中川正春の発言 (憲法審査会)
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○中川(正)委員 立憲民主党の中川正春です。
国民投票法に関して、ここで改めて私たちの論点の整理をしたいというふうに思います。
国民が直接投票によってその判断を下すことになる国民投票というのは、人や政党を選ぶ選挙と違って、憲法の持つ価値や政策について国民一人一人が投票によって直接判断を下すということになるだけに、特別の配慮が必要であるというふうに思います。
以下、前回の近藤委員の問題提起も踏まえて、特に法改正ないしそれに向けた議論が必要であると考える点を整理しましたので、申し上げます。これについても、委員各位の御意見をお聞きしたいというふうに思います。
まず第一は、広く国民投票への参加を促す投票環境の整備が必要です。安全対策や個人情報の十分な保護を前提としたインターネット投票の解禁であるとか、あるいは障害者や海外居住者などへの配慮など、いわゆる三項目案ではカバーされていない問題について具体的に法制化をしていくことが必要であるというふうに思います。
第二は、国民が改正案に賛成か反対かの意思表示をなし得るに足る十分な判断材料を提供する必要があるということであります。国民投票のキャンペーンが、賛成のため、あるいは反対のための宣伝戦に終始するのでは十分ではないんだということであります。国民投票にかけられる改正案が国会で審議される過程の中でどのような論点が話し合われ、その論点に関わって、対象になる分野の専門家がどのような見解を示してきたか、それらの点も含めて国民に提示していくことが必要だと考えています。
そうした観点から、我々は、国民投票法を改正して、国民投票広報協議会が主催をすることで憲法改正案に関する説明会を開催すること、また、インターネット等を利用する方法によって憲法改正案に関する広報を行うことを盛り込むことを提案しております。
第三に、憲法改正を扱う放送分野について、二つの観点があります。一つは番組の公正性、もう一つはコマーシャルの公平性ということであります。
番組の公正性については、放送法第四条の政治的公平について、二〇一五年に当時の高市総務大臣が示した、放送事業者の番組全体ではなくて一つの番組でも判断できるという解釈を改めた上で、表現の自由と政治的中立性の原則を基本に、業界のガイドラインで示された規範で運営されるということが望ましいんだというふうに考えます。
今般指摘されているような政府による番組介入は、あってはならないことであります。一方で、情報の公平性を保つためには、法律によるコマーシャル規制は必要であります。
すなわち、勧誘CMについては、主体を問わず、国民投票運動の全期間にわたり禁止、意見表明CMについては、政党等については公営放送などで代替できるため禁止、それ以外の団体については、表現の自由に配慮して直接の規制は設けずに、CMへの支出金額に上限を設けることで間接的に規制することが合理的であると考え、私たちの試案に含めております。
なお、放送業者について、時間的に賛否平等とするための規制が必要なのかどうかについても議論の対象としていくべきだというふうに考えます。
第四は、ネット規制です。これについても、番組ないしコンテンツの公正性とコマーシャルの公平性に分けて議論すべきだと考えております。
そもそも、番組ないしコンテンツの部分とコマーシャルの部分に分けられるのかどうか、こうした議論も必要でありますし、分けられるとした場合に、コマーシャルの部分について、放送と同様の規制でいいのかどうか。
また、番組ないしコンテンツの部分について、一般的な規制は無理だとしても、フェイクニュースなど事実に基づかない情報を拡散して世論を偏った方向に向かわせる行為には、何らかの対処が必要だというふうに考えます。我々は、民間のファクトチェック団体と国民投票広報協議会が連携することでフェイクニュースの拡散を防ぐということを提案しておりますが、どうぞ議論の対象にしていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、ネットに関する議論はまだまだ入口であります。論点も更に広がりそうです。この分野に精通した更に多くの参考人の皆さんをこの審査会にお呼びして、幅の広い議論をしながら成案を作成することが大切であり、幹事会において具体的な参考人招致のスケジュール作成がなされることを望んでいます。
次に、緊急事態条項について、改めて私の基本的な考え方を述べます。
最近の審査会では、議員任期の延長に議論が集中しているようでありますが、私は、問題の本質はそこにあるとは思っていません。戦争、国内騒乱、大規模な自然災害、パンデミックなどに国が直面したときに、一定の範囲で権力を集中させて危機対応を即応的に行うことを憲法に明記して保障することが改正の目的であるとすれば、私たちは改正は必要ないと判断しております。
日本の法体系では、自衛隊法、国民保護法、災害対策基本法、新型インフルの特措法など、一連の法制の中で既に体系化し、緊急政令などの権限も付与しながら、後に国会の承認を取って、民主的な権力の統制もしていく体制は既に整えられていると理解をしています。
したがって、もし憲法において緊急事態を論じるとすれば、私たちは、ここでは、緊急事態におけるもう一方の重要な観点、権力を集中することで権力の悪用と暴走を許す可能性がないかどうかという観点から再点検することの方が重要であるというふうに考えています。
以上をもって今日の私の議論としますが、国民投票法に関連した論点については、先ほど申し上げたとおり、更に外部の有識者を参考人として招いて、積極的な合意形成を進めることを改めて強く求めていきたいというふうに思います。
以上です。