浜地雅一の発言 (憲法審査会)
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○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
私からは、先ほどから多くの会派におきまして論点整理に入るべしと表明をされております、特に国会議員の任期延長について、改めて意見を述べたいと思っております。
まず、間もなく十二回目の三月十一日を我々は迎えるわけでございますが、当時、東日本大震災の影響を受けた地域におきましては、いわゆる臨時特例法で地方議会選挙の期日を延長しました。それに伴い、地方議員の任期も法律で延長したわけでございますが、仮にあのとき国政選挙が予定をされていたとすれば、まさに今議論となっております我々国会議員の任期延長について、憲法上の問題に直面していたことをこの機に思い起こすべきだというふうにまず思います。
約三年に及びましたコロナ禍は、来週からマスクの着用が個々人の判断に委ねられます。いよいよ終えんに向かおうとしております。当審査会で意見を交わし、一定の結論を得ました国会のオンライン出席の問題は、今般のコロナ蔓延の拡大を受け、あのときは非常に蔓延が拡大しておりましたので、このまま拡大が続けば、我々国会議員が現実に定足数を満たす出席が国会にできなくなるのではないかとの危機意識の下、オンライン出席も許容されるとの報告書が取りまとめられたわけでございます。
また、今回のコロナ以上の感染症が蔓延した場合、国政選挙の実施が困難となることはあり得るとの現実的な危機意識の下に、我々は現在この問題を議論しているわけでございます。鉄は熱いうちに打て、喉元過ぎれば熱さ忘れるではないですが、この時期を逃しては、国会機能の維持という民主主義の根幹に関わる問題に一定の結論が出せないことになるということを私は危惧をいたしております。
その上で、国会議員の任期延長の必要性を検討するには、まず整理されなければならないのは、私は参議院の緊急集会の権能の範囲の問題であると思っております。
参議院の緊急集会は、衆議院の解散時のみならず任期満了選挙時にも開催できるのかがまず論点としてございますが、ここは学説が分かれておりまして、参議院の憲法審査会での議論も調べました。ここでは、参議院の解散時のみならず任期満了選挙時へも適用できるとの説が有力と言う議員さんがいらっしゃいますが、では、なぜ任期満了時まで適用できるのかという詰めた議論は行われていないというのが現状でございます。
しかし、仮に緊急集会が衆議院の任期満了選挙時に適用されるとしても、だからといって任期延長が不要との結論に結びつくものではありません。それは、前回の当審査会において有志の会の北神委員が御指摘されましたように、現在の国会法では、参議院の緊急集会は内閣が案件を示して招集を求め、議員の権能も内閣が示した案件に限定をされておりまして、参議院の緊急集会は、通常会や臨時会のようないわゆるフルサイズの国会の権能を有していないからでございます。
では、国会法を改正すれば、参議院の緊急集会でもいわゆるフルサイズの国会の権能を付与できるのか。憲法五十四条二項の規定は、内閣は緊急集会を求めることができるというふうに規定されておりますけれども、では、招集は内閣が求めるとしても、この緊急集会では、国会法を改正して、内閣が示した案件以外も議員は発議等をすることを許容されているのかという問題があるわけでございます。
そこで、今日、私は一枚ペーパーを配付させていただきました。これは、衆議院の憲法審査会事務局の皆様方の御協力を得て、これまで、国会法で参議院の緊急集会の権能が内閣が示した案件に限られることになった歴史的経緯をまとめたものでございます。
一九四六年に現憲法が公布をされまして、その翌年の一九四七年に、国会法及び参議院緊急集会規則による整備が行われました。当時は、国会法の四条で、ここでは当初、赤字で書いてありますが、内閣は請求をするという文言だけで、案件を示してという記載はございませんでした。
しかし、その後実際に行われました二回の緊急集会、一九五二年、一九五三年は、下の参考に書いてありますとおり、中央選挙管理委員の委員の任命でありますとか、又は一般会計の暫定予算等、案件を実際に示して請求が行われたわけでございます。
その後、一九五五年に国会法が改正されまして、このときに、国会法九十九条で、案件を示して、また、百一条では、議員はいわゆる示された案件に関連するものに限り議案を発議することができるというふうに限定がかかったわけでございます。
このときの議論のときに、一番下の米印でございますが、昭和三十四年九月二十三日、当時の内閣憲法調査会第二委員会で海保参議院議事部長がこの趣旨を御説明されております。ここでは明確に、緊急集会を求める手続、緊急集会における議案の発議等の議員の権能についての規定を設け、九十九条、百一条のことです、はっきりと条理上緊急集会の本質と相入れないものを排除することによりましてと書いてございますので、やはり憲法五十四条自体が、条理からしますと緊急集会にフルサイズの権能を認めることはできないという趣旨の発言をされております。
学説も調べましたけれども、一部には、小林孝輔先生等は、集会は確かに内閣にあるが、案件は限定されないということを言われている方もいらっしゃいますが、高辻正巳先生始め、元法制局長官でございますが、そもそも内閣の求めに基づいて行われる、それ以外の場合に行われることは絶対にない緊急集会でありますので、緊急集会での議員の権能は内閣が求めた事案に限定される。逆に、一般的に、無制限であれば憲法上の趣旨に反するおそれがあるというふうにおっしゃっております。
また、佐藤功先生も、緊急集会において内閣の求める案件以外に議員が発議をしたり、これを審議したり、又は国政調査を行ったり、質疑したりすることは、内閣のみに与えられた憲法の趣旨に反すると書いてございますので、これまでの経緯又は学説の多数からよりますと、やはり、参議院の緊急集会にいわゆるフルサイズの国会の権能を与えることは、憲法五十四条二項は許容していないということがはっきりするのではないかというふうに思っております。
参議院の議論を私も見ました。参議院の憲法審査会、どういった議論がされているか。これについては、緊急集会の権能を広げるべきという意見があるだけで、ここについては、本来、参議院の皆様方が深掘りすべきだと私は思いますけれども、ここについては、言いっ放しの議論と言ったら失礼ですけれども、なかなか深い議論はないということでございます。
ですので、これは二院制の例外をどこまで認めるかの議論でございますので、当然、参議院の意見も聞かなきゃいけませんが、我々衆議院が先行してこのような形でしっかりと理屈を深掘りすることは、十分、参議院に失礼なことではない、むしろ必要なことであるというふうに思っております。
いわゆる感染蔓延時、また大規模災害を我々は経験したわけでございますので、まさに二院制の原則の下、国会機能をフルサイズで行使する必要があるということを改めて我々は認識すべきだと思っております。
改めまして、今般の東日本大震災、十二回目を迎えますし、また、今般のコロナ感染症の蔓延を契機に盛り上がった議員任期延長問題でございます。一定の結論を出すのは今であると申し述べまして、私の意見とさせていただきます。