新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自民党の新藤義孝でございます。
 今週の審査会では、これまで出ていた論点に加えて、国民投票法についても討議を行いたいと考えております。
 先週の審査会で私から提起をいたしました緊急事態条項に関わる論点につきましては、本日、各会派の委員なりの御意見がいただけるものと思っておりますが、それに先立ちまして、先週の各委員からの意見及びそれを踏まえて補充する点につきまして、コメントをまずさせていただきたいと思います。
 緊急事態の範囲のうち、その他これらに匹敵する事態として何を想定するか、あらかじめ議論しておくべき、こういう御意見もございました。
 その他これらに匹敵する事態は、大規模自然災害等の四つの事態では読み込めない想定外の事態にも対応できるようにするものであり、したがって、想定する事態をあらかじめ決めておくものではないと考えております。
 要件を曖昧にすることで恣意的な運用がなされるのではとの懸念に対しましては、これらに匹敵する事態、すなわち四つの事態と同程度の緊急性のある事態という表現により懸念は解消できる、このように考えているわけであります。
 次に、緊急事態認定の国会承認の議決要件の趣旨につきましては、憲法が定める二院制国会の原則を維持する過半数議決なのか、それとも、緊急事態下における議員任期延長の議決は二院制の例外として三分の二以上の特別多数議席とするかという、本質的な議論が必要だと考えております。
 この議決要件は、多数政党によるお手盛りを避けるというようなことではなく、選挙によって示された民意、すなわち議会制民主主義を尊重するという観点で判断すべきだと私は考えております。私が提起した過半数による議決というのは、三分の二議決に比べ軽い判断とは言えないと思います。三分の二の議決が必要ないと言っているわけでもありません。
 国会承認の議決は過半数なのか、それとも三分の二なのか、どちらの方式を選択することが妥当かという観点からの御意見を是非お伺いしたいと思っております。
 次に、裁判所の関与につきましても、お手盛り防止、濫用防止のために必要だとの意見がありましたが、この点も、議会制民主主義の趣旨を踏まえれば、緊急事態の認定や議員任期の延長という極めて高度な政治的判断は、主権者国民から選挙で選ばれた政治部門が責任を持って行うことが大原則ではないかと考えております。そして、政治が判断したことは、次の国政選挙において国民の審判を受け、民意によりその適否が示されることになります。民主主義の根幹に基づく責任を他に委ねることなく、重要な決定は政治が責任を持って行うべきだというふうに考えているわけであります。
 また、最高裁判所とは別に憲法裁判所を設置するべきとの意見もございます。
 最高裁をトップとする我が国の司法体制において、最高裁が行ってきた憲法判断機能を憲法裁に全て移すか否か、最高裁と憲法裁の役割分担がうまく機能するのかという根源的な問題がございます。今後、更に議論を深めていきたい、このように思います。
 次に、緊急事態における閉会中の即時召集を提言するのであれば、その前に、平時における憲法五十三条の臨時会召集要求に応えるべきとの意見がありました。
 憲法五十三条は、召集要求に対する臨時会の具体的な召集時期について明記しておらず、この規定は、内閣の合理的判断の尊重と少数会派の保護のバランスを取った条文と思います。従来からの政府の対応はこうした考え方に基づく合理的なものであり、召集期限を一律に定めることは憲法が規定するバランスを崩すおそれがないのかという懸念がございます。
 そもそも、立憲民主党、維新などの会派の皆さんは、既に臨時会召集期限明記の法案を衆議院に提出をされております。この問題は、付託委員会である議会運営委員会で議論されるべき立法政策のレベルに移っているのではないかというふうに考えるのも筋だと思います。
 次に、国民投票法については、立憲民主党からCM規制に関する国民投票法改正の考え方が提示されております。私たちも、国民投票におけるCMの取扱いについては、今後、議論を進め、方向性を出していかなければならないと考えています。
 一方で、昨年四月二十八日に趣旨説明を行ったままの国民投票法改正案、いわゆる三項目案については、早急に審議し、結論を出さなければなりません。これは、既に公選法で整備済みの外形的事項を国民投票に反映させ、投票環境の向上を図るものであり、その内容については倫理選挙特別委員会の審議で尽くされており、各会派からの異論も出なかったものであります。
 一部の方から、三項目案を成立してしまうと国民投票法に関する議論が行われなくなるのではないかとの声をいただくことがありますが、決してそうではなく、これまで何度も申し上げておりますとおり、国民投票法には、投票環境整備など外形的な事項と、CM規制など投票の質の向上に関する事項の二つの要素があり、いずれも、時代や社会の変化を踏まえ、議論しなければならない事項であります。現に、本日もこれから議論を行うわけでございます。
 一方で、付託された法案を議論するのは国会の当然の責務であり、提出以来、既に一年が経過する三項目案の審議をいたずらに延ばすことなく、粛々と処理すべきことを改めて申し上げたいと思います。
 次に、投票の質に関する国民投票法の論点について述べます。
 国民投票運動に関する基本的な思想は、二〇〇七年に国民投票法が制定された際に整理されています。その精神は、国民投票は国民主権最大の発露の場であり、国民投票運動はできるだけ自由にということであります。
 積極的にこの方針を主張されたのは、枝野議員を始めとする当時の民主党の皆さんであり、私どもも同じ考えで進めてまいりました。その結果、CM規制については、法的な規制は極力避け、自主的規制によって投票の公平公正を確保するとの整理がなされております。
 さらに、その後の討議によりまして、放送CMについては、民放連の参考人質疑を通じ、受け手である放送事業者の自主的規制は、量的な公平の視点も含めて準備が進んでいることが確認されています。
 あわせて、広告の出し手である私たち政党側の取組と、国民投票広報協議会による賛否平等の広報活動について、具体的な詰めを行っていきたいと考えています。
 一方で、情報化社会の進展に伴うネットCMは、既に放送CMをしのぐ市場規模となっており、CMに限らず、ネット上には膨大な情報があふれ、フェイクニュースや不正確情報の氾濫という問題も出ています。
 昨年の参考人質疑では、ネットCMの取扱い、ネットを通じた国民投票運動の在り方、ファクトチェックと言われるネット情報の正確性担保などについて指摘がなされ、更に議論が必要と考えています。
 こうした投票の質の向上に関する論点については、私なりの整理として四つの考え方を提示しております。すなわち、A、法律による規制、B、自主的な取組、C、自主的な取組を後押しするための何らかの法的措置、D、国民投票広報協議会の充実強化であり、この考え方に沿ってどのような対応ができるか、今後、更に論点を深掘りした整理を行ってみたいと考えています。
 今朝の幹事会におきましては、来週の定例日にも審査会を開催し、議論を継続することを提案いたしました。今後も、憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い議論が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いして、私の発言といたします。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

speaker_id: 16290

日付: 2023-03-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会