新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝であります。
 本日は、緊急事態条項について、これまで各会派から述べられた意見を踏まえまして、既に共通認識が形成されている論点と、今後更に深掘りをしていく必要がある論点に区分しながら、私なりの今後の議論の方向性について述べさせていただきたいと思います。
 お手元に配付した資料を御覧いただきたいと思います。
 論点ごとに私なりの方向を述べますので、次回の審査会など、今後の討議の中で各会派の委員なりの御意見をいただき、議論をより深められれば、このように考えておるわけであります。
 まず、一の(一)、緊急事態の範囲につきましては、大規模自然災害を始めとする四つの事態、そして、その他これらに匹敵する事態を加えた五つの事態とすることについては、自民、公明、維新、国民、有志の五会派において認識はほぼ一致していると思います。
 その上で、一の(二)、五つの事態の発生により適正な選挙実施が困難な状態に陥ったとき、議員任期の延長が必要になることにつきましても、五会派の意見は一致しております。
 では、選挙困難事態の認定に関して、どの程度広範な地域で、どの程度の期間を選挙実施が困難な場合と想定するのか。こうした二点の具体的な要件について、各会派の委員なりのお考えをお聞かせいただければというふうに思うわけであります。
 次に、二の(一)、選挙困難事態の認定は内閣が行い、国会の事前承認を必要とすることについて、五会派は一致しております。
 二の(二)、国会承認の議決要件を過半数とするか三分の二以上の特別多数とするかにつきましては、公明、維新、国民、有志の委員は、三分の二以上が必要との意見を出されております。
 そもそも、議会における意思決定は、過半数の賛成で行われることが大原則であります。一方で、日本国憲法においては、出席議員あるいは総議員の三分の二以上の特別多数によることとされているのは、除名など議員の身分を失わせるとき、秘密会にするとき、衆議院が法律案の再議決をするとき、そして憲法改正発議を行うときであります。いずれも、原則や現状を変更して特別な状態をつくり出すときに三分の二以上とされていることが分かります。
 選挙困難事態の認定、承認は、まず、二院制国会の原則的形態である衆議院、参議院を維持しつつ議決するものであり、衆参両院が通常の機能を発揮する中で議決するとなれば、大原則である過半数議席で足りるということもあります。一方で、四年、六年と定められている議員任期を延長する例外として特別な状態をつくり出すための議決と位置づければ、三分の二以上の特別多数議決が必要と考えられるわけであります。
 この問題は、議員の自己都合によるお手盛り的議決を防止するというような視点ではなくて、二院制の原則なのか例外なのか、更に議論を深掘りする必要があると私は考えております。
 各会派の委員なりのお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
 次に、議員任期の延長に関する裁判所の関与につきましては、これは三でございますね、維新は憲法裁判所の関与を、国民及び有志は最高裁判所の関与を主張しております。一方、公明はこれに対して疑問を呈しておられるわけであります。
 私は、緊急事態認定とそれに伴う議員任期延長についての国民の審判は緊急事態が解除された後に行われる国政選挙の結果によって示されると考えるならば、これこそが国民による内閣及び国会に対する最大の統制であり、あくまで、緊急事態認定とそれに伴う議員任期の延長は、その判断を裁判所に委ねるのではなく、内閣と国会が責任を持って判断すべきではないかと考えた次第であります。
 各会派の委員なりの御意見を頂戴できればというふうに思います。
 次に、四であります。任期延長期間の上限につきましては、各会派から、七十日程度、半年、一年といった考えが述べられております。
 私からは、東日本大震災のとき、地方議員の任期が最大で八か月程度延長されたこと、南海トラフなど、それ以上の事態も想定されることを念頭に置けば、任期延長期間の上限は一年とし、再延長も可能とするのが合理的ではないかと考えています。もちろん、事態が収束し、選挙が可能になった際には、速やかに延長措置を解除することにしたいと考えます。
 延長期間の上限について、これも各会派の委員なりの御意見をいただければと思います。
 次に、五であります。衆議院の解散後に選挙困難事態に陥り、総選挙の執行ができなくなった場合に、前衆議院議員の身分復活を認めるかどうかも論点になっております。
 私としては、解散権を行使した内閣が選挙困難事態を認定し国会承認を求めている状態というのは、本来であれば解散してはならない状態に陥ったことを意味する、したがって、解散による衆議院議員の失職を一時的に留保して、解散前の状態に復帰させる必要が生じたと考えるべきではないかと思っているわけであります。
 この点につきましても、是非、皆さんの御意見を頂戴したいと思います。
 次に、六、その他の国会機能の維持策、すなわち、国会が開会中の場合の閉会禁止、閉会中の場合の即時召集、衆議院解散の禁止、内閣不信任決議案の議決の禁止については、いずれも五会派が一致をしております。
 その上で、七、以上の措置を講じたとしても、どうしても国会機能を維持することが困難な場合も想定しておく必要があります。そのような場合に備えて、内閣が一時的に国会機能を代替する、緊急政令、緊急財政処分の制度を整備しておくことが必要ではないでしょうか。
 これは、内閣に権限を集中しようという発想ではなく、どうしても国会が機能不全に陥ったときに、一時的、暫定的に内閣が国会機能を代替するものです。しかも、内閣による濫用を防ぐために、国会があらかじめ法律に基づき委任した範囲内に限られること、国会機能が回復した時点で速やかな事後同意を必要とすることといった措置も併せて講じようとしております。
 このような制度がなければ、どのようにしても国会が機能できない究極的な事態に陥った場合、内閣は超法規的な行動を取らざるを得なくなる可能性があります。これは、立憲主義を維持できない状態とも言えるわけであります。
 緊急政令などの規定についても、各会派の委員なりの御意見を是非お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、八であります。これまでの論点に対する措置の前提となっているものとして、参議院の緊急集会の位置づけがあります。
 憲法の条文上、緊急集会は、衆議院解散時に国会機能が空白になることを防ぐために設けられた制度です。そのため、解散から総選挙までの四十日間プラス総選挙から特別会までの三十日間という、最大でも七十日間の比較的短期を想定した制度と考えるのが自然です。
 そもそも、解散から四十日以内に総選挙が行われることが前提とされていること、すなわち、その期間に選挙を執行することができるという、まさに平時の制度です。緊急事態を想定したものでないことは明らかであります。
 そもそも、日本国憲法には緊急事態という概念が規定されておらず、緊急事態の発生を想定しておりません。したがって、憲法が想定していない緊急事態に平時の制度を適用することは、その本来の適用範囲を大きく逸脱するものと考えざるを得ないわけです。
 しかしながら、これは参議院の緊急集会を軽んずるものではありません。衆議院解散後四十日以内に選挙ができるような事態であれば、これまでどおり、参議院の緊急集会が機能することになります。
 この論点につきましては、参議院の憲法審査会においても、今後議論がなされる方向で協議が始まっていると伺っております。それも参考にさせていただくことは言うまでもありません。
 是非、この点につきましても、各会派の委員なりの御意見を頂戴したいと思います。
 以上、これまでの審査会で出された意見を踏まえた論点整理と、私なりの今後の議論の方向性について考えを述べました。次回の審査会など、今後の討議の中で、各会派委員との意見交換を行い、より議論を深めていきたいと考えております。
 なお、朝の幹事会におきまして、来週の定例日にも審査会を開催し、議論を継続することを提案いたしました。今後も、憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い論議が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いいたしまして、私の発言といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

speaker_id: 16290

日付: 2023-03-09

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会