三木圭恵の発言 (憲法審査会)
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○三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。
本日は、先週三月九日の、新藤幹事よりお尋ねのあった緊急事態条項の論点の我が党の考え方について述べさせていただきます。
まず一点目、選挙困難事態の想定に関して。
どの程度広範な地域で、どの程度の期間を選挙実施が困難な場合と想定するのかということですが、基本的に、我が党の条文のたてつけは、緊急事態条項の下に緊急事態基本法を制定し、具体的な点を定めることとしています。ですので、選挙困難事態も、条文は「特別の事情があるとき」とし、特別の事情があるときというのは、「法律の定めるところにより、」としています。
緊急事態基本法では、想定として、やはり、国政選挙の場合は選挙区のほかに比例区があること、一定の選挙が終了した後、一部の地域だけを後発で選挙をするとなると、選挙結果が投票行動に影響を与え得ること等を考えると、選挙の一体性を阻害されない広範囲な地域であり、また、期間については、長期間選挙が実施できない状況だと考えます。東日本大震災時の地方選挙の特例や、今後起こり得るであろう南海トラフや首都直下型地震が起こった場合を想定すると、およそ六か月ではないかと考えます。
また、我が党では、憲法裁判所が、議員の任期延長についても、六か月を過ぎれば職権により妥当性を審査できるとしています。もちろん、六か月を待たずに緊急事態が解除された場合は、速やかに選挙を行うことは当然です。
二点目、選挙実施困難事態の認定に関して。
我が党案が議決が三分の二であることについて、新藤委員は、衆参両院が通常の機能を発揮する中で議決するとなればと仮定されて、なぜ過半数ではなく三分の二なのか、二院制の原則なのか例外なのか、議論を深めるべきだとの御意見でした。
しかし、そもそも、究極の緊急事態に陥ったとき、その前提は成り立つのでしょうか。衆参の議員が全員この国会にたどり着くことができるのかどうか。最悪の場合はどうでしょうか。首都直下型地震が起きてインフラが壊滅した場合、武力攻撃されて電気系統が遮断されたとき等々、全員ではなく一部の議員しか登院できない可能性は否定できないと考えられ、その場合、与野党のバランスが大きく崩れる可能性は否定できないと思います。それが果たして通常の機能を発揮する状態であると言えるかどうか。そのような状況下で、より民主的統制を図ろうと思えば、私は過半数ではなく三分の二が妥当であると考えます。
つけ加えますと、そこまで想定しなくとも、自らの選挙に関して定めることであるので、過半数ではなく、お手盛り防止のため、厳しく三分の二にするべきというのが多数の意見でありました。
三点目、議員任期の延長に関する憲法裁判所の関与についてですが、新藤委員は、国民の審判は緊急事態が解除された後に行われる国政選挙の結果によって示されるとされました。
私たちは、議員の任期延長が、内閣と立法府において、これはあってはならないことですが、不当に延長されることを避けるために司法の関与が必要としました。
延々と選挙が行われず、民主主義が遠のいてしまうことは絶対に避けなければなりません。議員が自ら、自分たちで自分たちの選挙を思うがままに延長できる、例えば政権与党が三分の二以上を占めて、不当に選挙を行わないなどという場合が想定できますが、司法の介入がなければ、このような事態を脱することはできません。内閣と国会を客観的立場から判断する司法の関与は必須であると考えます。
そして、抽象的違憲審査、具体的審査ができる憲法裁判所は必置であると我が党は考えております。
四点目ですが、延長期間の上限については、定めることとはいたしておりません。
武力攻撃によるものであれ、災害であれ、今回のような大規模感染症であれ、上限は場合によります。ですが、内閣及び国会で、民意からかけ離れて上限を引き延ばすことも想定し、そのために、憲法裁判所が六か月を過ぎれば職権で合憲か否かを審査できるとしています。
五点目です。前衆議院議員の身分復活ですが、衆議院解散や議員任期満了により議員が身分を失った時点から選挙までの間に緊急事態の宣言が行われた場合に、前衆議院議員の身分は復活するとしました。
解散が行われた時点では、緊急事態が起きることを想定することは不可能なため、緊急事態が宣言され、選挙が執行できない状況に陥ったときには、解散を取り消して、前衆議院議員の身分を復活させて緊急事態に対処することは妥当であり、必要であると考えます。
六点目は、我が党の成案では、緊急事態宣言が行われた場合の国会機能の維持として、国会の自動集会、会期継続、衆議院の解散の禁止、内閣不信任案又は信任の決議の禁止を定めています。また、国会機能の維持とは若干異なりますが、憲法改正の禁止も含めています。
七点目のお尋ねは、緊急政令及び緊急財政処分についてです。
我が党では、「緊急事態の宣言が発せられた場合において、国会による法律の制定又は予算の議決を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、あらかじめ法律の定めるところにより、内閣は、法律と同一の効力を有する緊急政令を制定し、又は財政上必要な処分を行うことができる。」としました。
「あらかじめ法律の定めるところにより、」としたのは、単に法律の定めるところによりとすると、緊急政令は法律と同一の効力を有するため、緊急政令がその根拠となる法律自体をも改正してしまうおそれがあると考えます。これを防ぐために、前述しました緊急事態基本法を制定し、そこで詳細をあらかじめ定めることとし、緊急政令はこの定められた法律の範囲内に限り制定されることを担保しました。
さらに、その要件充足性を判断させるために、憲法裁判所の事後審査の対象としています。
最後のお尋ねです。参議院の緊急集会についてです。
新藤委員が前回述べられていたとおり、緊急集会の招集される期間については、衆議院の解散から総選挙までの四十日間プラス総選挙から特別会までの三十日間、最長でも七十日間を想定したものであり、また、総選挙が行われることを大前提とされた、まさに平時の制度であると考えます。
また、前々回、北神委員が、前回、浜地委員が御指摘されているように、現在の国会法では、内閣が案件を示して招集を求め、議員の権能も内閣が示した案件に限定されていますから、限定されている以上、限界があり、全ての機能が果たせるわけではないこととなります。
ですので、参議院の緊急集会は、緊急事態のような選挙実施困難事態を想定しているものとは考え難いと思います。
以上、新藤委員のお尋ねに対して、我が党の成案の内容を解説させていただきました。
今後、我が党では、国民民主党、有志の会の皆様と緊急事態条項について実務者協議で議論を重ね、三月中に一定の成果を出したいと努力しているところでございます。
憲法審査会でのより一層深い議論と一定の結論を出すことを強く要望いたしまして、私の意見表明とさせていただきます。