奥野総一郎の発言 (憲法審査会)
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○奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。
今の新藤筆頭幹事の御発言は、あくまで、論点整理は個人的な御意見、この審査会としてのまとまった意見ではないというふうに理解をしていますが、その上で、再三申し上げていますけれども、非常時でもウクライナのように国会をまず動かすべきでありまして、緊急事態条項を設けるまでもなく、現在の制度でかなりのことができるというふうに我々は考えています。
それでもなお整理が必要とされるのは、先ほども新藤幹事が触れられましたが、参議院の緊急集会の在り方。これは、条文だけ見ても解散時しか使えないように書いてありますし、実際、ではどういうふうに使えるのかという点。これは参議院抜きには語れませんから、参議院の憲法審査会と合同で議論してはいかがでしょうか。
それから、選挙困難事態ということについては、これはどのような場合が想定され得るのか。それを、では客観的に誰が認定するのか。お手盛りにならないようにということで、例えば、司法の関与、憲法裁判所というのも視野に入りますけれども、司法の関与、関わらせてはどうでしょうか。
このように、いろいろな議論がまだ棚上げになっています。臨時国会の即時召集と言っていますが、これは非常時に限らず、憲法五十三条との関係も視野に入ってきますから、こうした議論もしっかりやるべきではないでしょうか。
ということで、拙速な議論を進めることは反対でありまして、きちんと一個一個積み上げて議論を進めていくべきであります。
次に、国民投票法についてでありますが、附則に、国は、この法律の施行後三年をめどに、インターネット等の適正な利用の確保を図るための方策やCM規制など、国民投票の公平及び公正を確保するための事項等について検討を加えて、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとするという規定をしています。
施行後三年というのは、二〇二四年の九月になりますね。つまり、来年の通常国会までには必要な法制上の措置を講じておかなければならないということになります。
新藤筆頭や北側幹事は、これまでの議論の中で、国民投票法を改正する必要はないという趣旨の発言をされていますが、昨年の憲法審査会で、我が党の階幹事の質問に対して山本龍彦参考人が、情報アクセス権の観点から、プラットフォームを通じて国民投票広報を展開していく必要性をお認めになられて、その点は国民投票法の改正の必要があると思うとはっきり述べられています。前回、北側幹事の発言はこの点で誤りでありますので、撤回を求めます。
また、情報環境権の保障については、一般的な規律の制定を山本先生は述べておられますが、国民投票法にこのような趣旨の規定を盛り込むことは否定をしておられません。
それで、私は、この附則四条の原案を作りましたが、何らかの法制上の措置その他の措置が講じられるまでは憲法改正発議ができない、要するに国民投票の公平公正性が担保できないわけですから、というふうに理解しています。
国民投票法改正については、各党が案を持ち寄り、早急に成案を得るよう、集中討議を求めさせていただきます。
次に、憲法九条の問題について述べたいと思います。
岸田首相は、反撃能力について、専守防衛の範囲内で対応する、武力行使の三要件を満たさなければならないというふうに述べておられます。
一九七二年、時の田中首相は、専守防衛について、「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということ」と述べておられます。この答弁は、「誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」とする一九五六年答弁と矛盾するように見えます。
しかし、この有名な答弁には、国連の援助もないし、また日米安全保障条約もないというような、ほかに全く援助の手段がない場合の話であり、現実の問題としては起こり難く、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは憲法の趣旨とするところではない、つまり、実際には敵基地の攻撃を行うことはないという前提がありました。
このように、専守防衛とは、憲法九条の解釈として、自衛隊に、旧三要件の下では、国土及びその周辺において防衛を行うという地理的な制約と、攻撃的な脅威を与える兵器を持たない、こういう制約を課すものでありました。
しかし、専守防衛の意義は、安保法制以降、大きく変わりました。存立危機事態に際しての集団的自衛権の行使容認は、我が国が武力攻撃を受けて初めて武力行使をするという憲法九条の基本的な制約を取り払っただけではなく、地理的な制約も消し去りました。今回、反撃能力を持つことで、さらに、攻撃的な脅威を与える兵器を持たないという制約も消し去られました。従来、専守防衛を果たしてきた歯止めが全くなくなってしまったのであります。
例えば、海外派兵については、従来の専守防衛の考え方からは、一般に、自衛のための必要最小限度を超えて違憲とされてきました。
しかし、安保法制の審議で、当時の安倍首相は、地理的な制約を外して、海外派兵の例外として、一般にということの外に当たる例外としては、ホルムズ海峡における機雷掃海しか念頭にないと答弁をされ、海外派兵の可能性を認めました。
さらに、今回、これは私が予算委員会で浜田大臣から答弁をいただきましたけれども、ホルムズ海峡の機雷掃海が唯一の例外ではないとの答弁もなされました。
また、我が党の長妻委員の予算委員会の答弁で、浜田大臣は、反撃能力の行使について、スタンドオフ防衛能力を活用して、相手国の領域外から対処することが基本となるとしつつ、敵国に自衛隊が上陸をしてミサイルに対する破壊をすることも否定できない、そして、これは、武力攻撃事態において我々の取り得る行動というふうに答弁をしています。
ということで、海外派兵ももはや例外ではないということになっているわけであります。
となると、保持できる必要最小限度の実力については、従来は、ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないとされていましたが、これらも、敵基地の攻撃に使用される限りは保有できる、こういう理屈になるのではないでしょうか。
今回、反撃能力の保有を認めたことにより、専守防衛はもはや、先制攻撃はしないという当たり前の意味しか持たないものになってしまいました。年間の防衛予算がほぼ青天井、十兆円を上回り、反撃能力を獲得した自衛隊が、陸海空その他の戦力ではないというふうに強弁できるのでしょうか。
専守防衛を堅持するというマジックワード、これをずっと言い続けているんですが、専守防衛の中身も変わってしまいました。九条二項の空文化、まあ、もう削除と言ってもいいと思うんですが、等しい効果がこれで生まれるというふうに思います。
そこで、憲法審査会で、憲法九条が許容する必要最小限度の実力について、新たな歯止めについて議論をして、結論を出してはどうでしょうか。森会長、新藤筆頭に、参考人質疑及び集中討議を求めます。
最後に、この辺、今日は石破先生はおられるのかな、お詳しいので、反撃能力を持った場合の歯止めについて御意見を伺えればと思います。
以上です。