのではないか、限界があるのであれば、議員の任期の延長というものを考えないといけないということを申し上げたいというふうに思います。
まず、参議院の緊急集会については、確かに、自衛隊法、武力攻撃事態・存立危機事態法、災害対策基本法において、衆議院の解散中に防衛出動や緊急政令に関する国会承認を求める場合に、緊急集会によるということが規定されています。つまり、現行の法律でも、なるほど、戦争、災害に対応するために、国会の代替機能として緊急集会というものが期待されているのは事実だというふうに思います。
しかしながら、憲法第五十四条第二項にあるように、内閣が緊急集会を求めることができるのは衆議院の解散中と限定されています。また、同じ第三項には、緊急集会において取られた措置は臨時のものであるため、次の国会開会後十日以内に衆議院の同意を得る必要があるとされています。
つまり、この制度は、長期にわたって国政選挙ができないような事態を想定していません。逆に言えば、緊急集会が想定している緊急事態とは、普通に選挙が行われ、普通に特別国会が開会されることを前提としているわけであります。これは、緊急集会の条件が、解散だけでなく、百歩譲って衆議院の任期満了に類推適用ができたとしても、この前提は変わらないというふうに思います。
このような憲法上の考え方は、国会法の関連条文を参照すればもっと明確になってまいります。
資料にもございますけれども、まず、第九十九条第一項に、「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とあります。次に、第百一条には、「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあります。
つまり、国会法上、緊急集会を請求するときには総理から案件というものを示さなければいけないわけです。原則的には、このいわゆる案件に限ってのみ、緊急集会は審議、議決ができるのです。また、案件に関連のあるものに限ってのみ、議員による議案の発議が認められているのです。
では、ここで言う案件とは何か。法令用語としては、議題とされる事案その他処理されるべき問題であり、個別具体的なものに限定されるのが普通の定義だと思います。
ところが、例えば、今、東日本大震災の話もありました、半年間も選挙が実施できないような大規模災害の中で緊急集会が開かれた場合を考えてみてください。
この場合、半年もの間、総理が示した案件に限定された仕事をやるだけで済まないということがよくお分かりだというふうに思います。当然、そのほかの国会活動もやらなければなりません。あらゆる分野にわたる法案や予算案の議決は当然のことながら、例えば、条約締結の承認、内閣統制のための国政調査権、懲罰権、たくさんありますけれども、国会の権限全てを行使することが求められる可能性は高いと思います。しかし、今申し上げた案件に国会の持つ権限全てを盛り込むことは、解釈上、かなり無理のあることではないでしょうか。
他方、そもそも、憲法学の学説上、通説は、緊急集会においては、内閣が請求で示した案件の審議以外の権能を行使することは限定的にのみ認められているとされています。国会法もこの限定説に立っていて、緊急集会ではそもそも行使できない国会の権限があるという解釈の上に成り立っています。
それは、やはり参議院だけで国会活動全般をなし得るのは異例であって、わざわざ内閣に緊急集会の請求権を与えている趣旨を重くみなしたものであると私は理解すべきだというふうに思います。私だけでは権威がないですけれども、憲法学者佐藤功先生の言葉をかりれば、緊急集会制度は、両院制の国会に対する極めて特殊な場合の異例的、変則的措置であります。
以上、結論として、参議院の緊急集会は、国会の二院制の例外であるがゆえに、おのずと制約があると言わざるを得ません。私が制約しようとしているんじゃないです。また、あくまでも解散、あるいは百歩譲って、任期満了から次の国会までの極めて短い期間しか想定していないのです。しかし、実際、東日本大震災で一定期間選挙が実施されなかったこともあったわけです。今後もあり得ると思います。であるならば、こうしたときでも、憲法が予定しているように、憲法の趣旨にのっとって、衆議院を含めた本来の二院制としての国会機能を確保するために、議員任期の延長制度というものを創設するべきだと私は思います。
以上です。
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