小野泰輔の発言 (憲法審査会)
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○小野委員 日本維新の会の小野泰輔です。
今通常国会で憲法審査会が動き出してから今日でまだ四回目ですが、緊急事態条項の具体的な論点整理が進んでいることを大変うれしく思っています。三月中には、我が党と国民民主党、有志の会の二党一会派で取りまとめ案を作成する予定となっておりますので、我が党としては、それを基に、自民、公明各党のお考えも伺った上で整理を行い、憲法改正原案の策定にまでつなげていきたいというふうに思います。そして、今そういった議論にも乗ってきていない会派にも是非参加をお願いしたいと思います。
同様に、憲法改正に関するもう一つの論点である国民投票におけるCM規制についても、新藤幹事が冒頭におっしゃいましたように、投票環境の向上のための自主的取組を後押しするために何らかの法的措置を定める場合の例示として、同協議会による、各事業者の自主的取組に関するガイドラインの作成を挙げられております。改正を速やかに行った上で、着実に具体的な形を国民にお示しする作業を進める必要があると考えます。
まず、テレビ、ラジオのCM規制について、我が党の考えを申し上げます。
昨年四月二十一日に民放連の永原専務理事が参考人陳述されましたが、国民投票法により禁止されている投票日前十四日間以内の期間の在り方に関し、私どもは、報道の自由を守る立場から、考えを同じくしています。すなわち、自由な国民投票運動を基本としつつ、自主的、自律的に政治的公平を図るという放送法の原則にのっとり、放送事業者が民放連の定める考査ガイドラインに沿って自主規制を行い、また、政党側では申合せにより公平性を確保するなど、事業者と出稿者の双方の自主的な取組を基本とすべきと考えます。
先ほどもお話が出ておりますけれども、非常に難しいのがネット規制です。
ネットの世界は、新聞やテレビ、ラジオと比べ、出し手の数が格段に多く、フェイクニュースなどがあふれる可能性が高くなっています。さらに、デジタル社会における情報過多の中で、いかに注目を浴びるかが競われるアテンションエコノミーの下、マイクロターゲティングなど、ウェブの閲覧履歴などの個人データによるプロファイリング手法を用いて特定の情報を浴びせ、政治的傾向を意図した方向に過激化、硬直化させるフィルターバブルやエコーチェンバー効果を生みやすいとされています。
昨年十二月八日に当審査会に参考人招致した山本龍彦慶大教授は、こうした状況に加え、確率的、統計的評価を行うAIの活用が進むことで、自由で自律的な意思決定過程が認知領域から侵害されるとともに、個別事情や個性が捨象され、個人の尊重が損なわれるなど、近代憲法の根本原則を脅かすおそれがあると指摘されました。そのため、情報自己決定権の観点からの個人情報保護や、知る権利や情報的健康の視点からのデジタル言論空間の再構築のほか、公正な選挙、投票制度のための規制などの必要性を提言されました。
こうした諸課題への対応は、デジタル化やAIの進展がもたらした新たな憲法上の要請と認識しています。当審査会でも、それぞれの論点について活発に議論し、新たな憲法論を生み出すべきと考えます。
これらの重要な問題について議論するため、当審査会に憲法改正論議とは別の分科会をつくるべきだと考えます。森会長におかれては、是非御検討をお願いいたします。
しかしながら、それらの課題が解決しないからといって、国民投票の実施に向けた動きを止めることは適切ではないと考えます。ネットが我々の生活に密接で不可欠となっている現在、それがもたらす脅威は、国民投票の場面のみに問題となるのではありません。国民や住民の代表を選ぶという我々国民にとって重要な選挙が、これまで幾多にもわたって行われてきましたし、これからも立ち止まることなく行われます。それを黙認しておきながら、憲法改正の国民投票の際にはその脅威を持ち出してできない理由とするのは、かのカエサルが見れば、見たいものしか見ていないと言うに違いありません。
社会は常に変容し、立ち止まることはありません。ゆえに、たとえ障害があろうとも、政治はそれを乗り越え、常に前に進む努力をしなければなりません。私は、政治家とは、それをやり切る決意のある人々だと考えています。
ネット上でのフェイクニュースなどによる言論空間の攪乱のおそれがあるから選挙はできませんなどと言うのを許容する人が、およそ民主主義国家において存在するのでしょうか。それこそ、知る権利の侵害を口実にした民主的プロセスの妨害と言えましょう。
ほかに国民投票法関連で具体的に進めるべきこととしては、先週公明党の北側幹事が指摘されたように、国民投票広報協議会の役割を明確化させ、規程の形まで落とし込むことが挙げられると考えます。
現行の国民投票法では、国民投票協議会の事務として、同法第十四条において国民投票公報の原稿の作成、第百六条において憲法改正案の広報のための放送、第百七条において新聞広告などが定められています。
そのほかに同協議会が担う役割としては、山本教授が提唱されていたように、玉石混交のネット上の情報の中から国民投票広報の情報を見てもらいやすくするため、プラットフォーム事業者などに対し、それを目立つところに置いてもらうような働きかけを行うべきと考えます。また、民間事業者が策定するガイドラインの内容や運用状況に関する意見交換を行うといった、オブザーバーの性格も持たせることも一案と考えます。
このように、国民投票法についても早期実施のための詳細な検討を行うとともに、目下生じているデジタル社会の脅威にいかに対処するか、憲法論議を活性化させるべきと考えます。
当審査会が時代のスピードに合わせて具体的成果を出せるよう、委員の皆様とともに尽力をしてまいります。
以上です。